住宅型有料老人ホーム特集
比較的、低額で介護や医療が充実した施設

住宅型有料老人ホームの特徴は、提供されるサービスが食事の提供、室内や施設内の最低限の清掃くらいということ。介護が必要な場合は、訪問介護や通所介護など個別に介護サービスを受けるということになります。とはいえ、介護が必要な高齢者にとって利用しづらい施設かと言えば、決してそうではありません。病院と業務提携しているケースも多く、介護だけでなく医療サービスが必要な高齢者にとっても、利用価値の高い施設。費用に関してはそれほど高額ではなく、都市部では15万円前後、地方では10万円前後というところも多いようです。
介護付有料老人ホーム特集
介護が必要な高齢者のための手厚いサービス

介護付有料老人ホームとは、介護サービスをはじめ健康管理、食事、掃除や洗濯、入浴、排泄などのあらゆるサービスを受けることができる施設です。みなさんが“老人ホーム”と聞いて真っ先に思い浮かべるのが、この施設になるでしょう。有料老人ホームの形態のうちのひとつで、老人福祉法第29条に規定された高齢者向けの生活施設のこと。介護サービスの提供を主とする会社や医療機関など、運営母体が民間の施設のため、とにかくコストパフォマンスを重視するところ、食事など健康管理に注力しているところ、レクリエーションが豊富なところ…と、その特徴は施設によって様々です。
機械浴・特殊浴のある施設特集
介護施設では座ったまま、寝たままでも入浴が可能な機械浴・特殊浴が一般的に

