岩手の県庁所在地として、インフラや環境などが秀逸な盛岡市

岩手県の中央からやや北寄りに位置する、盛岡市。盛岡城とその周囲の城下町を中心に、数世紀にわたって繁栄を遂げてきました。
現在は東北有数の大都市として機能しており、市内中心部では大変便利な生活スタイルを望める一方で、「駒ケ岳」や「岩手山」などの山々を市内中心部にいながら眺めることができる、自然豊かな街です。
盛岡市は、平安時代以降から数々の歴史的事件の舞台となってきたため、史跡や古墳、神社仏閣や資料施設などの多さが特徴。そのひとつである盛岡八幡宮の秋の例大祭は、遠方からも大勢の見物客が押し寄せます。
市内の電車事情は、「東北新幹線」や「秋田新幹線」が停車するほか、JR「東北本線」「花輪線」「山田線」が走っていますし、市内に拠点を追いている「いわて銀河鉄道線」も便利に利用することができます。
車道では「盛岡秋田道路」や「宮古盛岡横断道路」の壮大なプロジェクトが進行中。東北自動車道では、重要な都市である盛岡市内にはインターチェンジを2ヵ所設置しています。
また、バスの使用時には「岩手県交通」「岩手県北バス」「JRバス東北」とメジャーな業者が3社進出しており、発達した交通網を利用できるようになっています。
これまで、県の各地から人の流入が絶えなかった盛岡市ですが、人口増加率は1990年代から失速。2000年前後に人口がピークに達してからは、微減と微増を繰り返しており、将来的な人口低迷に向けてさまざまな打開策が考え出されています。
高齢化率は2023年には28.7%となています。これは全国平均と同水準ですが、事態が深刻化する前に官民双方が対応に乗り出してきているのが今の盛岡市です。
盛岡市内の老人ホームや高齢者専用住宅に目を向けると、あらゆるタイプの施設が出揃っていることがわかります。公営の施設も民間の施設も選びやすいため、気になる施設は1軒でも多く見学を重ねたほうが賢明でしょう。
ちなみに、サービス付き高齢者向け住宅は今急激に増えている施設のひとつですが、月額使用料が10万円以内の施設も出てきており、これから施設を探す方にはおすすめです。
2023年には高齢者人口は8万人を超え、高齢化が急激に進んでいる
盛岡市は、岩手県の県庁所在地。「わんこそば」「盛岡冷麺」「盛岡じゃじゃめん」などの盛岡グルメが人気で、市内外からたくさんの人が食べに来ています。
盛岡市は、岩手県では比較的人口が多い中核市。道路の狭さから発生する渋滞を、路線バスを充実させることで緩和させています。
そんな盛岡市ですが、総人口は減少傾向にあり、2040年には総人口が25万人を下回るとの推計。介護保険制度が始まった2000年と比較すると、約5万人近く減少する予測となっています。
2015年には年少人口の割合が12.6%、高齢者人口の割合は25.1%でしたが、2023年には年少人口割合は11.7%、高齢者人口割合は28.7%と少子高齢化が急激に進んでいるのがわかります。
さらに、2040年までには高齢化率40%となる予測で、ますます少子高齢化が深刻になると予測されています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
出生数と死亡数をみても、2010年までは出生数・死亡数どちらも2,500人ほどでしたが、翌年の2011年から出生数は減少し死亡数は増加。2015年には、死亡数が出生数を551人上回りました。2023年には出生数1,938人、死亡数3,353人となっています。
盛岡市の出生率は上昇してきていますが、岩手県の平均を下回っている状態です。今後も出生数が減り続ける恐れがあり、少子高齢化対策が重要な課題といえるでしょう。
「訪問介護」などのサービス需要が高い
2024年の調査によると、盛岡市で介護保険サービスの要支援・要介護認定を受けている人は合計1万7,016人。中でも一番多いのは要介護1の3,627人です。
65歳以上の第1号被保険者数を段階別に見てみると、2024年のデータでは要介護1が最多。次いで要介護2が多く、それ以外は1,500~2,000人前後となっています。

