こんにちは。口腔ケア部門を担当している口腔ケア部門を担当している日本デンタルスタッフ学院・学院長の田中法子です。32年前に歯科衛生士国家資格取得後、一般歯科に勤務しながら訪問歯科診療に従事しました。
私が、初めて介護における口腔ケアに携わった32年前。当時は「口腔機能」とか「嚥下(えんげ)評価」という名称もまだまだ耳にしない時代でした。歯科医師と歯科衛生士でご家庭を訪問したときに、歯科医師が入れ歯を調整したりしている間に「チョチョッ」とお口の中を綺麗にする、というようなことを繰り返していました。ですから、"口腔ケアに使用する道具はすべて現地で調達。調達というのはご家庭にあるものを使う"ということです。
ご家庭の洗面所に入らせていただき、歯ブラシを見ると口腔ケアを日頃しているのかしていないのか、そもそも放置しているのかがすぐにわかりました。
当時、ガーグルベース(うがいを吐き出すための受け皿)は歯科でもそうそう手に入らなかったので、ご家庭の洗面器をお借りして吐き出していただくか、コップに吐き出していただいたりと苦戦していました。口腔ケア用品は、現在100円ショップなどで色々なものがすぐ手に入るようになったのでとても便利な時代になったなあと感じています。逆にいろいろなものがありすぎるので迷いますよね!
そこで、今回の教科書は「もっと快適になる!はみがき用品の選び方」をお伝えしていこうと思います!
100円ショップでおすすめの口腔ケアグッズ
最近の100円ショップは商品の充実が目を見張るものが多いですね。先日のことですが私は、100円ショップで「すごい!これ、いくら?」って聞いてしまいました(笑)。100円ショップでのおすすめは何と言ってもガーグルベース。これが100円で売っているなんて、驚きです!
次に義歯ケース。義歯歯ブラシも一緒についている場合もあるので嬉しいですね。うがい用のコップもあり、サイズは大きいけど軽いので、おすすめです。
ドラッグストアで、歯ブラシを選ぶときのポイント

ドラッグストアの最大の強みは品揃え。でもたくさんあるが故に、歯磨き売り場の前で腕組みをして迷っている方をよく見かけます。声を大にして言いたいのは、高額な「歯磨き剤」に頼らないで!ということ。「歯ブラシ選び」の方が実は大事です。
- 大きさ
- 口腔ケアで歯ブラシを選ぶとき、できるだけ小さいヘッドのものを選ぶと、あまりお口を開けられない方でも奥まで入れることができます。
- 硬さ
- 「お父さん、硬い毛先が好きだよね」と、選ぶ方も多いですが、好き嫌いではなく歯肉や歯の状態で選ぶことが大事です。
歯磨きをすると血が出る、入れ歯を支えている歯が揺れている、など日頃のはみがきで何かしらお口のサインが出ています。最初におすすめしたいのは「柔らかめ」の歯ブラシです。
なぜ、「柔らかめ」なのかというと、歯垢を優しく細かく横に動かしながら取って行くと、歯肉の炎症部分を過度に傷付けることなく細菌を取ることができます。しかし、硬い毛先でゴシゴシすると炎症部分を傷つけやすく、そこから細菌感染してますます腫れたりすることがあるので注意が必要です。
歯ブラシ以外のおすすめグッズは?

歯ブラシ以外に、私イチ押しのグッズがあります。それは「スポンジブラシ」です。
「スポンジブラシ」と一言で言ってもいろいろな形、柔らかさ、柄の種類があります。口腔介護アドバイザー®講座でもおすすめしているものが2種類あります。
- 断面図が星か花形。柄の部分は硬質紙
- 頬粘膜や舌の上の清掃にくるくる回しながら使えるので最適です。
- こんにゃくのように四角くて表面は波状のもの
- 舌や頬のストレッチに最適です。
歯間ブラシは使っても大丈夫?

よくご質問で、歯間ブラシを使っても大丈夫ですか?と聞かれます。歯間ブラシは通常、外から内側に入れますよね。そうすると間に詰まった食べかすや歯垢がすべてブラシについて出てくるのではなく、内側、つまりお口の中に落ちます。
嚥下ができて、うがいのお水を吐き出せるお口の機能がある方でしたら問題なくうがいして吐き出せますが、できないまたは困難な方に使うと、歯間の細菌を誤嚥する可能性が高いので危険です。そんなとき活躍するのが1歯用ブラシ。筆状になっているので、歯間の細かなところにも届いて優しくしっかり歯垢を取ることができます。
このように、現在はいろいろな口腔ケア用品がとても身近になり、簡単に手に入るようになりました。だからこそ、基本的なことを覚えておくと歯ブラシを選ぶときの基準になります。
歯科衛生士に予防歯科教育を行うとき、「自分が使ってみて良かった」とか、「新製品が出たから」という安易な理由で患者さんにおすすめしないように教えています。歯ブラシを患者さんに合わせるのではなく、患者さんの口の中の状態に歯ブラシ用品を合わせるという基本的な考えが大事なのです。