廃用症候群・生活不活発病でも対応が可能な施設特集
廃用症候群・生活不活発病の予防・改善に注力している施設選びを
入院や、体調不良を理由に引きこもったりすることで起こりやすい高齢者の廃用症候群は、生活不活発病とも呼ばれています。体を動かさないことによる筋力の衰えなどの身体機能の低下や心肺機能の低下、精神的活力の低下などが症状の大きな特徴。病気の発症を予防・改善するためにも、高齢者介護では日頃から高齢者の活動量を意識的に高めていくことが大切です。そうした観点からも、リハビリやレクリエーションが充実した施設を選びたいところです。
廃用症候群・生活不活発病の患者には老人ホームが良い薬になる!?
高齢になると「外出すると転ぶのが怖いから、外にでたくない」「一緒に遊んでいた友人がいなくなり、外に出る機会が減った」などの理由で、家のなかで過ごす時間が増えるようです。ところが体を動かさなくなると心身機能が低下し、それと同時に日常生活上の動作もスムーズにできなくなる、疲れやすくなると言った症状がみられるようになります。廃用症候群・生活不活発病の原因は「外にでて積極的に動かなくなる」ことで起きます。
廃用症候群・生活不活発病になる原因にはさまざまありますが、大きくわけると以下のようなものがあげられるでしょう。
- 外にでる理由がなくなった
- 病気や災害などの環境の変化
1番の外に出る理由がなくなったは「老人クラブや趣味の活動が解散して、外にでる用事がなくなった」「買い物に行くのが習慣だったが、家族が代行するようになった」などの理由で、積極的に外出する動機やチャンスがなくなることです。わかりやすく言えば「何もすることがなくなった」状態です。家に閉じこもりがちになることで、廃用症候群や生活不活発病になりやすくなります。
2番は病気、災害などで自宅や避難所に閉じこもりがちになることです。病気といってもちょっとした風邪などでしばらく寝込んだだけでも、ガクッと体力の落ちこみを感じた方もいると思います。高齢者の場合、しばらく寝たきりの生活をしただけで、関節のこわばりや筋力の低下からくる動きに句さ、立ちくらみ、便秘、息切れなどの症状から、さらに外出を避けるように。そうなると廃用症候群・生活不活発病の悪化へと、どんどん引き込まれてしまいます。
この病気を防ぐ方法はただひとつ「体を積極的に動かすこと」です。自宅で一人きりで過ごすと「何もすることがない」「外に出る理由がない」ことから体を動かさず、筋力低下や心肺機能の低下、消化機能の低下、認知症の悪化、立ち上がり時の低血圧など、さまざまな症状があらわれます。それを防ぐためには、老人ホームへの入所が役立ちます。
老人ホームは基本的に集団生活です。周囲にはつねに介護スタッフがいますし、入所者との交流やふれあいの機会も増えます。積極的に他者と言葉をかわす、困ったことが相談できるなら「社会からの孤立感」を感じることなく、安心して生活できます。外出も一人ではなく、ほかの入所者と一緒に行動することで「一人では見えなかったもの、感じられなかったもの」まで楽しむことができるでしょう。廃用症候群や生活不活発病を防ぐためには、老人ホームは非常によい生活の場や薬(対応策)になります。
いきいきとしたハリのある生活には喜びを分かち合い一緒に笑いあえる仲間、そしてそれをケアする介護・看護スタッフ、高齢者にとって住みやすく心地よい居住空間、さまざまなレクリエーションが必要です。老人ホームはその一助となるでしょう。
廃用症候群・生活不活発病とは?その定義と症状、予防法について
廃用症候群・生活不活発病とは、一体どのような病気なのでしょうか? じつはこの病気、厚生労働省による定義がありません。高齢者が外出する機会の減少、病気やケガ、災害などにより自由に動けない状態になることで筋力や心肺機能、消化機能の低下、関節のこわばり、骨密度低下、皮膚の委縮、うつ症状、自律神経不安定、床ずれなどの症状がでることを「廃用症候群」や「生活不活発病」と呼んでいます。
