比較的、利用しやすい価格帯の老人ホームが北区に多い
瀬戸大橋の開通やJRの四国との直通化、山陽自動車道の開通など、中四国を結ぶ交通の要所として急成長を遂げてきた岡山市は、押しも押されぬ中国地方第二の都市。
2009年には政令指定都市の仲間入りを果たしました。
そんな超高齢社会において、多くの高齢者の生活を支えるべく、岡山市では老人ホームが充実しています。
これは事業者に対する税制の優遇や助成金といった政策が実を結んでいると言えるでしょう。
特に充実しているのが特別養護老人ホームで、入居一時金は必要なく、月額利用料も相部屋の場合は4~9万円。
個室でも6~14万円程度と利用しやすい価格帯であることからも、人気の施設となっています。
一方で、有料老人ホームも充実。
民間の経営のため利用料はさまざまですが、それほど高額なところは多くありません。
中には入居一時金が約33万円ほど、月額利用料が13万円前後というところもあるので、まずは施設に問い合わせてみてください。
特別養護老人ホームでは入居待ちをしている高齢者も多いようですが、グループホームやケアハウスではしばしば空き室が出ているため、ケアマネージャーや市の窓口に相談すると良いでしょう。
何と言っても岡山市は、日本三名園のひとつである後楽園を擁している他、岡山城など景観の美しい地域多いという特徴を有しています。
郊外では閑静な住宅地や田園が広がっており、のんびりとした老後を送れるはず。
かと思えば、市の中心部には高層ビルもそびえるなど、活気あふれる街となっています。
公共交通機関も充実、街のバリアフリー化も着々と進んでおり、高齢者が不自由なく暮らための素地が整っていると言えるでしょう。
2025年には市民の6人に1人が後期高齢者に
2023年時点での65歳以上の高齢者は18万8,045人で、高齢化率が26.5%となっています。2010年時点の高齢化率は21.5%でしたので、右肩上がりです。
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」
とはいえ、岡山県の高齢化率の平均は30.5%ですが、岡山市は県内でも一番高齢化率が低く、また、全国平均の29.1%も下回っています。
岡山市の総人口は2014年にピークを迎え、現在は緩やかに減少、それとともに少子高齢化がさらに進んでいます。
これはおおよそ日本全国と同じ傾向。
後期高齢者1人を15~74歳の何人で支えるかという人口比において、2015年は7.2人だったものが、2025年の推計では、5.4人。
さらに2040年には5.0人になると見込まれています。
現在は団塊の世代が65歳に到達していることから、前期高齢者が増えています。
その世代が75歳になる2025年には前期高齢者数と後期高齢者数が逆転し、市民の6人に1人が後期高齢者となると見込まれています。
また、岡山市の推計は、75歳以上の高齢者世帯数が2030年まで増加すると試算。
その世帯の内訳は高齢者のみの単独世帯が一番多く、次いで高齢者のみの夫婦世帯となっています。
岡山市は委託サービスの利用者が多い
2024年の岡山市における、65歳以上の高齢者(介護保険第1号被保険者)人口は18万8,713人です。
高齢者数の増加を受けて介護保険サービスの利用者数も右肩上がり。
2010年には2万5,709人だったものが2024年には3万7,000人を突破。
今後もさらに、この数字は伸びていくものと見込まれています。
内訳をみると、要支援1が6,470人、要支援2が5,712人となっており、要介護に関しては1~5がそれぞれ8,802人、7,387人、5,230人、4,849人、3,663人となっています。
なお、2024年のサービス利用内訳をみると、居宅サービスの利用が69.8%、地域密着型サービスが18.6%、施設サービスが11.9%。
施設サービスは場所によって軽度者~中度者の利用が制限されていることもあり、要介護3以上の中度~重度の利用者が多くなっています。
介護予防は「あっ晴れ!もも太郎体操」を市内約150ヵ所で実地
岡山市の介護予防の中で特徴的なものは、「総合特区事業」という介護予防ポイント事業です。
これは介護予防に取り組んだ実績に応じてポイントが付与され、社会福祉協議会を通じてそれを換金または物品に換えられるというものです。
