田原総一朗「朝まで生テレビの収録中に、“気づいたら死んでいた”というのが理想的だ」
田原総一朗氏、御年81歳!誰もが持つイメージは『朝まで生テレビ』での切れ味鋭い発言と采配ぶりだと思うが、実は亡き奥様の介護を経験したという過去があることをご存知だろうか?賢人論。第2回は、介護の実体験を持ち、かつ政治の世界にも精通する田原氏が今考える、「日本社会と介護業界の課題、そして未来」について伺っていく。前編はまず、奥様・節子さんの介護エピソードからスタート。
文責/みんなの介護
介護は新しい男女の「愛」の形
みんなの介護 田原さんご自身2004年にがんで亡くなられた二番目の奥様、節子さんの介護をなさっていた経験があるとお伺いしました。1年あまり、車いす生活の節子さんの介護をなさっていたそうですが、実感としていかがでしたか?
田原 介護って、基本的に楽しいものなんですよ。介護ほど楽しいことはない。
みんなの介護 「楽しい」ですか!?
田原 楽しいですよ。僕は2人の女房を両方とも看病、介護することになったけど、とっても楽しかった。1人目の女房はガンで若くして亡くなり、2人目はやっぱりガンで67歳で亡くなって、長く闘病生活と介護が続いた。特に2人目の女房の時は、介護がとても楽しかったね。
みんなの介護 具体的にはどんな点が「楽しかった」のでしょう?
田原 僕がまだ若くて体が動いたというのも大きいんだろうけどね。女房を毎日風呂に入れるわけだけど、女房を脱がして僕も一緒に裸になって、相撲を取るような格好で女房を湯船に入れ、体を洗うわけです。だって、普通だったら60歳も過ぎた男女が裸でふれあうことなんてなくなるでしょう? 裸になってべったりとくっついて…僕は介護は新しい愛の形だなと思った。だから夫、妻の介護が苦しいという人の気がしれないんだよね。
みんなの介護 なるほど、介護を始めたからこそ、新しい感情が芽生えた、ということですね。
田原 愛する人を世話するんだから、楽しいに決まってるじゃない。問題は、自分の体が不自由になって動けなくなった場合ですよ。老老介護の難しさはわかる。夫婦両方とも80代になっちゃった場合とかだと、介護する側も大変だよね。50~70代の介護はあまり問題ないと思う。80代になってからの介護が一番の問題だと思うな。
みんなの介護 田原さんの場合、節子さんのがんが進行し、脊髄や脳への転移から介護が必要な生活になったそうですね。節子さんが乳がんに罹患された時点で、そのような状況というのは覚悟していたんでしょうか?
田原 別にしていなかったね。なればなったでしょうがないじゃない?
僕の周りでも、夫や妻のどちらかが認知症になった場合は施設に入れることが多い
みんなの介護 ご自身の老後や介護のイメージなども、考えられていたことは……。
田原 ないよそんなもの(笑)。最初の結婚の時は25歳だったし、若いからまず考えないよね。2回目の時も、それは考えてなかった。
みんなの介護 では、「考えなければいけないな」となったのは最初の奥様と死別され、その後再婚した節子さんが介護が必要な状況になってから、という感じなのでしょうか。
田原 そうだね。心構え? そんなのなくてもなんとかなるよ(笑)。できるできる。
みんなの介護 でもその時は、ご自身もお仕事をしながら介護をして……という生活ですよね。肉体的に辛くなかったですか?
田原 楽しいんだから、辛くはなかったね。だって、自分のことを必要としてくれてる人が、家に帰れば自分のことを待ってくれているんだもの。しかもその相手と、具体的に体を接して触れ合っているわけだから。僕も楽しかったし、向こうも楽しいと思ってくれてたんじゃなかったかな。
みんなの介護 介護を通じて夫婦のコミュニケーションをとる物理的な時間も増えるし、会話も増える、と。
田原 とてもいいよね。だからこそ、夫婦間の介護は認知症になった場合が問題になってくると思うんだよね。体が動くか、コミュニケーションがとれるか、この2つが大事だなと。辛いのは、一つは老老介護のように自分が動けなくなった場合、もう一つは相手が認知症になった時だよね。自分のことがわからず、相手とコミュニケーションがとれない、というのはとても辛い。だから僕の周りでも、夫婦のどちらかが認知症になった場合は介護施設に入れることが多いよね。
みんなの介護 ただ、そういった場合、周囲の反対があって施設にいれられない…というケースもあるようですが。
田原 そんなこと、ある?だって親を施設に入れようとする時に、誰が反対をする?
