デイサービスや高齢者施設では、交流の機会や認知症予防、生きがいを目的として工作レクを行っています。
工作レクは単に物をつくるだけではなく、達成感や充実感を得ることに加えて、周囲の人たちとの活発なコミュケーションが期待できます。その結果、利用者の居場所ができたり、生きがいを感じるようになり、高齢者のQOL向上につながるのです。
この記事では、ご家庭でも楽しめる簡単な工作レクと介護予防について紹介いたします!
工作レクの認知症予防効果とは
年齢を重ねると、指先や手のひらを使って「物をつかむ」「物をつつむ」「指をひらく」「つまむ」などの巧緻性が低下します。2013年の「厚生の指標」では、この巧緻性の低下が認知機能の低下につながると報告されています。
工作は紙や接着剤を使用して行います。細かい作業も発生するため、脳の運動野や感覚野、前頭前野が刺激され、脳内の血流改善に期待ができます。
脳の血流が低下すると、認知症の症状が発症する可能性も高まるため、工作は認知症予防にもつながるといえるでしょう。
工作でプレフレイル予防
工作レクではおもに日常にあるものを活用します。たとえば以下のようなものです。
- 牛乳パック
- ペットボトル
- 古新聞
用意するものも簡単で、工程もそれほど難しくはありません。しかし、工作による達成感は満足感とともに自信を生み出します。
さらに、誰かと一緒につくると、楽しい話題づくりにもなります。普段から家族とのコミュニケーションが豊かになることでメリハリのある毎日が過ごせるでしょう。
仕事を定年で退職し、家にいる時間が多くなると、体を動かす機会が少なくなり、意欲が自然と低下してプレフレイル(前虚弱)の状態になりやすくなります。
近くの友人宅、コミュニティセンター、公民館などで友人や地域の方と一緒に工作を楽しんだり、会食をすることは、このプレフレイルの予防にもつながります。
さらには、孤食の予防にもなり、外出の機会の増加によって健康的な生活を目指すきっかけになるでしょう。

工作のつくり方は一緒に調べよう
ご家庭で簡単につくれて楽しめる工作は、ネット上や書籍で数多くの作品例が出ています。高齢者の生活や趣味を考慮して一緒に探すことが本人に負担も少なく、長続きするポイントです。
私が今まで経験した中で、高齢者に無理なく簡単に楽しんでもらえた工作をご紹介いたします。
船や建物などのプラモデルづくりは、作成時に完成するイメージや作成図を見て手順を覚えることが大切です。
これによって脳の空間認知にかかわる前頭葉や、記憶に大切な側頭葉に対する刺激を与えます。完成後にできあがった作品を見ながら若いときのことを思い出したりすると、より認知症予防の効果があがるでしょう。
- 四季の小物
-
【準備する物】折り紙、ハサミ、のり、ストロー、色画用紙
春は、桜の花や鯉のぼり、夏は七夕飾りで使う飾り物、秋はお月見、冬はミニクリスマスツリー、正月かざりなどがあります。季節感を感じる工作はその日までにつくるといった目標を決めやすくなります。
- エコバッグづくり
-
【準備する物】英字新聞・地元新聞の古新聞紙、古い布 、ハサミ、のり、糸、接着剤
エコバッグのつくり方は、動画サイトなどでわかりやすく解説してあります。古新聞紙や着物の古着、包装紙などを使ってエコバッグをつくりましょう。完成品は友人にプレゼントしたりするといいでしょう。地域との連携や自分の居場所づくりが生きがいのひとつになります。
写真は、毎月2回開催している認知症カフェに参加している方の作品で、古新聞を利用して作成したエコバッグです。
- プラモデルづくり
船や建物などのプラモデルづくりは、作成時に完成するイメージや作成図を見て手順を覚えることが大切です。
これによって脳の空間認知にかかわる前頭葉や、記憶に大切な側頭葉に対する刺激を与えます。完成後にできあがった作品を見ながら若いときのことを思い出したりすると、より認知症予防の効果があがるでしょう。
まとめ
工作は、物をつくるために指先を動かすことで、脳内の血流が高まり普段の生活がスムーズになることが期待できます。小物や模型などが完成したときには、家族との新しい話題となりコミュニケーションも増えるでしょう。
地域では、同じ趣味の方との交流が多くなることで、自分の居場所づくりや役割の確率にもつながります。そうなれば自然と外出する回数も増え、社会的機能の維持向上や介護予防にも効果が出てくるでしょう。
工作の内容は、ハサミや糊、紙を使用して作成する小物類からブラモデルの作成と幅広くあり、家庭でも簡単に始めることができます。ものづくりが好きな高齢者などにおすすめですので、ぜひ一度試してみてください。
