こんにちは。メディスンショップ蘇我薬局・管理薬剤師で、訪問薬剤師をしている雜賀匡史です。
今回も、前回に引き続き一包化に関するお話です。飲み間違いや錠剤の紛失をなくす一包化ですが、必ずしもすべての薬を一包化で受け取ることができるわけではありません。
このような悩みを抱えている方に便利な制度「外来服薬支援」についてご紹介致します。
院内処方だと服薬介助に困るときが…
診察を受けた医療機関内の薬局で薬を受け取ることを「院内処方」といいます。この院内処方ですが、これをする病院やクリニックをお使いの患者さん、介護者さんから「薬をシートのまま受け取ったので服薬介助に困っています。なんとかなりませんか?」という相談をしばしば受けます。
一包化するには専門的な機械(以下、分包機)を使うわけで、その操作も複雑。このため、院内処方で薬を受け取る場合、分包機を設置していないことで一包化対応がされないときがあるのです。
そんなとき、介護者の皆さんが市販のジッパー付きのパックやお薬カレンダーに、ハサミで切った薬をひとつずつ小分けしている光景を見かけることがあります。大切な薬なので入れ間違いがあってはいけないため神経を使う作業ですし、それにかかる時間も相当なものです。
また、このような作業を訪問看護師さんに依頼しているケースも見られますが、看護の専門である看護師さんが看護に費やす時間を割いてまで行う薬の管理というのは、果たして適切なのでしょうか?
こういった困りごとを解決するサービスが外来服薬支援というものです。あまり知られていませんが、上手に利用すると非常に便利なサービスなので覚えておきましょうね。
外来服薬支援制度で薬の飲み間違いをなくそう
外来服薬支援とは、自分で服薬管理が困難な患者さんやご家族が、お近くの保険薬局に薬を持参し服薬管理をしてもらう制度のこと。
この制度を利用すれば、薬局の方が服薬管理を代わりに請け負い、患者が持参した薬を一包化してお返ししてくれるというわけです。
ただ、このサービスを利用するには一定の要件があります。
まず、処方医が治療上の必要性と、服薬管理に係る支援の必要性を認めた場合しか利用できません。さらに、回数も1ヵ月に1回のみとなります。その際、薬局から医師に服薬支援についての情報提供も併せて行われます。
また、薬を受け取った薬局で十分な服薬管理(一包化を含む)が可能な場合には、そちらの薬局での服薬支援が優先されるため、他の薬局では提供出来ないサービスである点をご留意ください。
この制度はあくまで、何らかの事情により十分な服薬管理が今の環境では難しい人のためのサービスになります。
シートでも管理できる人は活用しなくてもOK!
外来服薬支援は医療保険が利用可能です。1割負担の場合、通常1回の調剤で185円を薬局でお支払いいただくかたちとなります。
通常の一包化にも、一包化薬調剤料という料金が別途かかっています(処方内容、日数によって料金は変動します)ので、それに代わる費用が外来服薬支援でも必要だとお考えください。
「お金がかかるなら、利用するのはやめよう」。と思われる人には、お勧めしないサービスです。
というのも、外来服薬支援で提供する機会の多い一包化調剤は、シートから薬を取り出す際に外の空気に触れるため、保存期間がシート保存時より短縮します。医薬品は光や湿気に弱く、それらの影響を完全に防げない分、包紙では製剤の安定性確保が難しくなるのです。
このような理由から、シートでもしっかり服薬できる人には一包化調剤はお勧めしておりませんし、わざわざ無駄な費用を使う必要もないでしょう。
あくまで、一包化していないとヘルパーさんによる服薬介助が困難になったり、飲み間違いが多くなったりする人向けのサービスです。
外来服薬支援はあまり知られていないサービスですが、「こんな便利なサービスがあるなら、もっと早く知りたかった!と言われることが多いサービスのひとつです。
私の薬局にも、このサービスを上手に利用されている介護者さんがたくさんいます。周りにこの制度をご存知ない方がいたら、ぜひ紹介してあげてくださいね。