グループホーム特集
認知症高齢者が共同生活で団らんを楽しむ介護施設

グループホームは、要支援2以上に認定されている認知症高齢者が生活の場を共にする施設のこと。自宅で過ごすのと同じような雰囲気での生活を送ります。と同時に、専門の介護スタッフによるサービスを受けながら、家庭の団らんを楽しみながら、自宅で過ごすのと同じような雰囲気での生活を送ります。グループホームは地域密着型サービスのため、利用の申し込みや市町村の各担当窓口になります。市町村によっては2親等以内の親族が3カ月以上在住していれば利用できるというケースもあるので、入居条件についてはしっかり確認してくださいね。
統合失調症でも対応が可能な施設特集
高齢者の統合失調症ケアには周囲の理解が大切

一般的に20代から40代の若い世代で発症することが多い統合失調症は、老年期の場合症状や治療ケアにおいて若年層とは少し違った考え方が必要です。老年期統失調症の特徴として、妄想は主題が現実的・具体的であることが多く、人格の崩れなどもあまりみられません。治療においては、本人の感じる不安などの感情に寄り添って薬物療法に取り組むことが大切ですので、介護施設選びにおいても家族、本人と信頼関係を築けるかどうかがカギとなります。
統合失調症の方の老人ホーム選びについて
統合失調症の発症率は、男性や女性、地域差、民族などに一切関係なく1%と言われています。つまり100人に1人が統合失調症を発症することになります。この割合をみると、決して珍しい病気ではないことがお分かりいただけると思います。日本には100万人もの患者がいることになりますが、2011年・厚生労働省の発表による「統合失調症患者数」では患者数は約70万人となっています。統合失調症を発症しているにもかかわらず患者本人が気づいていない、また病気であることを隠したい方もいるようです。
悪性新生物(1526千人) | |
糖尿病(2700千人) | |
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(713千人) | |
脳血管疾患(1235千人) | |
喘息(1045千人) |
この病気の好発年齢は思春期から30代まで。割合若い方が多く発症しています。若い人に多い病気ですが高齢者が絶対に発症しないとは言えないため、普段と違う言動(幻聴や幻視・妄想・暴力)がみられたときは、注意が必要です。統合失調症の原因は遺伝やストレス、本人の性格・気質、胎児期のウイルス感染や栄養不良などいくつか言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。
統合失調症を発症すると、幻覚や幻聴、妄想、興奮、暴力などの症状がでる「陽性反応」や意欲低下、集中力低下、感情の消失などの「陰性症状」。そして状況に素早く、臨機応変に適応できない「認知機能障害」などの症状がでます。医療機関を受診し「統合失調症」の診断がくだされると治療薬が処方され、服薬することで病気の治療をおこないます。
統合失調症の高齢者が老人ホームへの入所を希望される場合、陽性症状(暴力や幻聴、幻覚)や陰性症状(意欲低下、感情の消失)がどの程度なのかを、あらかじめ施設側のスタッフに説明する必要があります。暴力や暴言が激しい場合は入所を断わられるケースも。その場合は服薬治療で、本人の症状がある程度落ちつくまで様子をみる方がよいでしょう。
老人ホームの選定では、統合失調患者の受け入れが可能な施設を選ぶのが基本です。統合失調症患者の受け入れ可能な老人ホームはサービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム、高齢者住宅、グループホームとさまざま。医療機関(精神科クリニック等)と連携した老人ホームなら、もしものときにも安心です。
統合失調症とは? その原因・症状・治療法を解説
統合失調症の原因は、いまだによくわかっていません。専門医のなかには「脳内神経伝達物質」とよばれる、脳神経ネットワーク構築に欠かせない物質がかかわっている、と主張している方もいますが、脳内神経伝達物質がどのようにこの病気を発症させているのか、その詳しいプロセスなどはよくわかっていません。この病気は遺伝するという指摘もされていますが、病気そのものが遺伝するのではなく「統合失調症になりやすい要因」が遺伝すると考えられています。つまり病気になりやすい気質や性格、脳のトラブルが遺伝子、さらにストレスの多い環境、ライフイベント、ほかの病気などの要素がかさなることで発症するのではないかと推測されているのです。
統合失調症は大きくわけて4つの経過をたどるといわれています。
- 前兆期
- 急性期
- 回復期