ちなみに、40歳から64歳までの第2号被保険者も366人が要支援・要介護認定を受けており、65歳以上の第1号被保険者の中の要支援・要介護認定者と合わせると、年々増加。自宅で暮らす高齢者が多いため、介護保険サービスのなかでも家事や介護をしてもらえる「訪問介護」の需要が高いようです。
また、介護とともに在宅医療を必要とする高齢者も増えており、「訪問看護」や「居宅療養管理指導」の利用者も増加。車椅子や介護ベッドなどを貸し出す「福祉用具貸与」も年々需要が高くなっています。
今後、送迎付きのデイサービスや、認知症対応デイサービス、通所リハビリテーション、ショートステイ、短期入所療養介護なども、ますます需要が高まると予測されており、盛岡市は人材の確保やサービスの質の向上などを目指しています。
介護予防のための「元気はなまる教室」を実践している

盛岡市では、「運動器の機能向上」「閉じこもり予防」「栄養改善指導」「口腔機能の向上」「うつ予防」「認知症予防」の6つを柱として、介護予防活動を推進中。介護教室や医療保険講座に加え、健康体操などの介護予防教室を実施しています。
老人福祉センターでは、高齢者が気軽に介護予防プログラムを受けられるのが魅力。センターは市内に約30ヵ所あるため、自宅から通いやすいのがポイントです。
また、同センターでは「元気はなまる教室」や「介護予防ヨガ教室」「介護予防太極拳教室」を実施し、高齢者が楽しく体を動かせるように配慮。定期的に通うため、閉じこもり防止にもなっています。
老人福祉センター以外にも、盛岡市内では健康づくりを目的とした教室などを多く開催しており、公民館などで栄養教室やウォーキング教室、筋力アップのための体操や、軽体操を実施。「健康増進教室」では、マッサージなどの指導を実施しています。
そして、盛岡市では、大腸や胃、肺など各所のがん検診を行い、早期発見・早期治療を推進中です。病気や風邪が要介護状態の引き金となる場合が多いため、インフルエンザなどの予防接種も実施。盛岡市は高齢者の健康維持や介護予防を積極的にサポートしています。
さらに、勉強や趣味活動は認知症予防にもなるため、高齢者の生涯学習も支援。「もりおか老人大学」では、さまざまな教養講座が受けられます。
地域包括ケア実現に向けて高齢者の就労支援にも力を入れている

盛岡市は、「地域包括ケアシステムの構築」と「高齢者の健康や生きがいづくりの促進」「高齢者福祉サービスの充実」を基本方針として、高齢者が住み慣れた場所で自立した生活が送れるよう、環境を整えています。
包括的なケアとして、安否確認も兼ねた配食サービスや、緊急通報措置の貸与などを実施。一人暮らしの高齢者や高齢夫婦のみの世帯も、安心して暮らせるように配慮しています。
盛岡市では認知症高齢者が増えており、認知症サポーター養成講座や認知症ケアも含めた介護教室を開催。地域全体での見守りを実現するため、声かけの模擬練習なども行っています。
加えて、盛岡市では高齢者の就労支援も行っており、高齢者の活躍の場を広げています。就労状況をみると、就労者全体のなかで、高齢者の割合は10.7%。働き手の10人に1人は高齢者となっており、まだまだシニアパワーに頼っている状況です。
さらに、介護保険サービスだけでなく、高齢者のサポートを行うボランティア活動の支援などを通し、高齢者福祉を充実させています。高齢者向けの住まいの確保にも積極的で、サービス付き高齢者向け住宅などの増設にも目を向けています。
盛岡市の福祉サービス運営適正化委員会とは?
盛岡市では、高齢者の悩みを解決するための、各種相談窓口を設けており、岩手県高齢者総合相談センターでは「シルバー110番」を実施。高齢者やその家族の相談に乗っています。

盛岡市消費生活センターでは「消費者110番」を実施。振り込め詐欺や買物に関するトラブルなどを相談できます。
また、盛岡市社会福祉協議会では、生活の悩みや金銭問題、家族間のトラブルなどに対応する「心配ごと相談」を実施。相談は無料です。
高齢者訪問指導事業では、地域包括支援センターや介護支援センターと連携。市のスタッフが一人暮らしの高齢者や虚弱高齢者を訪問し、相談に乗ったり支援を行ったりしています。寝たきりなどで外出できない人も、気軽に悩みを打ち明けられるのが魅力です。
保健所では「定期健康相談」を行い、こまめに市民の健康に関する悩みを聞き入れており、町内会などからの要望があれば「地区健康相談」も随時行っています。「ちょっと腰が痛い」「ここ数日眠れなかった」といった相談が気軽にできるでしょう。
そのほかにも、年金相談や交通事故相談、くらしの法律相談、地域福祉コーディネーター相談などを実施するなど、盛岡市は高齢者が悩みを一人で抱え込まず、何でも話せる環境を整えています。