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中嶋よしふみ流 介護マネー道場 お金で失敗したくない人のための老後リスク回避術

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第5回 世帯年収596万円。39歳で第一子を出産したワーキングマザー・斎藤さん(40代・仮名)からの老後資金についての相談

高齢出産を経てフルタイムで働くワーキングマザーが、認知症の母親を介護しながら老後資金を蓄えるにはどうすればいい?

文/中嶋よしふみ 構成/編集部

相談者・斎藤さん(仮名)の家計事情

世帯年収:596万円

本人(43歳)204万円 会社員
夫(45歳)392万円 会社員
※39歳で長女を出産。

資産

現在の貯蓄額 1800万円

相談内容

実母は大阪府内の公営住宅で一人暮らしをしていて、認知症を発症してからは私が月2回通っています。同時に、母への仕送りを始めました。それまでは私の給料をほぼ全額貯蓄にまわしていたのですが、今は仕送りや交通費を引いた額になっています。今は子ども1人を育児中で(いわゆる高齢出産でした)、これから教育費がかかるので、月々の貯蓄はもっと減るかもしれません。

いろんな人が、老後資金にはいくら必要と言っていますが、一体いくら必要なのでしょうか。私の主人は、散財はしないほうですが、どちらかというと「老後はなんとかなるだろう」と楽観視しているくちです。でも私はそうは思いません。

老後のことを考えるには遅すぎる年齢かと思いますが、真剣に考えたいのです。自分たちの老後資金は足りないのでは?と考えると不安です。ましてや、母の認知症が進んだらと思うと…。今以上に症状が良くなることはないと思いますので。いずれは施設に入居することになると思います。

私からあれこれ言うよりも、プロの方にご意見をいただいて、主人を説得できればと考えています。マイホームの購入も考えていますが、子どもをもう一人ほしい気持ちもありますし、天秤にかけてしまいます。もう40歳を過ぎたので、諦めたほうがいいのかなあと思いながらも、結論は出ていません…。

相談者・斎藤さん(仮名)について

プロフィール

職業 会社員
年齢・性別・兄弟姉妹 43歳・女性・一人っ子
居住地 岡山県
世帯構成 夫(45歳)、長女(4歳)
世帯年収(手取り・ボーナス込み) 488万円
賃貸・持ち家(マンション) 賃貸アパート
1台

1か月の収入

手取り月収(世帯) 36万円

1か月の主な支出

生活費合計 23万円
住居費(管理費・修繕積立金) 7万2,000円
駐車場代 2,500円
食費 5万円
保険 2万5,000円
通信料 1万円
交際費 4,000円
娯楽費 1万円
交通費 1万7,220円
親への仕送り 4万円
月々の貯蓄 7万2,000円

貯蓄・投資

普通預金 1800万円

相談者の親について

プロフィール

68歳 要介護1
居住地 大阪府・賃貸住まい
預貯金 約90万円

1か月の収入

年金収入 約6万円

介護施設に入居する場合にかかる費用

グループホーム入居一時金 20万円
月額利用料 8万9,000円(別途費用を除く)
自己負担額(要介護1・自己負担2割の場合) 2万4,023円/月

収入の33%を貯金できる超貯蓄体質!
ほかの子育て家庭と比べても貯金が多ければ
老後の資金は心配ナシ!?

ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみです。今回で5回目の相談となります。本日の相談は岡山県にお住いの斎藤さん(仮名)ご夫妻のご相談です。

現在、斎藤さんは4歳のお子さんが1人、お母様が69歳で要介護1となり、軽い認知症も患ったことで家計が大きく変わってしまったと言います。現状でマイホームが欲しい、子どもはもう1人欲しい、そして老後は不安といくつかの希望と不安を抱えながらお母様を支える状況です。

現在の世帯年収がご夫婦合わせて596万円、月の貯金額が7万円です。介護発生前には不要だった大阪に住むお母様への仕送り4万円と月2回の交通費約1.8万円、合計5.8万円も考慮すれば、毎月12.8 万円ほどの貯蓄が出来ていました。

収入の596万円から毎月の生活費+貯金額+仕送り等の負担を差し引くと差額が48万円、つまり毎月の貯金とは別にボーナスで年間48万円ほど貯蓄ができています。したがって、貯蓄額の合計は年間201.6万円と、収入に対してかなりの額でした。ただ、仕送り等によって貯蓄のスピードが落ちてしまったことに不安を感じていらっしゃるようです。

仕送りをする前の貯蓄は収入の約33%でしたが、現在は22%程度まで落ち込んでいます。子育て費用の将来的な増加なども考慮すれば不安を感じるのも仕方ないとは思いますが、収入の33%を貯金できているご夫婦は滅多にいませんので、お二方ともに貯蓄体質でスリムな家計です。

ご本人が43歳、旦那様が45歳でお子さまは4歳と高齢出産だったことも不安材料のようですが、その分だけ貯金額は1800万円としっかり貯まっています。これだけの貯蓄があれば住宅購入の希望も無理な状況ではありません。