廃用症候群や生活不活発病の症状は先ほどもあげましたが、多岐にわたります。症状は大きく分けて
- 全身にあらわれる症状
- 部分的に起こる症状
- 精神に影響するもの
これら3つに分類されます。
1番の全身症状ですが、心肺機能低下や起立性低血圧、便秘や食欲不振などにみられる消化機能の低下、尿量の増加などがあげられます。長時間寝たきり、また不活発な状態がつづくと心臓そのもののポンプ機能が低下していきます。また下半身の筋力が低下することで心臓へともどる血の量が減り、それが心臓のポンプ機能をさらに低下させるという悪循環へ。
2番の部分的に起こる症状は、関節がこわばり可動域が狭くなる、筋力の低下、寝たきりによる床ずれ、廃用性骨萎縮(骨密度低下)、静脈血栓症、浮腫(むくみ)などがあります。
3番の精神に影響するものとしては、長時間家に閉じこもることによるうつ病、周囲への無関心、認知機能の低下(認知症の発症や症状悪化)、自立神経の不安定化などがあります。
これらの症状は、体を動かさないこと、過度の安静によって引き起こされます。寝たきりの状態がつづくと、1週間で10~15%程度の筋力が低下し、1か月前後経過すると筋力が50%も低下すると言われています。筋力低下を招かないように、できるだけ体を動かすことが重要です。
病気などで体が動かせない状況ではないのなら、積極的に地域のイベントに参加する、新しい趣味を始める、定期的に散歩をするなど、社会と自発的にかかわることや定期的な運動により予防できます。寝たきりでベッドから自由に動けないケースでは、ベッドの上でおこなう関節の運動や軽い体操が効果的です。
廃用症候群・生活不活発病の患者に必要なリハビリとは?
廃用症候群・生活不活発病は、ケガや病気で寝たきりにならなくても、家の中にじっと閉じこもる生活で徐々に体力や筋力、心肺機能、内臓機能が低下、いつの間にか立ち上がるのも困難な状況になってしまう危険性があります。このような症状を引き起こさないためにも、まずは日常生活をしっかりと見直しましょう。
自宅にいても料理や掃除、洗濯などの家事はおこなうはずです。「面倒くさい」とすぐに横になるのではなく、これらの家事を毎日しっかりこなすことが、廃用症候群や生活不活発病を引き起こさないためのコツです。老人ホームでは「生活リハビリ」とよばれるリハビリを実践している施設がありますが、ホウキや掃除機、雑巾などで床を掃除する、窓ガラスを拭く、洗濯物を干す、たたむ、料理をつくる、片づけをするといった、日常的な家事をおこなうことがリハビリとなっています。リハビリと聞くと、特殊な器具をつかい、専門の職員が指導するものという固定観念がありますが、自宅にいてもしっかり体を動かして家事をおこなうことがリハビリになるのです。
家事だけではありません、毎日お風呂にはいる、3食バランスのとれた食事をする、自分で金銭管理をおこなう、身だしなみに気をつかう、規則正しい生活をするなど、しっかりとした生活をおくることが、廃用症候群や生活不活発病の発症防止になります。
家事などの生活リハビリだけではなく、先ほどあげた「3食バランスのとれた食事を摂る」ことも非常に重要です。高齢者が廃用症候群や生活不活発病になる原因のひとつに「低栄養」の問題があると言われています。必要な栄養が十分摂取できないことにより、免疫力の低下、筋肉や血管が弱くなるなどのトラブルが起こります。高齢者にとって免疫力の低下は感染症にかかりやすくなることを示しており、低栄養の高齢者はインフルエンザや肺炎に、とくに注意しなければなりません。低栄養の場合、栄養だけではなく水分摂取も少なくなる傾向です。脱水症状に注意しましょう。
寝たきりの状態になっている方は、体の動く範囲だけでも動かすことが重要です。上半身だけ、下半身だけでも構いません。関節をできるだけ動かし、可動域をひろげましょう。無理な運動ではなく、少しずつできる範囲で運動、体操を。理学療法士の指導をうけながら、無理なくリハビリをおこなう方が安全です。