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第25回

PT・OT・STとは?リハビリを支える3つの医療専門職の違いと役割を解説

最終更新日時 2018/07/23
#親の介護 #介護予防
リハビリテーションの大きな目的は、再び元の生活に戻る、その方らしい生き方を生活の中に落とし込むことにあります。そのために必要なことは、可能な限りリハビリテーション職が関わりますので、対象となる患者様、あるいはそのご家族様にはお気軽に私たちを頼っていただきたいと思います。

こんにちは。理学療法士ブログ「リハ塾」を通じて専門的な体の知識を発信している、運動指導の専門家・理学療法士の松井洸です。

みなさんは、「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」の違いや役割をご存知でしょうか?これらはどれもリハビリテーションに関係する職種ですが、意外とそれぞれの違いが知られていないのが現実です。私自身もリハビリテーションにかかわる職種ですので、一般の方々にぜひ、知っていただきたい部分でもあります。

今回は、「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のそれぞれの役割の違い、何ができるのか」について解説していきます。

理学療法士:運動・温熱・電気・水・光線などの物理的手段で運動機能の維持・改善を図る

PT(Physical Therapist)

理学療法士はPT(Physical Therapist)とも呼ばれ、理学療法士協会では、理学療法を以下のように定義しています。

理学療法とは、病気・怪我・高齢・障害などによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に運動・温熱・電気・水・光線などの物理的手段を用いて行われる治療法である。

出典:公益社団法人 日本理学療法士協会更新

世間一般のイメージは、体操の先生のようなイメージをするかもしれません。もちろん、運動指導を通してその方の運動機能を改善するようなかかわり方もありますが、特別な機器を用いて、適切な部位を温めたり、電気を流すなどの手段で運動機能の改善を図るかかわり方もあります。

理学療法士の勤務する場所はさまざまですが、共通するのは対象者の病気や怪我に対して、解剖学や運動学といった体に関する学問をもとに、その方に合った理学療法プログラムを作成、元通りの生活に戻るためのお手伝いをするといった役割を持ちます。

「病気や怪我で歩きにくくなった」「肩を動かすと痛みがある」など、歩く・立つなどの基本的な動きや伴う痛みなどを対象としています。ですが、歩けるようになった先にある対象者の生活をふまえ、元通りの生活に戻ることができるのか、何か介護サービスを利用するべきなのか、職場へ復帰できるのかということも考えて実施します。ただ運動を指導するだけでなく、対象者の生活に寄り添いながら、理学療法を提供するのも理学療法士の仕事です。

私たちの業界内でも誤解されている方が多いのですが、リハビリテーション=理学療法というわけではなく、リハビリテーションの中に理学療法という手段があるだけで、場合によっては作業療法や言語療法を組み合わせて対象者に提供することで、生活にかかわっていきます。

作業療法士:元通りの生活が送れるよう作業を通して援助

OT(Occupational Therapist)

作業療法士はOT(Occupational Therapist)とも呼ばれ、作業療法士協会では、作業療法を以下のように定義しています。

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療・保健・福祉・教育・職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療・指導・援助である。対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

出典:一般社団法人 日本作業療法士協会更新

ここで言う作業とは、着替えやトイレなど生活に必要な動き、家事・仕事・趣味など、対象者の生活にかかわるすべての活動を"作業"と呼んでいます。これらの作業を通して、再び元通り活動できるように援助することを作業療法としています。理学療法士と同様に運動機能に対してもプログラムを考えますが、それに加えて実際に料理をする、買い物へ行くなどより生活に沿った形、作業を通じてリハビリテーションの中で提供します。

理学療法士は、歩く・立つ・座るなどの活動の元となる基本的な動きの中の問題を探し、対象者に合った形で運動を指導する。

作業療法士は、トイレをする・着替える・料理をする・買い物へ行くなど、先ほどの基本的な動きを使った活動の中で問題を探し、対象者に合った形で作業を通じて指導する。

便宜上、このように区別はされていますが、両者とも運動も作業も実際に見て、触って、必要なものを提供します。したがって、理学療法士は運動しか見られない、作業療法士は運動が見られないなんてことはなく、どちらも運動も見ることはできますし、作業も見られることは当たり前で、それを含めてリハビリテーションということなのです。

言語聴覚士:発声練習・飲み込む姿勢・食事形態などの指導や助言

ST(Speech-Language-Hearing Therapist)

言語聴覚士はST(Speech-Language-Hearing Therapist)とも呼ばれ、言語聴覚士法によると、以下のように定義されています。

音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、その他の援助を行うことを業とする者。

出典:言語聴覚士法 第二条 更新

言語聴覚士は、主に言語障害・音声障害・嚥下(えんげ)障害に対しての専門家です。言語障害は、上手く発話できない、声が出しにくいといった障害から、話が理解できないなど、声を出すことだけでなく、コミュニケーション全体としての障害を指します。

音声障害は、声が出しにくいことを指し、嚥下障害は、食べる・飲み込むといった機能の障害を指します。こういった問題に対して、声が出しにくい、言語が理解できない、食べ物を飲み込めないなどの原因を検査や評価を通して明らかにし、発声の練習・指導・飲み込みに適した姿勢やポジショニングの指導、食事形態の助言などを行います。

歩くといった基本的な動きや料理をする、買い物へ行くなどの作業も大事ですが、会話などのコミュニケーション手段、生きるために必要な食べる機能ももちろん大事です。話す・聞く・食べるといった機能も関節や筋肉に触れるため、体の専門家であるリハビリテーション職のかかわれる部分です。

理学療法士、作業療法士のように、基本的な動きや作業にもかかわりますが、特に言語、音声、嚥下障害に対して強くかかわることのできるのが言語聴覚士というわけです。

まとめ:3つのリハビリテーション専門職の役割

理学療法士は運動の機能、作業療法士は作業にかかわる機能、言語聴覚士は言語・音声・嚥下にかかわる機能をそれぞれ得意としています。しかし、それぞれの職種がそれぞれの分野しかかかわれない、見れないというわけではありません。どれもリハビリテーションとして必須の要素なので、3つの職種が互いに連携し合い、それぞれの分野を補う、あるいは共同してかかわっていくということが大前提です。

リハビリテーションの大きな目的は、再び元の生活に戻る、その方らしい生き方を生活の中に落とし込むことにあります。そのために必要なことは、可能な限りリハビリテーション職がかかわりますので、対象となる患者様、あるいはそのご家族様にはお気軽に私たちを頼っていただきたいと思います。「こんなこと聞いても良いのかな?」など思わずに、まずは聞いてみてください。私たちが、より良い生活にするための力になれるはずです。

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