囲碁・将棋ありの施設特集
少人数&低額で楽しめる将棋・囲碁は介護施設での娯楽の定番
将棋や囲碁と言えば、高齢者の趣味の代表とも言えるでしょう。新聞を開いても、娯楽欄を見れば最適の一手を問うクイズが掲載されているなど、一般的な浸透度は高いと言えるでしょう(そもそも新聞社が大会を主催してもいますしね!)。将棋や囲碁の良い点は、2人いれば遊びが成立する点。また1人でも、例えば詰み将棋などで楽しむことも可能です。さらに、遊具として将棋や囲碁のセットを揃える費用負担も少ないという特徴が。多くの介護施設で将棋や囲碁を楽しめる理由は、こんなところにもあるのかもしれませんね。
頭をつかう将棋は認知症の予防にも
囲碁や将棋は古くから親しまれてきたゲームのため、愛好者も多く、高齢の方にとって、たしなむ方も多いゲームです。2人でできる娯楽のため、気の合う他の入居者の方を見つけるか、スタッフがいれば楽しめる点もとても大きな魅力と言えます。
道具さえあれば楽しめるというところは、余計なお金がかからず、毎月の利用料金以外は、レクリエーション費として支払う必要がないことから、とてもリーズナブルかつ、月々の定額の範囲内で楽しめる遊びですよね。
相手の出方を見て次の一手を読むという囲碁や将棋は戦略を練るときに考えることで頭を使うため、脳にも刺激が与えられ、認知症予防になると思ってはじめたという人も結構多いもの。実際に始めると、認知症予防という当初の目的などどこへやら、楽しみにはまってしまう人も少なくありません。
テレビや本などで戦略を追求するなど、面白さにハマればいくらでも囲碁や将棋の深い世界を探求できます。そのため、脳トレやコミュニケーションの幅を広げるという以上に、新たな趣味としてご本人の知的好奇心を刺激するきっかけとしても囲碁や将棋の魅力は大きいと言えますね。
老人ホームでもその手軽さから囲碁・将棋ができるホームは非常にたくさんあります。囲碁や将棋を趣味としている人は、同じ趣味の仲間に出会えるかもしれません。
将棋人口の推移は減少傾向…でも、認知症予防になると高齢者には人気
将棋を嗜む人は「レジャー白書2014年」を見てみると、2011年に830万人、2012年に850万人、2013年には670万人と徐々に減っています。一方で、オンラインでも楽しめる将棋ゲームが普及するなど、将棋の盤がなくても楽しめるゲームとして幅広い年齢層に普及し、高齢の方の中には今なお将棋を嗜む人は少なくありません。
対人で頭を使う将棋のようなゲームは、認知症予防としても高い効果があることが指摘されており、実際に囲碁や将棋の教室に通うことはMCI(軽度認知障害)の方の認知機能回復に効果があったという研究結果もあるそうです。
将棋が認知症予防に効果的な理由としては、盤面を見て局面を読み、次の一手をさすために相手との駆け引きをする、という一連の流れが非常に脳を使うことが挙げられます。
脳の神経細胞を活発にすることは、認知予備力というものを高めてくれます。認知予備力とは仮に脳内の一部の神経細胞が何らかの原因により使えなくなった際に、他の脳神経細胞をたどって変わりなく思考をするための予備ネットワークを持っていることを指します。
日頃から将棋などを通じて脳を活発に動かしておくことは、認知症予防に効果があるということが納得できるのではないでしょうか。
また、将棋などの対人頭脳ゲームは、計算ドリルのように紙に向かって一人で行うよりも認知症予防には効果的という説もあります。毎日楽しみながら取り組め、脳トレにもつながるという点で将棋はこれからの介護現場でもますます存在感を示していくかもしれません。
囲碁人口も減少で推移。しかしこちらも高齢者にとっては機能低下抑制の効果が!
将棋や麻雀よりも愛好家がすこし少ないと言われる囲碁ですが、「レジャー白書2014」を見てみると確かに2013年の囲碁人口は280万人と、将棋の670万人よりも少ない数字となっています。
囲碁人口を時系列で並べてみても、2011年には380万人だったのに対して、2013年には100万人あまり減っているなど現象傾向にあるのは確か。
とはいえ、今認知症ケアの現場では囲碁を活用した「囲碁療法」に注目が集まり、東京都健康長寿医療センター研究所でも認知症に対する囲碁のもつ力について研究が進んでいます。
これまでの囲碁と脳の関係を調べた研究を見てみると、囲碁をしている人は思考力や注意力、集中力などをつかさどる脳の前頭前夜が活性化していることがわかっています。また、空間認知能力をつかさどる頭頂葉と呼ばれる部分も活性化しているということが知られているのだそうです。
先程ご紹介した東京都健康長寿医療センター研究所の研究者が行った調査では、老人ホーム内の認知症の疑いがある人を含む、今まで囲碁をやったことがない人9人に対して行った調査により、囲碁のルールなどを学ぶプロ棋士によるレクチャーを受けた人は受けなかった人よりも認知機能向上が見られたとも報告されています。
小学生など子どもの愛好者も多い囲碁は、盤面を通じて世代交流のきっかけにもなるツールです。認知機能抑制の効果に注目が集まっている今。せっかく囲碁ができる環境があるのなら、そちらを選んで脳活に励んでみてはいかがでしょうか?