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第45回

【薬剤師監修】頓服(とんぷく)とはどんな薬?内服との違いや効果時間、注意すべき副作用を解説!

最終更新日時 2021/02/18
#薬
こんにちは。薬剤師の雜賀匡史です。病院を受診して風邪と診断されたときなど、解熱剤だけほかの薬の袋とは別に入っていたの見たことがあると思います。今回は頓服についてご紹介いたします。

こんにちは。薬剤師の雜賀匡史です。

薬には決められた時間毎に使用するタイプと、必要時にのみ使用するタイプの「頓服(とんぷく)」があります。病院を受診して風邪と診断されたときなど、解熱剤だけほかの薬の袋とは別の袋に入っていた経験がある方も多いのではないでしょうか。今回は「頓服の意味と使い方」についてご紹介いたします。

頓服とは用法の1つ

国立国語研究所によると、頓服のことを鎮痛剤(痛み止め)と誤解されている人が34.1%、解熱剤(熱冷まし)と誤解されている人が33.4%、包装紙にくるんだ薬だと誤解している人が16.2%で、ほかにも粉薬や坐薬といったさまざまな誤解があるとのことでした。これは実際に風邪をひいて受診したときなど、解熱鎮痛剤が頓服として処方されるケースが多いので、そのような誤解が生じているのだと思います。

では、実際に頓服とは何かと言うと、日本薬学会の薬学用語解説によれば頓服とは、「患者の主訴を軽減・消失させる目的で、症状が出たときや激しいときなどに必要に応じて薬を服用(使用)する用法をいう」とあります。この解説からも、頓服薬は薬の種類ではなく、用法の一種だということがわかりますね。

頓服は症状が出た際に服用すること

頓服指示は医師の判断で下される

例えば風邪薬をもらったとき、咳止めは1日3回毎食後に飲むよう指示が出ている一方で、解熱鎮痛剤は「発熱時」という指示が出ていることがありますよね。用法を最終決定する権限を持つのは医師。あらかじめ決められた用法用量の範囲を遵守していれば、解熱鎮痛剤を咳止めと一緒に1日3回毎食後に飲むような処方を出したり、頓服として発熱時だけ飲むような処方を出すことも医師の判断で変更することができます。

医師は診察時に患者さんの状態を把握し、その人に適した用法で処方箋を発行しています。しばらく発熱や痛みが続きそうだと判断したときには、飲み忘れや飲み間違いを防ぐためにほかの薬と一緒に飲むような指示を出すこともあれば、すぐに発熱症状が治まると予測し、解熱鎮痛剤を中止しても大丈夫と判断できれば、頓服として処方することもあるのです。

医師からの頓服指示で多い用法は、下記のように多岐にわたります。

  • 発熱時
  • 不眠時
  • 悪心時
  • 便秘時
  • 発作時
  • 疼痛時 など

薬は使用しなくて健康なら服用する必要はない

症状があってもなくてもとりあえず使用しておけば薬が効いてくれるので、わざわざ頓服にする必要がないのでは?と疑問に思われる方もいらっしゃいますが、薬は人の体にとって異物にあたります。過剰に使用すれば副作用の発現リスクも高くなりますし、必要のないときに使用することで、本当に必要としているときに十分な効果が得られないといった弊害が出てしまう恐れもあります。

つまり、すべての薬は使用しなくても健康な状態を維持できるのであれば、使用しない方が良いのです。この考えのもと、「必要が無ければ薬を使わなくても大丈夫ですよ」というメッセージ付きの用法が頓服というわけです。

人体にとって薬は異物

睡眠薬や発作に対する薬は頓服として使用されやすい

高血圧や糖尿病の薬は毎日決まった時間に服用することで、安定した効果を得ることができます。もしこれらの薬を頓服にしてしまうと、1日の間で血圧や血糖が高すぎる時間帯や低すぎる時間帯などばらつきが出てしまうので、良好なコントロールができなくなってしまうでしょう。

では、睡眠薬はどうでしょうか。不眠は個人差の大きい症状の一種。毎日寝つきが悪い人もいれば、週のうち1日や2日程度だけ眠れないという人もいます。もし不眠の症状が毎日のように出ている人であれば、睡眠薬を就寝前という用法で毎日飲むことによって、安定した効果を得ることができるでしょう。

しかし、週のうち1~2日しか眠れないという人は、毎日睡眠薬を使用する必要がないこともあります。よって、眠れないときだけ飲む「不眠時」という頓服使用の指示が出ることがあります。睡眠薬が体の中に残ってしまうと、朝方や日中時間帯にも眠気を感じてしまうなどの副作用が出てしまうことがあるため、飲まなくても生活に支障がないのであれば、頓服として不眠時のみの使用でも十分なことがあるのです。

このほかにも、痛み止めを頓服にすることで、胃腸障がいの副作用が出るリスクを軽減できますし、下剤を頓服にすることで、下痢などの副作用リスクを軽減することができます。また、「狭心症」による発作が起きたときに使用する薬には心臓の血管を広げる作用があります。もし発作時以外に使用すると頭痛や目まい、立ち眩み、血圧低下などの副作用が出てしまうことがあるのです。

このように、頓服という指示の背景には、副作用のリスクを下げる目的も含まれています。例えば「発熱時」で解熱鎮痛剤が処方された場合、「6時間以上間隔をあける」といった注意書きが薬袋に記載されていることがあります。これは、「この薬は6時間効果が持続するので、追加で飲むときには6時間以上間隔を保ってください」。という意味。それぞれの薬や体の状態によって、頓服使用でも指示内容が変化しますので、薬袋に記載された指示を守るようにしましょう。

頓服は服用によるリスクを回避しやすい

飲み方がわからなければ医師や薬剤師に相談を

今回は頓服について説明しました。頓服は身体の状態に応じて使用するかどうかの判断を自分でしなければならないため、使うときにためらってしまう人もいるかと思います。飲み方や使い方がわからないときには、積極的に医師や薬剤師に相談し、安全第一で使用していきましょう。

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