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第12回

アルツハイマー型認知症の症状とは?初期・中期・後期の変化と介護のポイントを解説

最終更新日時 2018/01/24
#親の介護
認知症の症状は初期・中期・後期の3つの時期にわけることができます。それぞれの特徴があるので、認知症のタイプ別に3つの時期の分けて説明していきます。今回は、認知症の中でも一番多い「アルツハイマー型認知症の症状の経過」についてお伝えしていきます。

こんにちは。デイサービスで看護師として勤務している、認知症LOVEレンジャーの友井川 愛です。

在宅介護で奮闘しているみなさんに、看護師目線で認知症介護のポイントをお伝えしていきます。

在宅で、しかも親と子の関係となると、認知症介護はやはりイライラすることが多いかもしれません。しかし、認知症の人もそうなりたくてなっているわけではありませんし、自分だって認知症になるかもしれません。今のうちに正しい知識と対応法を身につけて、みなさんからお子さんやお孫さんへ伝えていくことで、少しずつ認知症への理解が広まってほしいと願っています。

まず知ってほしいことは、認知症の症状は初期・中期・後期の3つの時期に分けられるということです。それぞれに特徴があるので、認知症のタイプ別に3つの時期の分けて説明していきます。

今回は、認知症の中でも一番多い「アルツハイマー型認知症の症状の経過」についてお伝えします。

アルツハイマー型認知症の割合が半数以上

さっそく本題に入りたいところですが、アルツハイマー型認知症の症状を見ていく前に、そもそも認知症とはどのようなものなのでしょうか?

認知症は、もともと正常にあった記憶や判断力の認知機能(理解、判断などの知的機能)が何かしらの理由で低下し、日常生活や社会生活にさまざまな支障が出てきます。そして、こうした症状が起こる一番の原因は脳です。

脳の神経細胞(情報処理や情報伝達を行う細胞のこと)に生じた病変(病気になることで起こる心身の変化)や損傷が認知機能の低下を招きます。

アルツハイマー型認知症では脳に変性(性質が変わること)が起こり、長い潜伏期間を経て神経細胞が死滅し脳が委縮します。その結果、萎縮した箇所に脳血流の低下が生じ、神経伝達物質がなくなることで情報が伝わらなくなり認知機能が衰えるのです。

また、アルツハイマー型認知症は、側頭葉の内側にある海馬と頭頂葉の変化が特に大きいため萎縮した脳の血流低下が起こります。

海馬は記憶をつかさどり新しい記憶を保存・整理する部位なので物忘れが出やすく、また頭頂葉は空間認識(物の位置、方向、感覚などを認識する能力のこと)をつかさどる部位なので道に迷うことが増えます。

アルツハイマー型認知症の特徴は潜伏期間が長く、いつからはじまったかが分かりづらいとされています。身体的には問題ないのに脳の神経細胞だけが失われていきます。そのため、深刻な物忘れや道に迷うようになることで周囲が認知症だと気づくこともあります。

認知症症状の経過 ~初期・中期・後期~

加齢や頭部打撲などで認知症になる人が多いとされており、「女性の方が認知症になりやすい」と言っている研究機関もあるようですね。“頭部打撲”に関しては意識を失うほどの打撲であるとリスクが高まり糖尿病も発症の可能性を高めると言われています。では、どのような症状が見られるのでしょうか?初期・中期・後期に分けて見ていきます。

初期症状
  • ①何度も同じことを言う(数分の間隔で同じ話に戻る)
  • ②直前のことを忘れる(近時の出来事がすっぽり失われる)
  • ③物とられ妄想がある(自分で片づけるも場所が分からなくなり身近な人を疑う)
  • ⑤趣味、日課への無関心(興味を持っていたことや日課に関心がなくなる)
  • ⑥作話をする(物忘れによる失敗を取り繕うため作り話をする)
初期段階の特徴は進行性の記憶障害で、身近な人でなければ気づきにくく少しずつ症状が進行していきます。見当識障害(時間、人、場所などが分からなくなること)は、「時間」「場所」「人」の順に分からなくなる傾向があるので、身近にいる人たちは注意深く観察しましょう。
中期症状
  • ①見当識障害がある(場所、時間など分からなくなり季節感も失われる)
  • ②徘徊・妄想が増える(目的なく歩き外出し夜間に妄想がみられる)
  • ③家事の手順が分からなくなる(買い物、料理の段取りができなくなる)
  • ④失語がある(言葉の意味が分からなくなり意味のある言葉が話せなくなる)
  • ⑤日常生活に介助が必要となる(食事、入浴、着替えが自分でできなくなる)
  • ⑥不潔行為がある(失禁など非衛生的になり社会的に脱抑制行動がみられる)
などの、行動・心理症状が特徴です。認知症介護の中で最も大変な時期。身体機能に問題がなくても徘徊などの行動・心理症状が強く出ます。
後期症状
  • ①家族の顔が分からない
  • ②表情が乏しくなる(表情が失われ反応がなくなる)
  • ③会話が全くできない(コミュニケーション能力が失われ意思疎通ができなくなる)
  • ④尿、便の失禁が常態化(尿意、便意を訴えられなくなり放尿などが起こる)
  • ⑤寝たきりになる(歩行、座位も保てなくなるため)
後期は寝たきりに移行する時期となり、以上のような症状がみられます。

初期症状の説明でも話しましたが、何度も同じことを言ったり、ご飯を食べたのに忘れたり、物がなくなったりなどの症状がよく聞かれると思います。では、そのようなときはどのような声かけや接し方をすれば良いのでしょうか?

さっきご飯を食べたのに食べていないと言われたら…?「さっき食べたのに!」と思っても「今、作っているから待ってくださいね」などと、否定しないように声をかけてあげましょう。なぜなら認知症は「覚えられなくなる病気」だからです。

特に、アルツハイマー型認知症の方の物忘れは、出来事があったこと自体を忘れる傾向があります。正しく理解したうえで関わることが重要です。

症状の背景を考えてあげましょう “一緒に”がポイントです

当然ですが、家族で認知症介護をするのは大変です。同じことを何度も言われたり、何もしていないのに「財布を盗んだだろう」と怒鳴られたり、イライラすることも多いと思います。

しかし、まずは否定することなくその訴えに耳を傾けてください。そして、訴えの内容が応じられるようなら応じてください。なぜなら、何度も同じことを言うのは自分が言ったことが通じてないと思っているからです。決して否定せずに受け止め、あなたの話を本気で聞いていますよという態度が大切です。

また、物がないと探すのは喪失感や不安感が背景にあることが多く、歳をとると連れ合いを亡くしたり、仕事を失い人生で培ったものが失われたり、漠然とした“死”への不安を招きます。

人は不安に駆られると何度も何度も確認をしてしまい、あるはずのないものを探そうとするのです。認知症の方が何かを探しているときは一緒に探してあげましょう。もし、見つかったら心から一緒に喜んでください。

家族が認知症になることで、大事なものを失ったと感じることがあるかもしれません。しかし、私は認知症介護から得られるものも多いと思っています。少ない記憶の中から、若かった頃の思い出を話してくれたり、息子・娘(孫)の自慢をしてくれたり、人としての暖かさを感じることも多いのです。

イライラすることもあるかもしれませんが、最期の時間を少しでも有意義に過ごしてもらいたいと願っています。

次回は「レビー小体型認知症の症状の経過」についてお話しします。

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