こんにちは。メディスンショップ蘇我薬局・管理薬剤師で、訪問薬剤師をしている雜賀匡史です。
高齢者の方のなかには、たくさんの種類の薬を服用している方が多くいます。
しかし、どのタイミングでどの薬を飲めば良いのかわからない、間違ってはいけないので確認するのが大変…という方も少なくありません。
そこで今回は、飲むタイミングごとに必要な分だけのお薬を一つの袋にまとめる「一包化」について説明します。
在宅介護をされている方にも、服薬介助をしている施設職員の方も、ぜひ一読してみてくださいね。
一包化のメリットはたくさん!
一包化とは、同じタイミング(朝・昼・晩・食前・食後など)で服用する数種類の薬をまとめて一つの袋にすることを指します。
メリットは大きく2つあります。
- 1.介護職員が薬を取り出せるようになる
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みなさんが錠剤やカプセルのお薬を飲むとき、PTPシートと呼ばれるシート(同じ種類の薬が並んでいるもの)から、薬を押し出して飲んでいますよね。
しかし、服薬介助する介護職員がPTPシートから薬を取り出して服薬介助することは、実は医行為として禁止されています。
そこで便利なのが一包化です。
介護職員でも一包化の袋を開けて薬を取り出すことは許可されているため、介護職員の薬を間違えるリスクも軽減できるうえに、法令順守も促すことができます。
- 2.服薬のトラブルを防ぐことができる
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一包化は、飲み間違いや錠剤の紛失を防いだり、手が不自由で薬を取り出すことが不便な方に便利な調剤方法です。
このように、一包化は利便性があるだけでなく、服薬のトラブルを防いだり、医行為についての法令順守を促すうえでもニーズのある調剤方法になっています。
一包化してもらえなくて困っている方の主なケース
一包化してもらうことができずに、困っている方が多いケースを2つ紹介しますね。
- 1.院内調剤の場合
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この一包化ですが、通常は分包機(ぶんぽうき)と呼ばれる機械を使って行います。
この機械は大きくて操作も複雑なので、調剤薬局や病院薬剤部のように、調剤を専門で行っている場所以外では設置している施設がまだまだ少ないのです。
そのため、医師が調剤することで薬を受け渡している院内調剤の場合は、一包化されないまま患者さんに薬が渡されていることが多いです。
- 2.退院時に処方された場合
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よくあるケースとしては、退院時にもらった薬が一包化されていなくて困った!という患者さん。
入院していたときには、薬の時間になると看護師さんが必要な分だけを持って来てくれますよね。
すると、病院は患者さんがシートのままでも飲めると勘違いをしてしまい、退院時処方の薬をシートで渡されてしまうことがあります。
しかし、退院したときに自分でも同じように服薬できるとは限りません。
このように院内調剤や退院時処方が一包化されていないとき、高齢者の方やご家族が市販のジップロック付きのパックにひとつずつ小分けしている光景を見ることがあります。
その作業をするには、間違えがあってはいけないので神経を使いますし、その作業にかかる時間も相当なものだと思います。
こういった困りごとを解決するサービスに、外来服薬支援というものがあります。
次回は、一包化をしたくてもできない(してもらえない)ような環境の患者さんを救うための制度、外来服薬支援についてご説明いたします。