まず、お母様の今後については認知症の症状もあることからグループホームへの入居を検討されているとのことです。その際に必要な費用は一時金が20万円、月額利用料が8万9,000円、介護保険料が月額2万4,000円となっています。一時金はお母様の貯蓄から出すことは可能な額です。毎月の費用となる11万3,000円のうち、お母様の年金が6万円、差額の5万3,000万円が今後の負担となります。

加えて、グループホーム入所後も多い時で週1回、少なくても月に1、2回は通う必要があるとのことですので(斎藤さんご自身の希望)、その分だけ交通費も継続的に発生するようです。平均で月に2回と考えれば、現在と同じで1万8,000円、先ほどの5万3,000円と合わせれば7万1,000円。現在の負担額よりも1万3,000円の負担増です。現在の毎月の貯金額は7万円ですから、そこから1万3,000円を差し引いて毎月の貯金可能額は5万7,000円に減ります。

入所後は貯金額が減ることを考えると不安かと思いますが、それでも年間で113万円(月額5万7,000円+ボーナス分48万円)と、収入の18%程度は貯蓄出来ますので、他の家庭と比べても多いくらいです。

頭金で貯金が減ってしまうのは不安…
現在の家賃と同程度の返済額で
住宅購入は可能?

住宅購入については、無理をしなければ可能といったところでしょうか。

下記は、借入額をかなり控えめに計算して、旦那様の定年退職の60歳(15年後)まで毎月5万円〜10万円を返済した場合の借入可能額です。金利は2016年12月25日時点で最低水準を適用しています。

月額
返済額
返済
年数
返済
金利
借入総額 年間
返済額
返済総額 返済
比率
10万円 15年 0.83% 1,691万9,095円 120万円 1,800万円 20%
9万円 1,522万7,185円 108万円 1,620万円 18%
8万円 1,353万5,276円 96万円 1,440万円 16%
7万円 1,184万3,366円 84万円 1,260万円 14%
6万円 1,015万1.457円 72万円 1,080万円 12%
5万円 845万9,547円 60万円 900万円 10%

毎月10万円の返済ならば約1691万円が借入可能です。ローンの返済に加えて、一軒家ならば固定資産税、マンションならば管理費と修繕積立金も加わります。このケースでは毎月12〜13万円ほどの支払いとなり、現在の家賃である7万2,000円より5万〜6万円ほど支払額が増加します。すると、年間で住宅コストの支払い額が60〜72万円ほど増加し、年間の貯金可能額は40〜50万円くらいまでに減ってしまいます。

頭金に1,000万円を入れて、予算が2,700万円ほどであれば一軒家、あるいは新築や築浅のマンションも購入可能な金額になりますが、毎年の貯金可能額が大幅に減ってしまう状況は不安かもしれません。

そこで返済期間を15年から20年まで延ばせば、同じ額を借りても現在の家賃7.3万円と同額程度までローン返済額を減らすことができます(金利0.9%で計算)。返済総額は15年で返済した場合と比べて48万円ほど増えますが、資金繰りを考えれば毎月の支払い額は無理のない金額まで減ります。

月額
返済額
返済
年数
返済
金利
借入総額 年間
返済額
返済総額 返済
比率
10万円 15年 0.83% 1,691万9,095円 120万円 1,800万円 20%
7万7,016円 20年 0.90% 1,691万円 92万4,193円 1,848万3,856円 15%

このプランならば固定資産税や管理費を考えても年間貯金額は現状維持が可能かと思います。

確実に節約できる支出は保険と携帯電話。
食費や光熱費のカットは手間がかかるわりには
節約の効果が見込めない

家計で削れる箇所がないか確認すると、保険料と通信費は削れる状況です。月に2万5,000円の保険料は払い過ぎです。まず、ご夫婦とも医療保険は不要です。医療保険は元が取れるような設計になっておらず、万が一への備えでもありませんので、病気やけがによる入院は健康保険と貯金で対応すれば十分です。

お子様の子ども共済(県民共済)も不要です。子どもの医療費は多くの地域で小学校あるいは中学校まで無料ですから、子どものうちに多額の医療費が発生する可能性は低く、死亡保障も不要です。

保障に含まれている、モノを壊すなど他者に損害を与えた時に役立つ個人賠償責任保険が必要でしたら、自動車の保険のオプションでつけられないか調べてください。数百円で追加できる場合があります。これらの削減だけでも1万円ほどは削ることができます。

学資保険は貯金と比べて特に有利な貯蓄方法ではありませんので本来は不要ですが、今から解約をすると損をしてしまいます。保険会社が破たんしない限り実質的に貯金とほぼ同じと考えてかまいませんので、貯蓄扱いとして一旦放置していいでしょう。

通信費については、格安携帯(格安SIM)を使えば1台あたり月に1,000円台半ばまで減らすことは出来ます。詳細はネット上で比較サイト等が多数ありますのでそちらを参考にしていただければと思いますが、保険と携帯代は多くの家庭で確実に、そして長期にわたって削ることが可能な支出項目です。食費や光熱費は無理に削る必要はありません。手間ばかりかかってほとんど節約の効果は見込めない上に生活の満足度が下がってしまうからです。