介護予防への参加はそれぞれに合った方法で行えるようになっています。
要介護(支援)認定を受けている方のうち介護予防への取り組みの結果「非該当」となり、継続して運動施設を利用した場合にポイントがもらえるものと、岡山市が実施する4つのサポーター養成講座を修了し、サポート活動を行うことでポイントが付与されるものとの2つがあります。
どちらも65歳以上の方が対象となっており、先にあげたサポーター養成講座も一般介護予防事業の中に組み込まれています。
内容としては「あっ晴れ!もも太郎体操サポーター等人材育成事業」、「生活支援サポーター養成講座」、「認知症サポーター養成講座」があり、介護予防のサポーター(担い手)もその事業の中で創出しています。
特にあっ晴れ!もも太郎体操に関しては市内約150ヵ所で開催しており、参加しやすくなっているのが特徴です。
そして茶話会や食事会を併せて行われる場合もあり、体操を通じた交流までをサポートしています。
その他の介護予防事業では、65歳以上の高齢者を対象とした「介護予防教室」や「あっ晴れ!もも太郎体操普及啓発」を岡山市ふれあい介護予防センターが主催し、通いの場を提供しています。
認知症疾患医療センターで認知症対策を推進
高齢社会の成熟が進んでいる日本では、自治体による地域包括ケアシステムの構築が進められており、岡山市では「在宅医療と介護の連携」、「認知症施策」、「在宅生活を支える環境整備」を柱としています。
「在宅医療と介護の連携」では岡山市地域ケア総合推進センターが拠点となり、市民にも、また医療・介護の専門職にも開かれた相談室を設けています。
さらに連携強化のための仕組みを構築したり、研修などを開催しています。
「認知症施策」としては岡山県の認知症疾患医療センターが2ヵ所、岡山市の認知症疾患医療センターが1ヵ所あり、専門的な認知症の診断・治療を受けることができます。
また、認知症があっても住み慣れた地域で暮らすことができるよう、認知症初期集中支援チームも発足しており、地域の相談機関とも連携してサポートしています。
さらに、認知症地域支援推進員を2017年度末までに700人、認知症サポーターを600万人養成することを目標にしており、認知症の方やその家族へのサポート体制を整えるとともに、その良き理解者の養成にも力を入れています。
「在宅生活を支える環境整備」では地域包括支援センターの機能強化をはかり、生活支援・介護予防サービスを充実させることを進めています。
地域ケア会議を開催して地域の課題について検討・解決していくことや、生活支援コーディネーターの配置などもその具体的な活動になります。
岡山市「高齢者福祉の相談」とは?
自分が受けている介護サービスに何か問題がある時には、事業所の苦情担当者へ連絡するか、担当ケアマネージャー、もしくは居住地を担当する地域包括支援センターで相談を受付けています。
高齢者の相談事ならなんでも受付けてくれるのが地域包括支援センター、岡山市内には6ヵ所(分室を合わせると10ヵ所)設置されています。
例えば、「独居生活になった高齢者の見守りはどこに頼めばいいんだろう」というような疑問の解決にも応じてもらえます。
また、「消費者被害にあった、虐待を受けているようだ」等、高齢者の権利を守る相談も受付けていますし、介護保険や各種福祉サービスに関する相談にも対応し、代行申請や担当者への橋渡しなども行っています。
「介護予防・日常生活支援総合事業」は、これまで介護サービスを利用してきた要支援1・2の方からサポーターとして活躍したい方まで、65歳以上の方すべてがこの事業の対象となります。
相談窓口は市内10ヵ所の支所を含む福祉事務所や、地域包括支援センターになっており、介護保険の申請は福祉事務所で受け付けています。
岡山市では、電磁調理器具や電子レンジなどの日常生活用具の給付や、緊急通報システムの貸与・給付を受けることができますので、これらも福祉事務所や地域包括支援センターへ相談してみましょう。
これらの他に福祉事務所で相談を受付けているのが、要介護3以上の高齢者を在宅介護しているご家族への「家族介護者慰労金」。
支給要件がありますので、まずは福祉事務所へ相談しましょう。
さらに、自宅に浴室がない高齢者に対する「入浴券」の給付や、在宅の寝たきり高齢者への「利用サービス料の助成」なども行っています。