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第48回

花粉症の治療薬の種類と選び方! 根本的な治療法も薬剤師が解説

最終更新日時 2021/04/26
#薬
こんにちは。薬剤師の雜賀匡史です。今回は花粉症の治療法や治療に使われている代表的な治療薬、それの副作用についてご紹介します。

こんにちは。薬剤師の雜賀匡史です。

日本では、3人に1人と言われるほど患者数の多い「花粉症」ですが、その多くが2月上旬~3月中旬にかけて飛散する「スギ花粉」に悩まされています。また、スギが原因の花粉症である人の約7割は、「ヒノキ花粉」にも敏感であると言われており、スギとヒノキの花粉が同時期に飛散する3・4月にかけては、花粉症の人にとっては外出するのが憂鬱な期間だと思います。

そのほかにも、秋頃になると「イネ」や「ブタクサ」などで症状を引き起こす人もおり、花粉症は私たちの生活の質に大きく影響をおよぼしているわけです。今回は代表的な花粉症の治療方法と治療薬についてご紹介します。

体内に入った花粉を排除するために花粉症症状が現れる

花粉症とは花粉が原因で生じるアレルギー症状のことです。人にとって異物である花粉が体内に侵入したとき、それを排除するためにくしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血、涙などの症状が発現します。

花粉症を引き起こす花粉の種類は数十種類と言われており、スギやヒノキに代表される「樹木花粉」や、カモガヤ、ヨモギ、ブタクサに代表される「草本花粉」が代表的です。地域によって種類や飛散時期に差があります。

樹木花粉と草本花粉が代表的

花粉症になる人とならない人の違いの一つとして、遺伝による体質的な要因があります。生まれつきアレルギー反応を起こしやすい体質の人は、花粉症にもなりやすいと考えられているのです。また、長期間に渡り花粉の影響を受け続けたり、汚染された空気のもとで長期間生活をしていると、鼻粘膜の感受性が高まり花粉症になりやすくなると言われています。

動物やほこりでも同様の症状が起きることがある

花粉症の主な原因物質は花粉ですが、それに似た症状だったとしても花粉が原因ではないことがあります。ダニや動物(犬、猫など)、昆虫(蛾、ゴキブリなど)、ハウスダストなども花粉症と同様のアレルギー反応を引き起こすことがあるのです。外出する際にしっかり花粉対策をしているにもかかわらず、なかなか症状が治まらない人は、アレルギー検査を受けて原因を特定することも良いと思います。原因物質がわかると、治療の方針や予防対策を立てやすくなるので、医師に相談すると良いでしょう。

新型コロナ対策で使うマスクで花粉の侵入を防げる

花粉症の治療は、花粉の回避や薬物治療、手術療法、免疫療法のように複数の治療方法があります。実際の診療においては薬物治療が中心となりますが、花粉が飛散している時期はマスクや防護眼鏡の着用を並行して行うと効果的です。花粉の大きさはウイルスの約300倍。ウイルス飛沫と比較しても約15倍ですので、普段から新型コロナ対策で着用されている不織布マスクであれば、花粉を十分防ぐことが可能です。

マスクで花粉の侵入を防げる

花粉症の治療薬で代表的な3つの薬

花粉症の治療薬は重症度によって使いわけされており、以下に代表的な薬をご紹介致します。
1:抗ヒスタミン薬
くしゃみや鼻水といった、「鼻アレルギー」に対して広く使われている薬が「抗ヒスタミン薬」です。これは第一世代と第二世代と呼ばれる2種類に大きく分かれています。
第1世代の抗ヒスタミン薬は眠気の副作用が多いため、最近の治療では眠気の副作用が少ない第2世代が推奨されています。その他にも口渇(口の渇き)の副作用もあります。高齢者は通常時でもだ液の分泌量が少ないため、食事や嚥下(えんげ)にも影響を及ぼすことがある副作用の一つです。また、抗ヒスタミン薬は緑内障や前立腺肥大症の人には使えないことがあるので、該当する方は使用前に必ず医師・薬剤師に相談しましょう。
2:ステロイド薬
「ステロイド薬」も花粉症に用いられる薬です。投与法は「局所投与」と「全身投与」の2種類です。点鼻薬や目薬を使った局所投与が一般的ですが、重症の場合は注射や経口(飲み薬)で全身投与することもあります。経口ステロイドを3ヵ月以上使用した場合には骨の量と質が低下し、骨折リスクが上昇するといった報告もあります。骨粗しょう症になりやすい高齢者には特に注意が必要です。
3:血管収縮薬
「血管収縮薬」は、鼻づまりに対して効果的な点鼻薬です。しかし長期利用するとリバウンドによる血管拡張が生じ、鼻閉の副作用がおきるので注意が必要です。

花粉症を根本的に治療する方法もある

このほかにも、「抗ロイコトリエン薬」や「ケミカルメディエーター遊離抑制薬」のような抗アレルギー薬が治療に使われています。これらは、症状を抑えるための対症療法としての薬ですが、花粉症を根本的に治す治療方法も存在します。例えば、「アレルゲン免疫療法」は、毎年スギ花粉に悩まされている人にとっては試す価値のある治療法の一つです。

これは、花粉症の原因物質であるスギ花粉のエキスを少しずつ体内に取り込み、体を徐々にスギ花粉に慣らすことで症状が起こらないように体質を変えていく免疫療法です。昔は注射でしか行えない治療法でしたが、今は舌の下に液剤や錠剤を投与するだけで良くなったので、治療も簡単になりました。1日1回最低2年間薬物治療を継続しなければなりませんが、治療が完了すれば長期間安定した効果を得ることが期待できます。

スギ花粉を体内に入れて慣らす免疫療法

しかし、この治療は、スギ花粉が飛散している時期には開始できません。また、治療を受けることのできる医療機関が限られているため、実施している医療機関についてかかりつけ医とよく相談してみましょう。

ほかにも、薬を使いたくない人や、使っても十分な効果が得られない人はレーザーで鼻の粘膜を焼く手術もありますが、こちらの効果が続くのは1・2年程度と言われています。

花粉症は治療方法の多い疾患

今回は花粉症についてご紹介いたしました。私も花粉症に悩まされている1人ですので、症状の辛い人の気持ちがよくわかります。幸い治療法の選択肢が多い疾患ですし、治療薬も市販薬から医療用まで多数あります。ご自身に適した治療を選んで、花粉と上手に付き合っていきましょう。

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青島 周一
AHEADMAP 共同代表
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