学費を全額負担した分、
老後資金が大幅に減るならば
かえって子どもの不安を増加させる状況に

老後資金について、お母様が施設に入居した現時点で100万円前後の貯金額を維持できれば、住宅購入の頭金で取り崩した1,000万円は60歳までにはなんとか回復できると思います。1,800万円+退職金があれば他の家庭と比べても決して悪い状況ではありません。100万円×15年ならば1,500万円になりますが、差額の500万円は教育費で消えます。

今後の教育費次第では貯蓄のスピードはもっと遅くなる場合もありますが、今の収入が横ばいの前提ならば貯金を取り崩すほど家計が悪化することはありません。なお、奨学金は高校生から使えるものもありますので、検討してください。

大学進学を検討されるのであれば、自宅から通って学費はお子様のアルバイト代と奨学金でまかなう、という支払い方を検討してください。私立大学であれば学費をご夫婦で全額負担すると老後資金は大幅に減ります。これはかえってお子様の不安を増加させる状況になりますので、奨学金の利用は必須と考えてください。

大学の学費は平均で年間約86.4万円、施設設備費約18.6万円、これが4年分に入学金が26.1万円となっていますので、合計で約446万円です(文部科学省「平成26年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」による)。

このうち200万円は学資保険でまかなえますので、残りは246万円です。これくらいならば全額奨学金で借りても将来的な負担はさほど大きくはなりませんが、お子さま自身がアルバイトからある程度の負担、例えば月額3万円を負担すれば3万円×12か月×4年=144万円となり、奨学金の借入額は約100万円まで減らすことも可能です。

奨学金なんてフリーターでも怖くない。

ただ、大学4年間で240万円(月額5万円)を借りた場合でも、返済期間が15年で毎月の返済額は1万3,504円です(2016年度の3月卒業時の利率固定方式・金利は0.16%で計算、保証料を含む)。利率見直し方式(金利が変動するタイプ)の最高金利である3%で計算しても15年間の返済額は保証料込みで月額16,769円です。

将来、お子様の大学進学時に金利がどうなっているかは分かりませんが、多少上がっても毎月の負担額は決して大きくはないと言える額です。実家住まいであればフリーターになっても返済可能でしょう。無理にご夫婦が負担をしたり在学中のアルバイト代で借入額を減らしたりしなくても問題のない水準です。お子様が大きくなる頃には返済不要の奨学金が増枠している可能性もあります。

2人目のお子様について、これは何とも言えません。給料の額から考えて生活が出来ないことはまずありませんが、子育て費用がかかるだけではなく産休・育休・時短勤務で収入も確実に減ります。お子様が1人の状況と比べて生活水準は確実に下がります。

身もふたもない話ですが、子どものいないご夫婦は多額の貯金を持っていることは珍しくありません。斎藤さんご夫婦が他のご夫婦と比べて多額の貯金がある理由も、高齢出産で他のご夫婦ほどにまだ子育て費用が発生していないからです。

これについては何を優先したいのか、どんな生活を送りたいのか、お二人のライフプラン次第ということになります。

将来の年金はゼロになるのか!?
老後資金を調達する5つの方法

さて、最後に老後資金を調達する方法ですが、年金がもらえない=老後が不安、と多くの人が考えています。年金に対する不安は消費にも強くマイナスの影響を与えていると思いますが、過剰な不安は不要です。

現在の年金制度で想定されている通りの額を将来もらえることはまず考えられませんが、ゼロになることもありません。たとえ日本が財政破たんしたとしても、年金がゼロにはならないはずです。呼び名が年金か生活保護か、あるいは両者をくっつけて新しい制度が出来るのか、将来的にどのような制度になるかは分かりませんが、ゼロはないと考えてください。もし本当に年金がゼロになったら餓死者が続出します。そのような状況を国が放置して他の事業に予算を投じることは考えられないからです。

ただ、年金がどれくらい悪化するか予想は出来ません。予想が出来ないことを心配しても意味がありませんので、考えられる範囲、可能な範囲で対応すれば良いだけです。老後資金は年金を含んだ5つの手段で対応すべきと考えてください。

  • 貯金
  • 退職金・企業年金
  • 老後に働く
  • 相続
  • 年金

相続の有無は人によりけりですが、平均年齢で考えても父親は80歳、母親は85歳で亡くなりますので、相続を受け取る子どもも既に高齢者になっています。

斎藤さんの場合、ある程度の貯金は見込めそう、退職金は勤続年数や会社の制度、あとは退職時の会社の状況によってかなり変わりますが、現時点での制度は確認してください。老後に働くことは体力と能力によってどれくらい稼げるか人によって大きく変わる部分です。相続について奥様は期待できませんが、旦那様のご両親の状況は確認してください。

年金については予想しても仕方ないと書いた通りですが、厚生年金に加入していれば少なくとも国民年金だけの人よりは多くもらえるはずです。厚生年金は給料が多いほど、加入期間が長いほどたくさんもらえます。ご夫婦で共働きを続けるメリットはこんなところにもあります。

お母様に介護が必要になって不安な状況かと思いますが、以上、参考にしていただければと思います。

 

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