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第485回

墓じまいの手続きや費用相場を解説! 後悔しない墓じまいのポイントとは?

最終更新日時 2024/09/10
#親の介護
目 次

近年、少子高齢化や価値観の変化により、墓じまいを考える方が増えています。しかし、具体的な手続きや費用について不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、墓じまいの手続きを7つのステップに分けて詳しく解説し、費用相場や注意点についても分かりやすくお伝えします。

墓じまいとは?手続きの全体像と必要性を理解しよう

墓じまいとは、お墓を解体し、撤去した後に別の方法で供養することを指します。単にお墓を片付けるだけでなく、ご先祖様の遺骨を新たな場所に移すなど、供養の形を変更することも含まれます。

厚生労働省の調査によると、墓じまいを含む改葬件数は年々増加傾向にあります。2010年には年間71,800件だった改葬件数が、2020年には117,772件と、10年間で約1.6倍に増加しています。この背景には、社会構造の変化や価値観の多様化があります。

画像提供:photo AC

墓じまいが増加する背景と社会的要因

近年、墓じまいが増加しています。

株式会社AlbaLinkの調査によると、墓じまいをしたいと思う人は「とても思う」「やや思う」と答えた人が合わせて70.8%と、かなり高い状況です。

墓じまいをしたいと思っている人の割合

墓じまいが増加している主な理由として、遠方にあるお墓の管理が難しくなっていることや、少子化による後継ぎ不足が挙げられます。また、高齢化に伴う身体的負担の増加や、経済的負担の軽減を考えての選択も多くなっています。

特に、地方から都市部への人口流出が進む中、先祖代々のお墓が遠方にあり、定期的な管理や墓参りが困難になるケースが増えています。また、核家族化が進み、お墓の継承者がいないという不安を抱える方も多くなっています。

墓じまいをしたい理由
 

墓じまいの法的根拠と必要な手続きの概要

墓じまいを行う際には、法律に基づいた適切な手続きが必要です。主な法的根拠となるのは、「墓地、埋葬等に関する法律」です。この法律により、遺骨を改葬する際には市町村長の許可が必要となります。

墓じまいの手続きには、主に以下のようなステップがあります。

  • 親族への相談と同意取得
  • 新たな納骨先の選定
  • 現在の墓地管理者への相談
  • 改葬許可申請の手続き
  • 閉眼供養の実施
  • 墓石の撤去と更地化
  • 新しい納骨先への安置

これらの手続きを適切に行うことで、法的にも宗教的にも問題のない墓じまいを実現することができます。

墓じまいのメリット・デメリットを比較

墓じまいを検討する際には、そのメリットとデメリットを十分に理解しておくことが重要です。

メリットとしては、お墓の維持管理の負担が軽減されることや、遠方のお墓を近くに移せること、将来の無縁墓化を防げることなどがあります。また、新しい供養方法を選択できることや、墓地の管理費用が不要になることも魅力の一つです。

一方、デメリットとしては、一時的に高額な費用がかかることや、手続きが複雑で時間がかかることが挙げられます。また、親族間で意見の相違が生じる可能性や、先祖代々のお墓への愛着がある場合の精神的な負担も考慮する必要があります。

墓じまいを決断する前に、これらのメリットとデメリットを十分に検討し、自分や家族にとって最適な選択をすることが大切です。

墓じまいの手続き7ステップ

墓じまいの手続きは、大きく7つのステップに分けることができます。ここでは、各ステップの詳細と注意点について解説します。

①親族への相談

墓じまいを検討する際、最初に行うべきは親族への相談です。お墓は個人のものではなく、家族や親族全体のものと考えられているため、墓じまいの決定には関係者全員の同意を得ることが好ましいです。

相談の際は、墓じまいを考えている理由を明確に説明し、今後の供養方法について具体的な提案を用意しましょう。また、費用の概算と負担方法についても話し合うことが大切です。反対意見にも耳を傾け、丁寧に対応することで、円滑な合意形成につながります。

