市の北部に多数の老人ホームが点在
香川県の県庁所在地である、高松市。
四国のなかでは松山市に次ぐ大都市であり、人口の多さも四国全体で第二位です。
高松市は官公庁や国の出先機関がたくさん集まっているほか、民間企業の拠点も数多く置かれており、四国の中枢を担う都市です。
高松市の北端は瀬戸内海に面していますが、南端は徳島県に隣接しており、香川県のほぼ中央部を縦断する形状となっています。
県内ではかなりの面積をカバーしていますが、これは合併が何度も繰り返されてきた結果でもあります。
加えて、松山市には周囲から人がよく集まることもあり、人口はずっと前から右肩上がりに伸びています。
とはいえ、近年はその伸びる勢いはかなり衰えています。
その一方、高齢者の占める割合は増加しており、2023年時点で28.4%に。
高松市では、3年単位で高齢者向けの保健福祉計画を見直す体制をとっています。
こうした努力が少しずつ実を結んでおり、介護保険制度の充実をはじめ、数多くの成果を出しています。
なかでもユニークな事業として「高齢者居場所づくり事業」や「高齢者特別あんしん見守り事業」があります。
前者は、家にこもりがちな高齢者が集う場所を用意するために、助成金などを援助するというものです。
後者は、定期的な訪問が必要な高齢者のもとへ、係員が出向いてさまざまな便宜をはかるという内容です。
高松市にはすでに、数々の老人ホームや高齢者専用の住宅が建てられています。
特に市の北部には、種類を問わず高齢者向けの施設がたくさん見つかります。
軽費老人ホームや介護療養型医療施設は、どちらかといえば少数ですが、有料老人ホームやグループホームについては少し探すだけでも何十軒と出てきます。
まとまった資金が必要な施設もありますが、入居一時金がほとんどかからない施設もありますし、月額の利用料が13万円前後で間に合う施設も少なくありません。
高松市では、高齢者やその家族を助けることを目的として、これからも独創的な制度がつくられる可能性があります。
介護施設を選ぶ余地も多く残されており、老齢になってもずっと幸せに暮らせる可能性が強く感じられます。
高松市の2023年の高齢化率は28.4%
高松市の高齢化率は年々上昇しています。
2023年の調査によると高松市の総人口は42万2,424人で、そのうち65歳以上が11万9,784人となっており、高齢化率は28.4%でした。
高齢化率の全国平均は29.1%なので、平均は下回っているものの、4人に1人以上が高齢者という状況。
40歳から65歳の「高齢者予備軍」ともいえる人々の人口もも年々増加しており、超高齢社会へ一歩ずつ進んでいるのが分かります。
高松市は今後、2025年には高齢化率30.7%まで上昇すると想定しています。
さらに、「団塊ジュニア」と呼ばれる1971~74年あたりに生まれた人々が、全て65歳以上になる2040年には、総人口が40万5,629人まで減少。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
高松市では、総人口は減っていますが世帯数は増えており、高齢者世帯も増加しています。
2020年には全18万7,511世帯のうち24.2%を占める4万5,563世帯が高齢者のみの世帯でした。
老老介護や孤独死問題などへの対策が急がれます。。
そういったなか、高松市は介護支援サポートや地域包括ケアシステムを充実させ、高齢者が暮らしやすい街をつくろうとしています。
高松市ではグループホームの利用者が増加している
高松市では高齢者の増加に伴い、要支援・要介護認定者も増加しています。
2010年には1万8,533人だったのが、2015年には2万3,230人、2020年には2万5,291人、2024年に2万5,800人となっており、今後も増加が見込まれています。
高松市を日常生活圏域で分けると、夜間対応型訪問介護は太田エリアや龍雲エリアの利用者が多く、今後も増加すると推定されています。
認知症対応型通所介護は勝賀・下笠居エリアや太田エリア、龍雲エリアなどが多く、地域密着型通所介護は中央東エリアが多いです。
そのほかにも小規模多機能型居宅介護など、高松市の高齢者はさまざまなサービスを利用しながら生活しています。
高松市はニーズに応じた介護支援サービスを提供し、今後も増え続ける利用者に対応しようとしています。
「こころの健康セミナー」では心身の介護予防を実施
高松市では、介護予防・重度化防止のための介護予防にも力を入れており、さまざまな取り組みをしています。