- 安定期
前兆期は気持ちの落ちこみや不安、憔悴、集中力低下、精神的に不安定になるなどうつ病に似た症状がでます。この前兆期を過ぎると、つぎは幻覚や幻聴、妄想、幻視・暴力、暴言といった統合失調症独特の症状がみられます。幻覚や妄想の具体的な内容は患者によって違いますが「クラスメートが私の悪口を言っている」「隣人が私を24時間見張っている」など、患者本人を精神的に追いつめる、また不快にさせる、混乱させる妄想が多い傾向です。妄想や幻覚症状であることは第三者からみればあきらかなのですが、本人にとっては生々しい感覚があるため、現実のものであると信じこんでしまい、周囲の人たちとのコミュニケーションがうまくいかなくなる、不安で夜も眠れず昼夜逆転の生活をする、興奮して暴れるなどの症状がみられます。
回復期は治療によりだんだん精神的に落ち着く時期です。急性期でパワーを放出しているため、元気がなくなり一日中横になることも珍しくありません。この時期に「一日中寝ているなんて怠け者」と言うと精神的に不安定になりますし、病気の回復にも影響します。しずかに見守りましょう。安定期になると徐々に元気を取りもどし、リハビリテーションや薬物治療で社会に復帰していく時期となります。ただこの時期に無理をすると1番の前兆期にもどり、また再発してしまうことも。「早く病気を治して仕事をしなさい」などの言葉で本人をせかさず、ゆっくり見守ることです。
病気の治療は主に服薬とカウンセリングです。服薬では抗精神薬が有効とされています。今は第2世代(非定型)抗精神薬とよばれるエビリファイやジプレキサなどの薬が登場し、副作用が少なく安全な薬がふえました。副作用としては高血糖や口が勝手に動く、筋肉がこわばる、そわそわしてじっとしていられないなどの症状がみられます。副作用が出た場合、すぐに主治医に相談して薬を変えてもらいましょう。抗精神薬以外にも睡眠薬や抗うつ薬、抗不安薬などが必要に応じて処方されます。
統合失調症の高齢者が起こしがちなトラブルとは?
統合失調症の患者は幻覚や幻聴、妄想などの症状がつねにあらわれ、精神的に不安定ではないかと思われるかもしれませんが、きちんと医療機関で治療を受け、決められた量の薬を飲んで症状をおさえていれば大きな問題を起こすことはありません。精神的に安定していれば、老人ホームに入所していても問題はありません。自分の勝手な判断で薬を飲まなくなり、再発した場合が問題となります。
前兆期の症状を見逃すと、妄想・幻覚・幻視などの症状がでる急性期になり、人によっては暴力や暴言などで周囲の人たちに迷惑をかけることも。一度妄想が始まると患者自身もそれをコントロールすることができません。もしも老人ホームに入所していれば「隣の部屋のAさんが私の部屋に盗聴器を仕掛けた」「介護職員のBさんが私の食事に毒を盛っている」など、ありもしない妄想に悩むことになりますし、妄想が現実であると思いこんでいることから人間関係も悪化します。暴力や暴言で入所者や介護スタッフを傷つけるようであれば、通院や入院などの治療が必要です。入所者に迷惑をかける行為は、集団生活である老人ホーム内では許されません。
統合失調症は患者本人に「今、私は病気になっている」という病識がもてない病気です。患者は「ほかの入所者からいじめられている」と思いこむとそれが本人のなかで現実になってしまい、暴力や暴言など過激な行動に走ることも。妄想や幻視、幻覚の症状がみられるときは、すみやかに医療機関を受診し適切な治療を受けるのが基本です。
統合失調症の方の老人ホームの受け入れ状況は?
みんなの介護で紹介されている老人ホームは約9,000施設ありますが、統合失調症の高齢者受け入れ可能な施設は3,722か所と、全体の約半数となっています。統合失調症の患者が老人ホームに入所する場合、精神疾患の患者の受け入れが可能な施設を選ぶのは基本ですが、入所者が幻覚や妄想で暴れたときに介護・看護スタッフがいかに迅速に、そして適切に対応できるかどうか、そして家族がすぐに駆けつけられるかどうかも重要です。介護施設が遠いと気軽に面会もできませんので、施設の立地は事前によく確認しておきましょう。統合失調症患者の受け入れ実績や介護ノウハウのある老人ホームなら安心です。
統合失調症患者は服薬で落ち着いていても、やはり精神的に不安定な面がありますし、他人の動向を気にする方もいるようです。老人ホームに入居するのであれば、できるだけ個室がそなわった施設が良いでしょう。同室の入所者の顔色や言葉に気をつかい、精神的に消耗すると病気の再発も心配です。精神的に不安定になると、衝動的に老人ホームを飛びだしてしまうことも。入所者が簡単に逃げだせないように、見守りや巡回のしっかりした施設を選びましょう。