②新たな納骨先の選定

墓じまい後の新たな納骨先を決めることは、改葬許可申請の前に必要な重要なステップです。主な選択肢には、永代供養墓、納骨堂、樹木葬、手元供養、散骨などがあります。

それぞれの特徴を理解し、費用、アクセス、管理の手間、家族の意向などを総合的に考慮して決定しましょう。例えば、永代供養墓は将来的な管理の心配がなく、納骨堂は天候に左右されずお参りができるというメリットがあります。

③現在の墓地管理者への相談

墓じまいの意思が固まったら、現在のお墓がある墓地の管理者に相談します。この段階で必要となる主な書類は、改葬許可申請書、埋葬証明書、受入証明書、改葬承諾書、申請者の身分証明書の写しなどです。

特に重要なのは埋葬証明書です。これは現在の墓地管理者が発行するもので、お墓に遺骨が埋葬されていることを証明する書類です。墓地によっては発行に時間がかかる場合もあるので、早めに相談しておくことをおすすめします。

④改葬許可申請の手続き

改葬許可申請は、現在のお墓がある自治体の役所で行います。必要な書類をすべて揃えて申請しますが、自治体によって細かい規定が異なる場合があるので、事前に確認しておくことをおすすめします。

一般的な流れとしては、申請書類の入手、必要事項の記入、添付書類の準備、役所への提出、改葬許可証の受け取りとなります。注意点として、改葬許可証は遺骨1体につき1枚必要です。複数の遺骨を改葬する場合は、それぞれに対して申請が必要になります。

⑤閉眼供養の実施

閉眼供養(へいげんくよう)は、お墓から遺骨を取り出す前に行う法要です。墓石に宿る霊を鎮め、新しい場所へ移動することを告げる儀式として実施することが多いです。

一般的な流れとしては、日程の調整、供養の準備、僧侶による読経、遺族による焼香、お布施の準備などがあります。閉眼供養にかかる費用(お布施)は、一般的に3〜5万円程度ですが、寺院や地域によって異なります。事前に金額を確認し、準備しておきましょう。

⑥墓石の撤去と更地化

墓石の撤去と更地化は、専門の業者に依頼するのが一般的です。この作業には重機を使用することが多いため、素人が行うのは危険です。

業者の選定と見積もり依頼から始まり、撤去日程の調整、遺骨の取り出し、墓石の解体と撤去、更地化作業、最終確認という流れで進みます。墓石の大きさや墓地の状況によって作業内容や費用が変わるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。

⑦新しい納骨先への安置

最後のステップは、取り出した遺骨を新しい納骨先へ安置することです。選択した納骨方法によって手順は異なりますが、一般的な流れとしては、納骨の日程調整、必要な書類の準備、遺骨の清浄、新しい骨壺への移し替え、納骨の儀式、新しい供養方法での最初のお参りなどがあります。

新しい納骨先が永代供養墓や納骨堂の場合、管理者から詳細な手順の説明があると思いますので、それに従って進めましょう。

後悔しないための墓じまいの費用と注意点

墓じまいを検討する際、気になるのが費用と注意点ではないでしょうか。ここでは、墓じまいにかかる費用の内訳と相場、そして円滑に進めるための注意点をご紹介します。

墓じまいの費用相場

墓じまいにかかる費用は、お墓の状況や地域によって大きく異なりますが、一般的な相場は約50万円から200万円程度です。この費用は主に、閉眼供養、墓石撤去、新たな納骨先の費用などで構成されています。

閉眼供養の費用は通常3万円から5万円程度です。墓石の撤去費用は、お墓の大きさや場所によって変わりますが、一般的に10万円から50万円ほどかかります。新たな納骨先の費用は、選択する方法によって大きく異なります。例えば、永代供養墓や樹木葬を選ぶ場合は30万円から100万円程度、納骨堂を利用する場合は10万円から50万円程度が一般的です。