楽しく体が動かせるよう、「元気いきいき教室」などの介護予防教室、「からだ機能改善体操教室」や「骨盤体操教室」などの機能維持・改善ができる運動教室を開催。
さらに、みんなで楽しめるようにゲートボール大会やグラウンドゴルフ大会など、高齢者向けのスポーツ・レクリエーション大会を開催しています。
元気いきいき教室は、足腰を鍛え健康増強ができる教室で、要支援・要介護認定を受けておらず、介護予防・日常生活支援サービスを利用していない65歳以上の人なら誰でも無料で参加できます。
また、社会福祉協議会やボランティア団体などが中心となり、高齢者の地域交流をサポートしていますし、高齢者の外出支援の一環として、コミュニティセンターなどで高齢者講座を実施しています。
児童による高齢者福祉施設の訪問・料理などの共同作業など、地域全体での交流も推進。
糖尿病予防教室や健康チャレンジ事業、のびのび健康体操の普及などを通じ、生活習慣や食事習慣の改善サポートなども行っています。
また、病気を機に介護度が上がる人が多いので、感染症予防対策も実施し、高齢者肺炎球菌予防接種やインフルエンザ予防接種の普及に努め、骨粗鬆症予防教室や出前講座なども開催。
こころの健康維持のために、「こころの健康セミナー」の実施や、心の相談や健康相談なども随時行っています。
高齢者のコミュニケーション能力維持にも力を注いでいる
高松市では、高齢者が安全かつ幸せに暮らせるよう、地域包括ケアシステムを含めた老人福祉計画を推進。
高齢者に必要な介護サービスの確保、在宅医療などの高齢者生活支援を行うことで、介護者側への支援・相談体制を充実させています。
社会全体で高齢者の見守りを実現するため、自治会やボランティア団体、老人クラブなどの活動支援も行っていますし、高齢者の生活相談の場を増やしたり、介護予防サービスの内容を増やしたりしています。
高齢者の中でも、介護や生活支援を必要としていない自立高齢者の割合は、2016年の調査によると79.1%と高め。
しかし、年々自立高齢者の数は減っていくと推測されており、介護予防・重度化防止のため、介護予防体操などを介護予防事業を推進しています。
また、シルバー人材センターの充実や高齢者による茶話会のお世話など、高齢者の社会参加を応援し、高齢者の居場所づくりやコミュニケーション能力の維持にも協力しています。
そのほかにも、認知症対策や感染症予防対策、住まいの整備・充実、ノンステップバスの導入などの公共交通サービスの充実、避難時要支援者名簿の制作、災害時の援護体制の充実など、高松市は非常に多角的な高齢者向けサービスを実施しています。
地域包括ケアシステムは、地域包括支援センターが中心となっていますので、サービスを利用したい人は、地域包括支援センターに相談すると良いでしょう。
高松市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
高松市では高齢者のさまざまな相談に対応しています。
地域包括支援センターの「あんしんサポート」では社会福祉士や保健師、主任介護支援専門員などの専門職が、福祉や医療、保健など総合的な支援を実施。
認知症や日常生活、健康に関することなど、高齢者の総合相談を行っています。
また、高齢者の権利擁護も行っていますので、振り込め詐欺などの消費者被害への対応、財産保護、虐待などによる権利侵害に関する相談も可能です。
寝たきりの人には、電話相談や訪問相談で対応可能。
認知症の人には成年後見制度の適応をするなど、問題解決に必要な機関に繋いでもらえます。
夜間や休日は老人介護支援センターが窓口です。
老人介護支援センターは、地域包括支援センターにつなぐための窓口で、自宅介護で暮らしている高齢者やその家族の相談に24時間対応しています。
老人介護支援センターは、老人保健施設や特別養護老人ホーム、社会福祉協議会に併設されており、高松市には約28ヵ所もあるので相談しやすいでしょう。
「訪問介護をしてもらっているが、内容が説明と違う気がする」「施設に入居しているが食事が余りもらえない」といった福祉サービスへの苦情相談は、主に香川県社会福祉総合センター内にある社会福祉協議会が運営する「福祉サービス運営適正化委員会事務局」が受け付けています。
相談は無料で、内容に応じた調査を行い、改善を促します。
その他にも、高齢者に限らず、高松市民の生活相談や健康相談など、様々な相談を実施しています。
相談窓口が分からない人は、地域包括支援センターに相談すると、適切な窓口を紹介してくれるでしょう。