例えば病気の後遺症などで体にマヒがあったり、また寝たきりだったりする場合、介護の現場で大変になるのが入浴です。そこで、介護者の負担を軽減するために導入されているのが、機械浴や特殊浴と呼ばれる、介護に特化した浴室。10年以上前から、ストレッチャーに乗せることで寝たままでも入れる機械浴はありましたが、昨今ではシャワーキャリーに乗ったまま入れる座位式の特殊浴もあり、介護現場における入浴事情は飛躍的に向上しています。ここでは、そうした設備の整った施設をご紹介していきます。
一人で入浴できない高齢者にも安心の特殊浴
老人ホームのホームページやパンフレットには入浴設備の紹介欄があります。そこには「機械浴」「特殊浴」「ストレッチャー浴」「リフト浴」など、さまざまな種類の浴槽が存在しており、あまりにも名称が多いため頭のなかが混乱してしまいます。一体どのように理解すればよいのでしょうか。
「チェアー浴」も「ストレッチャー浴」「リフト浴」も基本的にはすべて「特殊浴」(または機械浴)に分類されます。「この老人ホームには特殊欲が設置されています」という表現が正しいのですが「特殊浴」と言われても利用者はパッとイメージできないことが多いため「座ったまま入浴できるチェアー浴があります」「寝たまま入浴できるストレッチャー浴完備です」と具体的な説明をするために、特殊浴に対してさまざまな呼び方をするようになりました。これが混乱のもとだったのです。けれど特殊浴にはいくつかのタイプがあるのも事実です。
特殊浴(機械浴)には大きく分けて2つのタイプがあります。まずは「座ったまま入浴できる特殊浴」です。座ったまま入浴できる特殊浴にも2つの種類があります。ひとつは「チェアー・イン・バス」。まず利用者を専用の搬送車(チェアー)にのせ、浴槽にある開閉式の扉をあけて浴槽へ移動、そのうえで搬送車を固定します。浴槽の扉を閉めてお湯をはりお風呂を楽しんでもらうタイプのものです。ジェット噴流により、マッサージ効果が期待できるタイプもあります。最近はコンパクトサイズの商品もあり、浴室が狭くても設置できることも。
つぎは「リフト付シャワーキャリー(リフト付き介護浴槽)」です。利用者がリフトに取りつけられた座部(チェアー)に座るとリフトが一定の高さまで上昇、利用者はチェアーに座ったまま旋回して浴槽をまたぎます(縁超え)。利用者の座ったチェアーはその後ゆっくりとお湯をはった浴槽へと下降。利用者が入浴しやすい高さに、しっかりと固定することができます。チェアーを吊り上げたりおろしたりすることで、楽に入浴介助ができるようになっています。
特殊浴にはもうひとつ「寝たまま入浴できる」タイプのものも。まず利用者はストレッチャー(担架)に横になります。そのままストレッチャーが浴槽へとスライドし、浴槽が上昇することで入浴できるタイプ、さらにストレッチャーが下降することで入浴できるタイプもあります。最近はユニットケアの普及で、よりコンパクトで設置しやすい特殊浴が人気となっています。
特殊浴・機械浴のある老人ホーム、そのメリット&デメリットとは?
特殊浴(機械浴)にはいくつかメリット、デメリットがあります。まずはメリットからみてみましょう。
寝たきりの重介護者の場合、特殊浴が登場するまでは介護職員が利用者を浴槽まで移動させ、抱きかかえて入浴させていました。力のいる作業なので、介護職員の負担はとても重いものだったことは想像に難くありません。昭和39年当時、入浴介護浴槽は存在しましたが外国製で浴槽も浅く、シャワーですませるものばかり。
日本人は「肩までお湯に浸かりたい」と希望している方も多く、その願いを叶えるために日本製の特殊浴の開発が始まりました。開発は約1年という迅速なスピードで終了し、昭和40年に国内初の入浴介護浴槽が誕生。その後さまざまなメーカーから特殊浴槽が発売され、なんども改良をかさねて今日に至っています。
特殊浴槽のメリットは、利用者がゆったりと温かいお湯につかってリラックスできることでしょう。シャワー浴は体を清潔にすることはできても、温熱効果や水圧効果などお風呂に入ることで得られる健康効果はあまり期待できません。冷え症や血行不良の高齢者が温かいお湯に体をひたせば、温熱効果で血管が拡張し血行が促進され、新陳代謝も高まります。
介護職員の負担軽減も特殊浴槽の大きなメリットです。特殊浴槽登場前は、介護職員の力で利用者をお風呂に入れていました。筋力や体力のある男性職員でなければなかなかできないことです。ところが今はボタン一つで自動的に利用者をお風呂に入れることができ、女性職員数名でも十分対応できるようになっています。
良いことづくめのように思える特殊浴ですが、デメリットもあります。
機械によって自動的に利用者をお風呂にいれるため、人によっては恐怖感を覚えることも。リフトが上下に動く、旋回する、浴槽が上下に動くなど、通常のお風呂とは違う動きで不安になりやすくなります。とくにリフトは吊りあげられますので「途中でリフトが落ちたらどうしよう」とハラハラして気持ちも落ちつきません。バブルジェット機能が搭載されたお風呂は気持ちが良い反面、ジェット水流が発生するときの大きな音を怖がる方もいます。機械浴に慣れていない利用者に対しては職員がまめに声かけをして、不安にならないように配慮する必要があります。
ストレッチャー横になったまま入浴する場合は、利用者にとっては恥ずかしいものです。移動の際には毛布やタオルをかける、また入浴中もできるだけ本人の羞恥心をあおらないよう注意しなければなりません。
老人ホーム選び、お風呂のチェックポイントを伝授!
老人ホームでのお風呂選びには、どのような点を重視すればいいのでしょうか。まず見学する時間ですが、できるだけお昼に行くのが望ましいと言われています。お風呂は午前中に使用されることもありますし、午後や夕方は入所者の入浴のためにフル稼働しています。ところがお昼の時間帯は利用者が全員食堂にあつまって昼食をとっていますので、お風呂を利用していることはほとんどありません。利用者のいない浴室や脱衣所であれば、かなり自由に見学できます。お風呂をチェックしたいなら、見学する時間帯を選びましょう。
老人ホームのお風呂をチェックするときは、まずは脱衣所から。冬場はヒートショック軽減のためにファンヒーターやエアコンで脱衣所を温めますが、もしも脱衣所にエアコンや扇風機などが一切設置されていない場合、脱衣所の温度管理はどのようになされているのか職員にきいて確認しておきましょう。ヒートショックへの対策がなされていない老人ホームでは、管理体制に疑問が生じます。
さらに脱衣所の床もチェックし、水にぬれて滑らないかどうかを確認しましょう。浴室と脱衣所との間に段差がある、脱衣所や浴室に手すりがないなど、安全を確保できない老人ホームであればほかの設備にも不備がある可能性大です。
浴室は湿気がとても多い場所なので、掃除をしないとすぐにカビが生えます。不潔にならないよう、入居者の入浴が終わったあとは換気をして掃除を行います。掃除がきちんと行き届いていない老人ホームは、壁にカビが生えている可能性があります。天井に映えたカビからは胞子が降ってくるため、衛生面からも良くありません。排水溝に髪の毛がからまっている(排水状態が良くない)老人ホームは、衛生管理や掃除が徹底していない可能性が高く要注意です。
入浴施設の掃除にはそれなりの手間と時間がかかりますが、そこまで人手が回せない施設は「ギリギリの職員数で運営している」可能性があります。職員の定着率が悪い職場は、職場環境が劣悪であったり人間関係がギスギスしていることも。職員が定着しない質の悪い老人ホームでは、入所しても先が心配です。入浴施設の掃除が行き届いていない老人ホームに対して、即入居を決めるのは避けましょう。