誤嚥性肺炎でも入居可能な施設特集
誤嚥性肺炎の高齢者には、手厚い介護・看護ケアが必要
誤嚥性肺炎は高齢者に多い病気のひとつ。嚥下機能の低下によって上手く食べたり飲んだりすることができず、気管に入り込んでしまった食べ物を処理できないまま、そこが炎症を起こすのが誤嚥性肺炎です。再発することが多いため、常に見守る必要があります。しかし、自宅で常に見守るような介護は家族の負担も大きく、そうした場合には介護施設に入居した方がかえって安心とも考えられます。手厚い見守りが必要と考えると、それが提供される介護施設を選びたいですよね。そこで、ここでは手厚い介護・看護ケアが受けられる施設をご紹介します。
誤嚥性肺炎の高齢者には、手厚い介護・看護ケアが必要
健康な人であれば、食事や水分をスムーズに飲みこむことができます。もちろん健康な人でも、あわててお茶を飲んだり食事を飲みこむと気管に水分や食事が入りこむことも。そのときは反射的に咳きこむことで、気管に入った異物を吐きだすことができます。これが自然な反射です。
ところが飲みこむ力、吐きだす力の衰えた高齢者の場合は、そうもいきません。誤嚥性肺炎は「飲みこむ力の落ちた高齢者」に多くみられる病気です。
飲みこむ力、つまり嚥下力ですが、特別な病気にかからなくても加齢によって、また食事中の集中力が低下することによりうまく嚥下できないことがあります。喉頭ガンや咽頭ガン、食道ガンなどの発症により食事が咽頭、食道をスムーズに通過しないことで誤嚥がおきることも。さらに、筋委縮性側策硬化症(ALS)や脊髄小脳変性症などの神経や筋肉の病気、脳腫瘍や脳卒中、パーキンソン病などの脳の病気でも嚥下機能が低下します(嚥下障害)。
飲みこむ力がおとろえると、飲みこんだ食事や水分が食道ではなく気管や気管支に入りこむケースが。ところが、高齢になると気管内に入った異物を吐きだす力も低下しており、そのまま放置していると気管内に侵入した雑菌が繁殖し「誤嚥性肺炎」を引きおこすのです。
2015年度の「主な死因別死亡者の割合」ですが、悪性新生物(がん)による死亡者が28.7%で第1位、つぎは心疾患の15.2%、そして肺炎が死亡原因の第3位の9.4%となっています。肺炎は若い方にとっては深刻な病気ではないのですが、免疫機能や体力が落ちた高齢者にとっては「命取り」です。肺炎で死亡する方の94%は75歳以上となっており、高齢者にとって肺炎はとくに用心しなければならない病気です。
悪性新生物(28.7%) | |
心疾患(15.2%) | |
肺炎(9.4%) | |
脳血管疾患(8.7%) | |
老衰(6.6%) | |
その他(31.4%) |
誤嚥性肺炎を防ぐためには、食事の内容をみなおさなければなりません。普通の固さの食事(一般食)では、うまく噛めないうえにスムーズに飲みこめません。柔らかく煮こんだ食事(ソフト食)や食材をミキサーでかき混ぜて飲みこみやすくした食事(嚥下食)に切りかえて、安全に食事が摂取できるように工夫しなければなりません。誤嚥性肺炎は一度起こすと何度も繰りかえすことも。治療のたびに抗菌薬治療をほどこすと、菌に耐性ができて薬が効かなくなります。そのため、誤嚥性肺炎を起こす高齢者には、手厚い介護・看護ケアが必要なのです。
みんなの介護に掲載されている約9,000施設もの老人ホームのうち、誤嚥性肺炎に対応できるのは約3,106施設。施設の特徴やこだわりをチェックすると、看護師が24時間ないしは日中勤務しており、医療機関や訪問看護との連携がしっかりしている老人ホームが多くなっています。誤嚥性肺炎を起こしやすい高齢者、また誤嚥性肺炎を起こしている高齢者には、食事の内容を嚥下状態によって見直すことや、日々のこまめなバイタルチェックや体調の観察が必要です。
誤嚥性肺炎の高齢者には、手厚い介護・看護ケアが必要
誤嚥性肺炎とは、飲みこんだ食事や水分、唾液などがあやまって気管や気管支に入りこみ、気管内に雑菌が繁殖して肺炎を引きおこすことです。気管内に異物が入ると、とっさに咳きこみ異物を排除しようとしますが、高齢になるとその反応が低下することも。食事の一部が気管に入る以外にも、眠っているあいだに痰や唾液、逆流してきた胃液などが気づかないあいだに気管にはいることもあります。
本人に「誤嚥をした」という感覚がないため、そのまま放置してしまうと肺のなかで雑菌が増殖し「誤嚥性肺炎」を引きおこす可能性が高くなります。異物(食事など)が気管内にはいると「異物がはいってきた」ことに対して炎症反応も起こるため、この病気になると「元気がなくなる」「食事にかなり時間がかかる、食事中に咳きこむことが多い」「喉がゴロゴロしている」など普段とは違う症状があらわれます。このような症状にいち早く気づき、すぐに医療機関を受診させるなどの対応が必要です。素早い対処で病気を早めに治療できれば、体への負担も軽くなります。
もしも誤嚥性肺炎を放置すると肺のなかに細菌が多数繁殖し、肺に酸素がうまく取りこめなくなり呼吸不全を起こし、酸素吸入が必要になります。重篤な状態になると人工呼吸器を装着する必要も…。「たかが肺炎」とバカにできないのです。
老人ホームにおける誤嚥の対策は?
