サービス付き高齢者向け住宅は数が多く、選択の幅が広いのが特徴

徳島市は徳島県の県庁所在地であり、四国の北東部に位置する街です。
「阿波おどり」が有名で、イベントが開催される期間は大勢の観光客で賑わいます。
1985年に約3万人だった徳島市の高齢者数は、2011年には約6万人に。
高齢者の人口が25年で2倍に増えているのがわかります。
総人口については、1985年と2011年でほぼ変わらない数なので、高齢者の比率が非常に高くなってきているといえます。
高齢化が進むなか、徳島市は高齢者に向けてさまざまな支援を行っています。
例えば、コンビニエンスストアで介護保険料の支払いが手軽にできるように配慮。
60歳以上でひとり暮らしの高齢者や、食事の準備が困難な高齢者に「配食サービス」を実施。
また、徳島市の住民基本台帳に登載されている75歳以上の人にはマッサージ券を配布するなど、細やかな支援を実行しているのが特徴です。
さらに、低所得の高齢者でも外出しやすいよう、市内生まれで所得割課税額が6万円以下の70歳以上の人に徳島市営バス乗車証を交付しています。
また、徳島市役所には「介護・ながいき課」が設置されており、電話などで相談しやすいのが嬉しいポイント。
徳島市地域包括センターにはフリーダイヤルを設け、無料で相談ができるようになっています。
そして、徳島市には介護施設や「サービス付き高齢者向け住宅」が多く存在しています。
なかでも「サービス付き高齢者向け住宅」は数が多く、選択の幅が広いのが特徴。
月額利用料は10~12万円程度で入居できる住宅が多く、費用面でも検討しやすい状況にあるといえるでしょう。
ただ、介護度が上がり全介助になると、転居が必要な住宅と最期まで入居可能な住宅があるため、入居前に「どれくらいの期間入居するのか」などじっくり考えておくと良いでしょう。
公的な介護施設でもある「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」も多くありますが、ほかの市町村同様に入居街の高齢者が多数いる状態。
余程の条件がない限り、すぐの入居は難しいでしょう。
「老人保健施設」や「介護療養型医療施設」でも15万円以下で入居可能な施設があるのですが、満床の場合が多いようです。
特に「介護療養型医療施設」などは、一度入居した方が退院することがなかなかありませんので、新規の入居が難しそうです。
「サービス付き高齢者向け住宅」なら空き室が多めなので、すぐに入居したい方は検討すると良いかもしれません。
徳島市では高齢者人口の割合が29.9%に
徳島市といえば、前述の通り「阿波おどり」が有名ですが、観光スポットとしては、「とくしま動物園」や「とくしま植物園」などがある「徳島市総合動植物公園」や「徳島城博物館」などが人気です。
さらに、「こくふ街角博物館」「旧徳島城表御殿庭園」「阿波史跡公園」など、家族で楽しめるスポットが多数。
徳島市は「心おどる水都・とくしま」というブランドを掲げ、観光にも力を入れています。
また、徳島市は「水の郷百選」に選出された水の都でもあり、「新町川水際公園」「しんまちボードウォーク」「ひょうたん島周遊船」など、水にまつわる観光資源も豊富です。
そんな徳島市ですが、人口はやや減少傾向にある反面、高齢者数は増加し、高齢化が進んでいる状況です。
2023年の総人口は24万9,040人、65歳以上の高齢者数は7万4,344人、高齢化率は29.9%。
超高齢社会が訪れています。

国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
2000年時点では、総人口に対する年少人口(0~14歳)の割合は14.9%、高齢者人口(65歳以上)の割合は17.8%でした。
しかし2023年には、年少人口の割合は12.0%に減少、高齢者人口の割合は29.0%となりました。
徳島市にも少子高齢化の波が押し寄せているのがわかります。
世帯数でみると、徳島市の2020年の総世帯数は11万9,509世帯ですが、そのうち高齢者のみの世帯は2万6,681世帯。
高齢者がいる世帯が総世帯の38.4%を占めており、3世帯に1世帯以上は高齢者がいる世帯となっています。
徳島市は「ぬくもりの社会づくり」を掲げ高齢者福祉を拡充
徳島市は、「徳島市まちづくり総合ビジョン」、「徳島県医療計画」、「徳島県高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」などの福祉系計画との整合性を大事にしながら、「ぬくもりの社会づくり」を基本理念に掲げ、「徳島市高齢者福祉計画及び介護保険事業計画」を策定しました。
住み慣れた地域で最期まで楽しく自立した生活が送れるよう、高齢者福祉サービスや介護保険サービス事業の充実に努めています。