みんなの介護 よく聞くのが、面倒はみないしお金は出さないけど、口だけ出す親戚に反対されるという話ですね。
僕の周りでも、夫や妻のどちらかが認知症になった場合は施設に入れることが多い
みんなの介護 介護者の大きなストレスとして排泄介護の問題もありますよね。
田原 でも今はロボットも出てきたし、活用すればいいと思うけどな。僕は今、介護する相手がいないからわからないけど、老老介護になったとして、この歳で介護をするのはしんどいと思うよ。
みんなの介護 先ほどの田原さんのお話は、夫婦で介護というケースですよね。でもよく聞くのは、親子間の介護だと、例えば愛情が裏返ってしまったり…と、なかなか難しい場合もあるようです。
田原 親子でもいいじゃない、と思うけどなあ? でも親子の介護の場合だと、自分の子供の世話をしながら、親の世話もすることになる。それは明らかに過労だよね。
みんなの介護 先ほど言われていた、認知症の問題もありますしね。
田原 やっぱりね、コミュニケーションできないというのは、厳しい。介護が楽しいというのは、根本的にコミュニケーションがあるから成立するわけだから。
みんなの介護 お話を伺っていると、田原さんの場合ご夫婦での介護がうまくいったのは、「パートナーを愛している」という実感があったからかな、と思います。
田原 愛しているから一緒にいるんでしょ?なければ別れればいいんですもん。僕の周りで夫婦で介護やってる人は、大体楽しそうにやってますよ。
みんなの介護 ちなみに田原さんご自身、ご両親の介護は?
田原 僕はね、両親の介護をまったくしていないんですよ。親父は孫を小学校へ自転車で送って行って、帰ってきて昼寝してそのまま死んじゃった。心臓の病気で、死んだ時は72歳でした。お袋は庭へ花を積みに降りて、そのまま倒れて亡くなっちゃった。お袋は脳の病気で、84歳で亡くなった。2人とも、とても子供孝行な死に方をしたわけです(笑)。親父は100歳まで生きると思ってたから、そう考えると早かったかな。
みんなの介護 おそらく今、田原さんと同世代の方だと実際に介護を受けている方も多いと思うんです。失礼な質問かもしれませんが、もしご自身が今後介護を受ける側になった場合、どうされますか?
田原 僕は、自分の子供には介護されたくないんですよ。ピンピンコロリが一番いい。そうなりたいな、と思ってるんだけど。
みんなの介護 なるほど。でも今は延命治療も発達していますし、もしかしたら今の医学がそれを許さない場合もあるかな…とも思いますが。
田原 だったら、延命治療を求めないと決めておければいい。そこはね、自分が判断すればいいんじゃないかなと思うんです。
介護をされないで死ぬのが理想。『朝まで生テレビ』の収録中に死にたいね
田原 僕の周りには今、介護問題に直面している人たちはたくさんいるよ。きょうだいでも、奥さんが病気になっちゃって介護をしていて、という人間がいる。
みんなの介護 奥様の介護を今思い返されて、こう考えておけば、準備しておけば…ということはありますか?
田原 …うーん、そうだね。ある程度元気なうち、50~60歳くらいかな。そのくらいには老後どう過ごすか、例えば施設に入るつもりなのか、家にいたいのか、そのあたりを話しておいたほうがいいとは思う。
みんなの介護 田原さんご自身は娘さんたちとそういうお話はしていますか?