老人ホームに入居している高齢者は加齢により嚥下状態が悪化していることもあり、とくに食事の管理・体調管理には十分注意しなければなりません。
食事は一般食ではうまく飲みこめないため、ソフト食や嚥下食を用意します。食材を芯まで柔らかく煮こみ、なんども噛む必要がないくらい柔らかい食事を提供します。水分が飲みこみにくい入所者もいるため、とろみをつけたお茶や水を用意します。もちろん安全のため、介護職員による食事介助や見守りも。食事中に異常があれば(急に咳きこむ、食事に時間がかかる、苦しそう)すぐに職員が対応し、必要があればさまざまな処置をおこないます。食事や水分が気管内に誤って入りこむことで「誤嚥性肺炎」が起こりますので、老人ホームでは、まず「安全に食事を摂ってもらうためのサポート」を優先します。
誤嚥性肺炎は、口のなかの雑菌が気管内にはいることで起こります。そこで口のなかのケア(口腔ケア)が必要になります。自分で歯磨きができない入所者のために、介護スタッフが歯ブラシで口のなかを掃除し、清潔にします。歯磨きだけではなく、食事のまえに口を動かす体操(口腔体操)で口の筋肉を鍛え、スムーズに食事が飲みこめるように指導している老人ホームも。入れ歯をつかっている入所者は、入れ歯のケアも必須です。
また、ドライマウスになると口のなかに雑菌が多く繁殖するため、できるだけ水分をこまめに摂取してもらい、ドライマウスを防ぐ必要があります。
誤嚥性肺炎を防ぐためには、食事の内容はもちろん、食事介助、口腔ケア、口腔体操、水分の摂取などさまざまなケアが必要です。脳血管の病気になると嚥下障害が起きる可能性が高まりますので、普段から食事の内容を管理し、高血圧や高脂血症、糖尿病にならないよう、また病気や症状が悪化しないようにきめ細かい管理が必要です。
口腔ケアを怠ると誤嚥性肺炎の再発リスクが高まる!?
誤嚥性肺炎は再発しやすい病気と言われています。その理由は「嚥下状態のよくない高齢者は、なんども誤嚥を繰りかえす」ためです。誤嚥性肺炎を起こすと抗生剤での治療をうけますが、なんども再発を繰りかえすと体内の細菌に耐性ができ、治療薬が効かなくなり症状が悪化します。呼吸不全から酸素吸入、そして人工呼吸器の装着と重篤な状態へ。場合によっては死に至ることがあります。誤嚥性肺炎がなんども再発することには、かなりのリスクがあるのです。
誤嚥性肺炎を防ぐ有効な手段としてあげられるのは「口腔ケア」。口のなかのケアを怠ると口腔内に雑菌が多数繁殖し、それが気管内にはいることで誤嚥性肺炎が引き起こされます。そこで、食後や眠るまえに口のなかのケアで口腔内の雑菌を減らし、誤嚥性肺炎のリスクを低下させることが有効な対策となります。自分で歯が磨ける入所者でも、確認のためにきちんと磨けたかどうか確認する老人ホームもありますし、自分で口腔ケアができない入所者の場合、老人ホームの介護スタッフが歯ブラシやデンタルフロス、脱脂綿などをつかい口のなかの手入れをおこないます。
口のなかの手入れだけではなく、口の開け閉め運動や舌を上下左右に動かす運動、頬を膨らませたりすぼめる運動等をおこなうと唾液の分泌も活性化され、スムーズに食事を飲みこめるようになります。食事の前に口腔体操をするのが効果的です。