そのため、徳島市では介護保険サービスの充実化を急いでおり、サービス従事者の育成や働きやすさ改革などを実施しています。
実際、自宅にいながら利用できる居宅サービスや、自宅から通える通所型サービス、グループホームなどの地域密着型サービス、そして介護度が上がってもサポートしてもらえる特別養護老人ホームなどの施設サービスは、どれも需要が高いです。
徳島市の介護保険サービスを利用サービス別に見てみると、家事代行や身体介護をしてもらえる「訪問介護」を利用している人が最も多いことがわかります。
次いで送迎付きの入浴や昼食、レクリエーションなどが楽しめる「通所介護(ショートステイ)」、病院や施設での本格的なリハビリができる「通所リハビリテーション」が続きます。
介護が必要になっても、自宅で介護保険サービスなどを利用しながら生活している高齢者が多く、居宅サービスと通所型サービスを併用している人が多いのが現状です。
そのため、介護ベッドなどが借りられる福祉用具貸与や訪問看護、訪問リハビリテーション、介護する家族などの手助けとなるショートステイ(短期入所介護)も利用が多くなっています。
「高齢者マッサージ券」を交付しマッサージ施術費を助成

徳島市では、介護予防や健康保持の増進活動を行っています。
生活習慣病予防やロコモティブシンドローム予防につながる運動教室や、健康講座などを開催。
栄養教室では、栄養や食生活についての正しい知識が身につきます。
「元気高齢者づくり事業」では、地域と徳島大学などが一体となり、ダンベルやゴムチューブを使った運動教室を実施。
市内の公民館やコミュニティセンターなどで実施されており、参加しやすいのが魅力です。
「いきいき百歳体操」では、理学療法士のサポートのもと筋力向上のための体操を実施。
年々開催教室数が増えており、徳島市はさらなる普及に努めているところです。
また、「高齢者マッサージ券」を交付し、のマッサージ施術費を助成。
病気の発症予防・重症化予防につながる予防接種や健康診断、がん検診などの普及に力を入れています。
さらに、高齢者の生きがいや健康づくりにつなげようと、高齢者の社会参加を支援しています。
外出支援としては、70歳以上の高齢者に市バス無料乗車証を交付。
65歳以上の運転免許証の自主返納者には、バス乗車賃の半額免除を行っています。
また、公衆トイレに手すりを付けたり道路の段差をなくすなど、街全体のバリアフリー化を推進。
高齢者が外出しやすい環境を整えています。
徳島市のさまざまな介護予防活動が、自宅で暮らす高齢者の閉じこもり予防となっており、地域コミュニティの活性化にもつながっています。
一人暮らし高齢者のために緊急連絡用の福祉電話も貸し出している

団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、徳島市でもさらに介護や医療への需要が増大すると予測されています。
そのため徳島市は、2025年を目途に、介護だけでなくさまざまな高齢者サポートを包括的に提供する地域包括ケアシステムを構築中です。
高齢者の生きがいづくりの一環として、「地区敬老会」や「ダイヤモンド婚・金婚記念祝賀式」の開催、「100歳以上高齢者の慶祝訪問」などを実施。
高齢者文化活動事業では、「高齢者大学」や「高齢者文化祭」を開催しています。
そのほかにも、趣味や娯楽活動、世代交流、ボランティア活動の支援、各種高齢者向け講座やイベントの開催などを行い、健康で活力に満ちた生活の実現をサポート。
シルバー人材センターの補助などを通し、高齢者の就労も支援しています。
老人クラブの友愛訪問員が、ひとり暮らしの高齢者世帯や寝たきり高齢者がいる世帯を訪問し、外出できない高齢者のサポートもしています。
また、「非常時に連絡できる人がいない」という一人暮らしの高齢者のために、緊急連絡用の福祉電話の貸し出しを実施。
不慮の怪我などの際、すぐに高齢者のSOSが市に届くようにしています。
さらに、夜間休日急病診療所の開設など、夜間・休日の初期救急医療体制の充実にも力を入れ、さまざまな角度から高齢者を守っています。
徳島市の福祉サービス運営適正化委員会とは?

徳島市では、高齢者向けの相談窓口を設置しています。
徳島市生涯福祉センター「ふれあい健康館」内にある「徳島市社会福祉協議会」では、高齢者とその家族や地域住民の日常的な福祉に関する相談を受け付けています。
「指定居宅介護支援事業者」は、介護保険サービスの利用手続きに関する疑問や悩みに対応。
申し込み手続きの代行や、介護サービスの計画(ケアプラン)作成に関する相談も受け付けています。
「在宅介護支援センター」では、自宅で暮らす高齢者とその家族の総合相談窓口として、地域包括支援センターと連携し、在宅介護に関する総合的な相談に対応。
介護側の悩みにも耳を傾けています。
また、「保健センター」が中心となり、介護予防や健康づくりに関する相談に乗っています。
保健センター内の健康相談室では、医師など専門職による健康相談を実施しており、具体的なアドバイスがもらえると好評。
各地区の公民館などで実施されている健康相談でも、健康づくりについての悩みに対応しています。
そして、徳島市成年後見支援センターでは、認知症などで「公共料金の支払いなどが理解できなくなってきた」「お金の管理が辛くなってきた」という人の悩みに対応しています。
相談は無料で、必要な場合は手続き代行や金銭管理の代行を有料で行います。
弁護士による専門的な相談も実施していますので、相続などの難しい相談も可能です。