田原 してない(笑)。介護をされないで死ぬのが理想だから。上手くいけば両親みたいに死ねるんじゃないかな、と思って。希望的観測だけどね(笑)…僕が考えている一番理想的な死に方があって、『朝まで生テレビ』で田原がなんか静かになったなと。見たら死んでいた……というのが希望だね(笑)。
みんなの介護 田原さんらしいですけど、それは放送事故ですよね(笑)。でもそれだけ、『朝まで生テレビ』というのは田原さんにとって大きな存在なんですね。
田原 だって、誰が見たってむちゃくちゃだよ?81歳で夜中3時間、生放送でやってるんだから。体にいいわけはないよね。でも、楽しいんだ。
みんなの介護 体に良くないとわかっていても、だから出続けると。
田原 だってここまで生きちゃったから(笑)。だからもしかしたら、体にいいのかもしれないね。この歳になると、あれやってるから元気なのかな、と思うよ。まあでも、夜中だからね……やっぱり体に良くないか(笑)。
「移民のことを言うと選挙で落選する」というジンクス
みんなの介護 平均寿命自体が伸びることで、超高齢社会に突入している現状がありますが、今のこの状況をどう感じますか?
田原 平均寿命が増えれば、介護が必要な人は増えますよ。どうしてもね。でも介護施設はまだまだ足りないし、増やしたほうがいいと思う。
みんなの介護 しかし、課題自体はみんな把握していても、介護従事者の確保ができないという問題がありますよね。
田原 そう、人の確保も大事ですよ。現在の介護従事者が160万人、そして試算では、これから10年後の2025年には250万人以上が必要となる。これは大変ですよ。だからやはり僕は、移民を受け入れることしか解決策はないと思う。
みんなの介護 現状でも介護業界は海外から労働力を受け入れる姿勢を示していますが、移民を労働力として活用すべきだと。
田原 日本という国は全く遅れた国で、例えばドイツにしてもフランスにしても2003年、4年ごろに移民法ができてます。韓国も2007年に移民法ができている。でも日本にはないんですよ。移民に対する対策を、全く政府がやっていない。原因として、日本ではなんとなく「移民のことを言い出すと、政治家は選挙で落選する」という風潮があるんですね。だから誰も声を挙げなくなってしまった。僕は、安倍さんがこの先内閣総理大臣を続けるなら、やるべきだと思ってます。
みんなの介護 移民法とは、具体的にはどういう内容を想定していますか?
田原 きちんと言語の教育をして、きちんとした受け入れをするということを法で定めるということですね。現状の介護業界での外国人労働者の現状は、安かろう悪かろうというイメージが強く、非常に待遇が悪い。日本で外国人労働者を雇っている人たちの7割が違法というデータもある。だからそのあたりを法律できちんと作って、きちんと整備しないとだめですよね。それは介護だけでなく、漁業や製造業など、どの分野でもそうですが。
みんなの介護 確かに、移民の受け入れ対策に関しては日本は遅れているのが現状ですよね。
田原 日本は国民に対する海外移民の割合が1.6%で、世界で151番目ですよ。異常に遅れている。難民法もないしね。理由は明白、役人が逃げてるんです。
みんなの介護 先ほど言われた「移民対策をやると選挙に落ちる」というイメージも大きいと。
田原 移民が増えると犯罪が増えるというイメージもあるからなんですよ。でもね、そんなのはウソで、全然増えてないんです。2002年くらいから比べると、今は外国人による犯罪の率が1/4くらいに減っていて、それはまったくの誤解なんですよ。まあそのへんはマスコミも悪いよね。外国人が犯罪を犯すと、「◯◯人が犯罪を~」というのばかり流すから。
みんなの介護 外国人の介護従事者を受け入れる場合、コミュニケーションの問題も大きいようです。
田原 でも、そこは言葉をきちんと教育すればいいわけです。というより、そうせざるを得ないよね、人材自体がいないんだから。施設にしても在宅介護にしても介護従事者が足りない、施設に入ることができたとしても、いるのが外国人の介護従事者だけという状況もありうる。でもだったら、入ったほうがいいじゃない?
若い世代自体が減っている今、移民の受け入れは必然
みんなの介護 先ほどの犯罪率のイメージもそうですが、なんとなく、日本全体で「移民を受け入れたくない」という風潮は確かにありますよね。なぜなんでしょう?