費用を抑えるポイントとしては、複数の業者から見積もりを取ることや、必要以上に高額な選択肢を避け、家族の希望と予算のバランスを取ることが大切です。

墓じまいの手続きで押さえるべき注意点

墓じまいを円滑に進めるためには、いくつかの重要な注意点があります。

まず、十分な時間的余裕を持って手続きを進めることが大切です。墓じまいの全過程は、スムーズに進んでも3ヵ月から半年ほどかかります。

次に、改葬許可申請書遺骨の数だけ必要になることを覚えておきましょう。古いお墓の場合、正確な遺骨の数が分からないこともありますが、できる限り事前に確認することが重要です。

また、現在のお墓の管理者との良好な関係維持を心がけることも大切です。特に寺院の墓地の場合、閉眼供養や離檀の手続きなど、お寺の協力が必要な場面が多くあります。

新たな納骨先の選択は慎重に行うことも重要です。費用面だけでなく、アクセスのしやすさや将来的な管理のしやすさなども考慮に入れて決定しましょう。

最後に、墓じまいの過程で生じる感情的な側面にも注意を払うことが大切です。先祖代々のお墓を閉じることに抵抗を感じる家族もいるかもしれません。そうした感情にも配慮しながら進めていくことが、後悔のない墓じまいにつながります。

特殊なケースにおける墓じまいの手続き~土葬・無縁墓・散骨の場合

一般的な墓じまいの手続きとは異なる対応が必要な特殊なケースについても触れておきましょう。

まずは土葬の場合、遺骨が土に還っている可能性があります。この場合、遺骨の有無にかかわらず改葬許可申請を行うことが一般的です。

無縁墓で管理者が不明で長年放置されている場合は、地域の自治体に相談する必要があります。多くの自治体では無縁墓の改葬に関する条例を設けており、一定期間の告示後に改葬することができます。ただし、手続きには時間がかかるため、早めに相談することをおすすめします。

散骨を選択する場合は、法律で明確に禁止されてはいませんが、場所や方法によっては問題が生じる可能性があります。海や山での散骨を考えている場合は、事前に地元の自治体に確認し、自然環境や他の人々への配慮を忘れずに行うことが大切です。また、散骨後の供養方法についても家族で話し合っておくとよいでしょう。

これらの特殊なケースでは、通常の墓じまい以上に慎重な対応が求められます。不明な点がある場合は、専門家や自治体に相談しながら進めていくことをおすすめします。

墓じまいは、先祖を敬う心と現実的な課題解決の両立が求められる重要な決断です。この記事で紹介した手順や注意点を参考に、家族みんなで話し合いながら、後悔のない墓じまいを実現してください。

最後に、墓じまいは単にお墓をなくすことではなく、新しい形での供養を始めることだと捉えましょう。先祖への感謝の気持ちを忘れず、家族の状況に合った供養の形を選ぶことが大切です。例えば、永代供養墓や樹木葬を選べば、継続的な管理の負担を軽減しつつ、定期的に参拝することができます。また、手元供養を選択すれば、日々の生活の中で先祖を身近に感じることができるでしょう。

墓じまいの手続きは複雑で時間がかかりますが、焦らず丁寧に進めていくことが大切です。困ったことがあれば、霊園や寺院の担当者、自治体の窓口、専門の業者などに相談することをためらわないでください。また、家族内でもコミュニケーションを取り、お互いの思いや不安を共有しながら進めていくことが、スムーズな墓じまいにつながります。

最近では、墓じまいに関するサービスを提供する業者も増えています。こうしたサービスを利用すれば、手続きの煩雑さを軽減できる可能性があります。ただし、業者を選ぶ際は、実績や評判をしっかりと確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

墓じまいは、お墓の形を変えることで、先祖との新しい関係性を築く機会でもあります。この機会に、家族で先祖について語り合ったり、家系図を整理したりするのもよいでしょう。そうすることで、墓じまいを単なる手続きではなく、家族の歴史を振り返り、未来につなげていく意義深い体験にすることができます。

高齢化が進む日本社会において、墓じまいの需要は今後さらに増えていくと予想されます。それに伴い、新しい供養の形や、より簡便な手続き方法が生まれる可能性もあります。しかし、どのような形であれ、大切なのは先祖を敬う心と、家族の絆を大切にする気持ちです。墓じまいを通じて、家族の絆を深め、先祖とのつながりを再確認する機会としてください。

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