「足がパンパンにふくらんでしまった」
「足の甲を指で圧迫すると痕(あと)が残ってしまう」
こんな症状があったら、その原因はむくみによる可能性が高いです。
今回は高齢者の足のむくみについてわかりやすく説明したいと思います。原因や予防策・改善方法まで解説しますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
むくみとは?
まずはむくみの基本について解説をします。
「むくみ」は漢字で書くと「浮腫み(むくみ)」と書き、医学用語では「浮腫(ふしゅ)」といいます。
むくみは皮膚の下に水がたまった状態です。よく起こる部位は、下腿(膝から下)、足首、足背(足の甲)、目のまわりなどです。
その原因はさまざまです。
むくみの原因
- 心臓、腎臓、肝臓などの臓器の機能低下
- 薬の副作用
- 感染
- 妊娠に伴うもの
- アレルギー
原因によって改善策も異なります。中にはマッサージをすると、かえって悪化させてしまうこともありますので、むくみがある場合は受診をして医師の判断に従いましょう。
なぜ高齢者は足がむくみやすいのか?その原因とは?
さまざまなむくみがありますが、今回は病的なむくみではなく、高齢者の生活習慣によるむくみについて解説したいと思います。生活習慣によるむくみは「慢性下肢浮腫」と呼ばれます。
高齢者がむくみやすい原因は以下のことが挙げられます。
- 座っている時間が長い
- 循環機能低下
- 筋力低下
- 排尿機能低下
- 運動不足
高齢になると活動量が低下し、座って過ごす時間が多くなる傾向があります。座っていると重力により体内の水分が足の方に下がってくるため、足がむくみやすくなります。
さらに、関節や筋肉を動かす機会が減り、関節が硬くなることや筋力が低下することもむくみやすい原因のひとつです。
年齢を重ねると心臓から各臓器に運ぶ血液の循環機能が低下しやすくなります。そのため、血行が悪くなり、水が溜まってしまい、むくみの原因になります。
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれています。それは、ふくらはぎの筋肉を動かすことにより、足に溜まっている血液を心臓の方に戻すことができるためです。
高齢による筋力低下の影響で、ふくらはぎをはじめ、全身の血行が悪くなりやすくなり、むくみが生じやすくなります。
体内の水分は尿や汗などにより体外に排出されます。尿が出ないと、体内の水分が増えてしまい、むくみやすくなります。腎臓などの機能が低下しやすい高齢者によくあるむくみのひとつです。
高齢になると膝や腰などが痛くなったり、持久力が低下して運動不足になりやすくなります。運動不足は、体内の循環を悪化させるだけでなく、筋力が低下する要因にもなり、むくみの悪循環を起こしやすくなってしまいます。

むくみを改善するためのマッサージやトレーニング
高齢者の慢性下肢浮腫を改善するためにはマッサージやトレーニングが有効とされています。ここではむくみ改善の代表的なトレーニングとマッサージを紹介します。
主なトレーニングは以下の4つがあります。
- 歩行
- 全身運動で血流を良くするために万能な運動は歩行です。普段から歩行する習慣をつけることでむくみの予防や改善につながります。
- スクワット
- スクワットは下肢筋力向上に効果的です。下肢のむくみを改善するためには下肢筋力を向上させて、血流を改善させましょう。
- 背伸び(立位でかかとを上げる運動)
- 背伸びの運動をすることによりふくらはぎの筋力強化につながります。ふくらはぎの筋ポンプ作用の強化により、むくみ改善に効果がある運動です。
- 足首を上下に動かす
- 座位、臥位で足首を上下に動かす運動をして、体の末端の血流改善に効果的です。
むくみ改善のためのマッサージは以下の2つがあります。ただし、むくみの種類によってはマッサージが逆効果の場合もありますので、専門職の指導の下実施することをおすすめします。
- ふくらはぎを揉む
- 血管が多いふくらはぎを揉むと血流の改善につながる可能性があります。また、下腿部をマッサージするときは体の先から心臓の方に向かってマッサージをするとより効果的とされています。
- 足首を回す
- 足首を回すと、足の関節が柔らかくなり血行促進が期待できます。血行が良くなるとむくみ改善や予防にもつながります。足首を回すときはゆっくりと回しましょう。
車椅子を使用されている方に対する家族のケア方法のアドバイス
高齢者の中には足腰が不自由になり自分自身で歩けない方もいます。普段車椅子で生活している方が自分自身で気をつける方法や、その家族ができるむくみのケア方法をアドバイスしていきていきます。
車椅子で生活している方や家族ができるむくみのケア方法は以下の通りです。
- 足を高く上げる
- ときどき立ち上がったり、運動をする
- むくみ予防のソックスを履く
- 食生活(塩分摂取)に注意する
- 体を温める
車椅子に座りながら足を高い位置に上げるとむくみ改善に効果的です。車椅子に座りながらだと、足を上げる高さに限界があるので、可能であればときどきベッドに横になって足を心臓より高い位置に上げることをおすすめします。
重力によって水分が体の中心に移動しやすいため、むくみが改善されることが期待できます。
立ち上がることができる方は、ときどき車椅子から立ち上がるようにしましょう。同じ姿勢を常に取っていると、どうしても血行が悪くなってしまいますが、立ち上がることは下肢筋力向上や循環改善に効果的です。
車椅子の上で足首を上下に動かすなどの運動もおすすめです。
むくみに効果的な弾性ストッキングやソックスがあります。持続的に均等に圧がかかるソックスを履くことで、足先から心臓への血液の戻りがサポートされ血流改善が期待できます。
車椅子の生活ですと、足が下がっている状態ですので、こうしたグッズも効果的です。
むくみには食生活も大切です。塩分を多く摂取するとむくみの原因となります。塩分はむくみだけでなく、生活習慣病にも影響があるので注意しましょう。
また、むくむからという理由で水分摂取を控えてしまう人もいますが、かえって水分を溜め込みやすい体になってしまいますので、むくみがある人こそ水分を積極的に摂ってください。
しかし、心不全や腎不全によるむくみなどの場合は水分摂取に制限がある場合もあるので、医師に相談することが大切です。
血行改善に効果的なのは体を温めることです。体温が上がると血管が広がり血流が改善され、むくみの軽減にもつながります。手足などが冷えないように室温を高く設定したり、体の芯から温まる食べ物や飲み物を摂るように工夫しましょう。

まとめ
今回は高齢者の足のむくみについて原因や予防策・改善方法を解説しました。
適度な運動をして筋力維持につとめ、血行を良くすることが高齢者のむくみ予防や改善には効果的です。
しかし、むくみの種類は多岐にわたり、原因もさまざまなので、医師など専門家に相談したうえで予防や改善に努めることが大切です。