田原 日本は島国だからね。もともと、日本には古来から移民がたくさんいるわけですよ。中国や朝鮮半島から渡ってきた人たちがいるわけだから。あと、今の企業に関しては外国人労働者自体は増えてるよね。おかしいのは、大学卒の外国人を受け入れる場合は来て欲しいんだよ。まあ、今の日本には海外の優秀な大学卒の労働者はなかなか来てくれないんだけどね。かといって、学歴のない外国人に対しては差別がある。
みんなの介護 日本人からすると、自分たちにメリットがある人は受けれたい、でもそうでない人たちに対しては「仕事がとられてしまう」という懸念があるんでしょうか?
田原 いや、今は人材自体がそもそも少ないんだから。取られるワケがないんですよ。今ファストフード店がどんどん閉店してるでしょう? 働く人自体が減ってるんです、若い人口がそもそも減ってるわけだから。
みんなの介護 そう考えると、前提として若い世代の介護者は増えない、と。
田原 若い人自体が減ってるから、そこはもう仕方ないでしょう。
みんなの介護 だとしたら、もう海外からの労働力に頼るしかないわけですよね。
田原 面白い話があって、野球選手で外国人選手がいるでしょう? でも彼らは「ゲストワーカー」なわけです。で、相撲に関しては「移民」なんだよね。その感覚の違いが興味深いなと。
みんなの介護 だとしたら、相撲の外国力士に対する感情を、外国人移民に対して持てるようになったらいいわけですよね。でも、それでも外国人に介護をされたくない!という人がいたら…。
田原 そんな人はね、施設に入らなければいいんですよ(笑)。一人で生きていけばいい。
社会保障費を減らすことと、従事者の賃金削減はイコールではない
みんなの介護 現状の介護に関する労働現場は、やはり3Kというイメージが強いと思います。この改善として必要なことは何だと思いますか?
田原 それは安倍さんの言っている「新三本の矢」の1つが「介護離職ゼロ」なことからもわかるように、介護職員の賃金を増やす、評価をきちんとする、これは大事だよね。
みんなの介護 一方で、社会保障費の捻出方法についても問題視されていますが、これに関してはどう思いますか?
田原 やはり、税金を上げるしかないよね。こんなに税金の安い国はないんだから。消費税だって、ヨーロッパは20%だからね? 社会保障を厚くするなら、日本は将来、ヨーロッパ並みにするべきだと思う。
みんなの介護 ただ多くの国民は、税金を上げなくてはいけないことは想定しつつも、そこにはちゃんと正当な使い方をされるかという不安感、不信感があるのかなと思います。
田原 そのために政治家がいるわけですよ、そういう不信感を払拭するために。
みんなの介護 田原さんから見て、今の政治の現場において介護問題というのはどう考えられていると思いますか?
田原 みんな真剣ですよ。しっかり取り組んでいると思う。だって、「みんなの介護」みたいな介護に関する媒体やサイトがこうやって増えてきているのも、世間の注目が集まっている証拠でしょう(笑)?
「定年は50歳、社会保障は70歳から」が理想
みんなの介護 前回にご登場いただいた堀江貴文さんのお話では、最低賃金を撤廃することで、高齢者でも働きやすい社会が理想という意見がありました。田原さんも未だ現役で働かれているわけですが、その点に関してはどう思いますか?
田原 それは大事だね。僕は、定年自体はもっと若くしていいと思う。でも、契約社員でいいから70歳までは働けるようにする、と。年金のスタートも70歳でいい。だってみんな、働いてたほうが元気なんだよ。そうすれば高齢者の医療費も削減できる。
みんなの介護 介護予備軍も減らせる、と。
田原 70歳まで働かせたらいいんですよ。だって今、日本の人口比で一番多いのは何歳代だと思う? 60代だよ。一番多い世代が遊んでるなんて無駄な話だよね、絶対働かせた方が良い。これが20年後になると、一番多いのが80代になるわけだから。完全に逆ピラミッドだよね。
みんなの介護 その逆ピラミッドを20~40代が支えていくといういびつな構造になっているわけですよね。
田原 面白いよね。
みんなの介護 若い世代にとっては面白くないですよ(笑)。
田原 だって、自分たちが頑張らなきゃって思うじゃない?(笑)。
みんなの介護 介護問題に関しては、地域の格差も問題視されています。例えば都会は人も施設も多く比較的住みやすいけれど、地方はどんどん過疎化・高齢化が進んでいく、という現状があります。この辺りに関してはどう思いますか?
