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第12回

「プラセボ(偽薬)」とは?介護の現場で活用されるケースと注意点

最終更新日時 2018/05/22
#介護予防 #薬
主治医に事情を説明し相談するようにしましょう。また本来必要とされるお薬、定期的に服用しなければならないお薬、急に中止してはいけないお薬もあります。プラセボ(偽薬)自体に、効果があるわけではないので、勝手な判断でお薬を変更、中止するようなことはしないようにしましょう。

こんにちは。介護の教科書「介護×薬剤師」を担当することになりました株式会社パンブーが運営する、コトブキ調剤薬局横須賀店で薬剤師をしている竹中孝行です。

被害妄想の強い利用者から、風邪症状がないのに「風邪薬が欲しい」と言われ困ったなど、そういったお薬を要求されるケースは、介護の現場では多いことでしょう。そういったときに、主治医に相談し、プラセボ(偽薬)が活用されるケースがあります。

プラセボ(偽薬)とは、外見は薬のように見えて、中身はお薬の成分がまったく入っていないものになります。お薬が必要ではない状況にも関わらず、過剰にお薬を要求されたときにプラセボ(偽薬)を渡すことは本人を安心させ、過剰摂取による副作用のリスクを軽減させることにつながります。

今回は、「プラセボ(偽薬)とは何か」について解説するとともに、介護の現場でどのように使用されるケースがあるのかについてご紹介していきます。

プラセボ(偽薬)について

体に影響がない乳糖が含まれている

プラセボ(偽薬)とは、外見はお薬のように見えて、中身は、体に影響のない乳糖などを含むだけで薬効成分を持たないものになります。お薬の効果を確かめる臨床試験などでは、「お薬を服用するグループ」と「プラセボ(偽薬)を服用するグループ」などに分けて、効果を比較する(比較対象試験)などが行われます。

薬効成分を含んでいないにもかかわらず、プラセボ(偽薬)を服用したグループでも効果が認められることもあり、そのような効果を「プラセボ効果」といいます。一方、副作用など望ましくない効果も出ることが知られており「ノセボ効果」といいます。

介護の現場で活用されるケース

高齢になると骨が弱くなる

高齢者は、お薬の種類や量の増加、又、代謝や排泄機能の低下によってお薬が効きすぎる、副作用のリスクが高まる傾向にあります。そのため、お薬の過剰摂取をおさえるため、プラセボ(偽薬)が活用されるケースがあります。

睡眠剤や抗不安薬などの過剰摂取

寝る前に睡眠剤を服用しており、夜中に起きた時に追加で睡眠剤を服用している、そのような方もいらっしゃいます。ときに医師が指示している量の限度を超えて服用されているケースもみられます。

特に、高齢者が気をつけるべきことは、睡眠剤や抗不安薬の副作用である、「ふらつきや転倒のリスク」です。高齢になると骨などが弱くなっており、転倒から骨折につながりやすく、骨折してしまうと寝たきりになり、また認知症につながるケースもみられます。そのため、これらのお薬の服用には慎重にならなければなりません。

過剰に摂取しないように、介護者がお薬を管理されている場合も多いでしょう。そのような場合、ご本人にお薬を求められたときに、既に指示されている量を飲んでいると注意しても、お薬への依存度が増しており、なかなか難しいこともあります。そのようなときは、プラセボ(偽薬)を渡すことで、ご本人を安心させ、睡眠剤や抗不安薬の過剰摂取をおさえるというケースがあります。

認知症に合わせてプラセボ(偽薬)を渡す

認知症が進むと症状によっては、記憶障害が起こり、つい先ほどお薬を飲んでいるにもかかわらず「飲んでいない」と発言したり、その逆のことも起こります。定期的にお薬を服用していることが習慣となっている方の場合、お薬を服用しないと健康ではなくなってしまうと不安になることがあります。

その場合、既にお薬を飲んでいるという理由で介護者がお薬を渡さないと、本人は「なぜ、お薬をくれないの?」と意地悪をされていると思い気持ちが不安定になるなど、医療者や介護者に対し不信感を抱くことがあります。そのような場合、お薬を既に服用しているのに、再度お薬を渡すわけにはいかないので、プラセボ(偽薬)で対応されるケースがあります。

減薬するためにプラセボ(偽薬)を利用する

高齢に伴い、代謝や排泄機能の低下により、お薬の効果が強まる傾向に。そのため、体の調子に応じて減薬をしていくことが大事です。また、複数の服用されているお薬を見直したときに、既に服用する必要がないとされるお薬があります。このような場合には、医師の判断や薬剤師の提案で減薬がすすめられます。

先ほどの記述のとおり、今まで飲んでいたお薬が急に減ったり、無くなると、不安を抱えてしまう方も多く、今までと同じお薬が良い、何で変えてしまうのかと反抗されることもあります。そのような場合にも、本人を安心させるために、プラセボ(偽薬)を使用されるケースもあります。もちろんこの場合は、主治医との相談の上、すすめなければなりません。

プラセボ(偽薬)は購入できる?

薬の過剰な摂取を防ぐ

ラムネなどのお菓子で対応されている方もいらっしゃいます。体に影響が出ないものであれば、何でも良いのですが、ただ、外見的に難しい部分もあるため、お薬により似たものを用意したいという場合もあるでしょう。「プラセボ製薬」という会社では、偽薬を専門に販売されており、ネットで購入することもできます。ぜひ、参考にしてみてください。

プラセボ(偽薬)を使用する際の注意点

プラセボ(偽薬)を使用したい場合には、まずは主治医に事情を説明し相談するようにしましょう。また、本来必要とされるお薬、定期的に服用しなければならないお薬、急に中止してはいけないお薬もあります。あくまでもプラセボ(偽薬)自体に、効果があるわけではないので、勝手な判断で、お薬を変更、中止するようなことはしないようにしましょう。

また、プラセボ(偽薬)には、プラセボ効果とよばれるものもありますが、効果を期待して飲ませるものではありません。お薬の過剰摂取をおさえることや、減薬時に安心感を与えるなどそういった用途で使用するのが適切です。

プラセボ(偽薬)のまとめ

副作用はふらつきや転倒を招く

今回は、プラセボ(偽薬)とは何かについて解説するとともに、介護の現場でどのように使用されるケースがあるのかについてご紹介しました。

ご本人にお薬を過剰に求められたりすると、どのように対応して良いのか判断が難しい場合もあるでしょう。高齢者は、代謝や排泄機能の低下によってお薬の効き目が強く出やすいため、お薬の副作用には特に注意が必要です。睡眠剤や抗不安薬等の過剰摂取による副作用であるふらつき、転倒には要注意です。

ご本人を安心させるためのプラセボ(偽薬)の活用は、お薬の過剰摂取をおさえるための一つの方法になります。主治医に相談しながら行うようにしましょう。

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