アメリカでは一般的なリフィル処方箋
リフィル(Refill)は英語で「補充する」や「再び満たす」といった意味があります。つまり、リフィル処方箋とは、繰り返し利用できる処方箋を指します。
従来の処方箋は、一回だけの利用に限られていましたので、処方箋を薬局に渡して薬を受け取ったらそれで終わりでした。
しかし、リフィル処方箋を持つことで、医療機関を受診せずに直接薬局に行き、必要な薬を受け取ることができるようになります。
リフィル処方箋の制度は海外では古くから導入されており、アメリカでも半世紀以上前の1951年から導入されていました。
リフィル処方箋に変更される条件
日本でも2022年4月から導入されましたが、すべての処方箋がリフィル処方箋に変更されるわけではありません。いくつか条件があるのでご紹介いたします。
症状が安定していることが前提
リフィル処方箋は、症状が安定している患者さんについて、医師の処方により医師及び薬剤師の適切な管理のもと、一定期間内に処方箋を反復利用できる仕組みです。
症状が不安定な人や、医師に毎回診察する必要があると判断された人は、引き続き保険医療機関を受診して、その都度処方箋を発行してもらうことが基本となります。
保健医療機関の保険医がリフィルによる処方が可能と判断した場合には、処方箋の「リフィル可」という欄にチェックが入ります。
使用は3回までに限られる
リフィル処方箋の使用回数は3回までに限られています。1回あたりの投薬期間や総投薬期間については、医師が患者さんの病状などを踏まえ、医学的に適切と判断した期間が設定されます。
ただし、投薬量に限度が定められている医薬品(新薬や向精神薬など)や、湿布薬についてはリフィル処方箋による投薬はできません。
リフィル処方箋を受け取った患者さんは、その処方箋を保険薬局に持参し薬を受け取ります。1回目の処方箋の有効期間は従来と同じく、その日を含めて4日間。提出した処方箋は薬局で写しをとるので、原本が返却されます。
2・3回目は処方箋の原本を持っていく必要があるので、なくさないように注意してください。受け取り期間は、調剤予定日の前後7日以内。調剤予定日は、1回目に持って行った薬局で次回調剤予定日を記入してもらえます。
受け取りに行くのを忘れたり、調剤予定日の前後7日以内ではない日に受け取りに行っても、薬はもらえないので注意してください。

副作用に気づくのが遅れる危険性も
受診することなく薬を受け取れるので、リフィル処方箋は一見すると便利な制度に思えます。
しかし、医師による診察が不要となる一方で、病状の変化や薬の飲み間違い、副作用への対応が遅れてしまう可能性もあります。
薬局では、たとえリフィル処方箋を持参されても、リフィル処方箋による調剤が不適切と考えられる患者さんに対しては、調剤を行わずに受診するよう伝えることとされています。

医師・薬剤師の目が届く範囲で、整備されたのがリフィル処方箋制度です。
薬は体にとっては異物です。安全に使用するためには、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師と体調について相談しながら、上手に活用しましょう。