田原 それは今後、大きな問題になっていくと思う。例えば最近調べたんだけどね、僕が生まれた頃、日本は満州という国を統治していたわけだけど、日本から移住を促すポスターがあって。このキャッチフレーズが「混み合いますから満州へ」というものだったの。日本は過密で混み合っているから満州へ行きましょうよ、と。この時の日本の人口はどのくらいかというと、7500万人ですよ。
みんなの介護 今が1億2000万人ですから、比べるとかなり少ないですよね。
田原 だから、人口が減ること自体は怖いことじゃないんだよ。7500万で「混み合います」って言ってたわけですから。
みんなの介護 先ほど移民受け入れの話もありましたけど、逆に将来的に海外移住というのはありでしょうか?
田原 受け入れてくれる国があればいいんじゃない?結構いるよね、マレーシアとかニュージーランドとかね。
「地方は楽しい」というビジョンを自治体が示すべき
みんなの介護 政府としては今後、地域包括ケアシステムを想定して、高齢者の地方移住を推進したいわけですよね。これに関しては進んでいくと思いますか?
田原 地方に住むのが楽しい、というビジョンができればね。今、そういうビジョンがあまりないじゃない?
みんなの介護 「楽しい」という切り口は新鮮に感じます。今、地方自治体で取り組んでいる政策だと、税金やサービスなどの面で「お得」というのを打ち出している自治体が多いようですが。
田原 それも含めての「楽しい」だよ。でもそのためには、地方自治体主導でアイデアを出さないとダメだよね。今、石破茂さんが地方創生担当大臣として中心になって地方創生に取り組んでいるけれども、それを可能にするには地方自治体自体が「ああいうことをしよう、こうしよう」という新しい意見を出さないとダメ。以前は中央集権で国が考えたものを…という形だったけど、それではいい意見は出てこないよ。地方自治体から声を上げないと。
みんなの介護 今の地方自治体にそれだけのパワーはあると思いますか?
田原 あるでしょう。求められれば力を発揮すると思いますよ。
みんなの介護 中央から与えられた政策だけをやるのではなく、自治体自体が「こうしたい」というビジョンをはっきり持つのが大事だと。
田原 そうすれば、それを実現するために国は動きますから。今はそういう時代ですよ。あと、さっきも言ったように、7500万人だった時代を考えると、産めよ増やせよで人口自体は増えすぎたわけだ。それがまた元に戻ろうとして、人数が少なくなっているのが今の地方自治体の現状。
それで今よく言われているのが、人が住んでいる場所だけ広くなりすぎてしまった地方自治体は、今後計画性がないとダメだということ。例えば5万人とか10万人とか、ある程度のまとまった人数の住む町を作り、それ以外の場所に住んでいる人は移住してもらう。そういう都市計画のシステムが必要になってくるよ。
みんなの介護 生まれ育った家、土地を離れたくない、という人は…。
田原 それはもう、「贅沢」だよね(笑)。離れなくてもいいけど「不便ですよ」「一人ですよ」と。それを選択せざるを得ない時代にはなっていると思う。そのあたりも自治体がきちんと働きかけるべきなんだよ。
みんなの介護 近い将来、「消滅する可能性がある自治体」というのも少し前に話題になっていましたが、それはもう逆に消滅してもいいと。
田原 そうだね。無理に存続させる必要はないし、再編成が必要になってるんだよ。ぐっと居住地域ばかり伸びすぎてしまったわけだから。
みんなの介護 今、日本で都市計画が顕著に進んでいるのは、震災から復興している東北の地域ですよね。
田原 そういう意味では幸せな土地だと思うよ。大きな災害という悲惨なことはあったけれど、そういう都市計画をやらざるを得ない状態になった。そう考えると、他の地域に比べて進んでいるわけですよ。東北の新しい都市が、日本のこの先の超高齢社会の新しいモデルケースになるかもしれないね。
撮影:伊原正浩
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