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第49回

片麻痺(半身麻痺)がある高齢者の口腔ケア 麻痺の特徴を見極めてケアの方法を工夫しよう

最終更新日時 2023/08/11
#親の介護 #介護予防 #嚥下
目 次

高齢になると、脳梗塞や脳出血のリスクが高まります。これらの脳血管疾患になると、麻痺が生じることも少なくありません。

体の運動麻痺には、単麻痺、片麻痺、対麻痺、四肢麻痺の4つの種類があります。なかでも、半身に生じた運動麻痺のことを、片麻痺といいます。

今回は、特に片麻痺の方の特徴と口腔ケアの注意点についてお伝えします。

片麻痺がある方の口腔内の特徴

片麻痺の原因は、脳血管障害・脳腫瘍、頭部外傷などの脳の病気にあります。

また、片麻痺のある方では、上肢・下肢の麻痺に加えて、ものが食べにくくなったり、呂律がまわりにくくなったり、言葉が出にくくなったりするなどの症状を伴うこともよくあります。これらは、舌や頬の筋肉の動きが麻痺によって低下していることなどが原因です。片麻痺のある方の多くは、麻痺がある側の口腔周囲の筋肉の動きが低下しています。

そして、口腔周囲の筋肉の動きが低下すると、口腔内が汚れやすくなってきます。

健康な方の場合は、食べた物が口腔内に残っていても、舌などを動かし汚れを取り除くことができます。しかし、片麻痺の方では、舌や頬の動きが低下し、汚れが取り除きにくくなるのです。

加えて、麻痺がある側の口腔内の感覚も低下していることが多く、口腔内に食べ物が残っていても気づきにくくなります。

口腔内に何も残っていないと本人は思っていても、食べ物のかすなどが残ったままになっていることがあり、口腔環境を悪化させてしまうことがあります。また、食べ物がたくさん口腔内に残っていると誤嚥などの原因となることもあり、注意が必要です。

片麻痺がある方の口腔ケアの注意点

・ブラッシング時の工夫

口腔内の汚れに気づくための方法の一つに鏡の使用があります。

鏡でしっかりと確認する習慣を持つことで、麻痺により気づくことができなかった口腔内の汚れに気づくことができ、意識して歯磨きができるようになることもあります。

・歯ブラシの工夫

特に利き手に麻痺がある場合は、歯ブラシを口元に持っていくことが難しくなったり、利き手でないほうの手で歯ブラシを使用しないといけなかったりする状況になります。

そのため、少しでもご自身で歯ブラシが使用できるように、歯ブラシの柄を持ちやすく太くしたり、使いやすい歯ブラシのヘッドの大きさのものを選択したりすることが大切になります。

・ケア後の確認

ご本人の口腔ケアだけでは、汚れを落とせていないこともあるので、口腔内を観察し、磨き残しがないかどうかの確認が必要なときもあります。

特に麻痺側の頬の内側や歯の裏などには汚れが残りやすいので、注意して観察してみましょう。必要があれば、仕上げ磨きを行うと良いでしょう。
画像提供:photo AC

・舌のケア

また、麻痺側の舌の動きが悪くなっている場合は、舌苔(舌の表面に付着する白い苔状の汚れ)が麻痺側に多くなることもあります。その場合は、ナイロン毛の舌ブラシを使用すると舌苔を取り除きやすくなります。歯ブラシとともに、舌ブラシも取り入れることをおすすめします。

舌のケアは、舌を刺激することもでき、舌の機能改善につながることもあります。

・うがい時の工夫

片麻痺のある方は、口唇の動きが悪いこともあります。そのため、ブクブクうがいを効果的に行えなかったり、口に含んだ水がすぐに口から出てきてしまったりすることがあります。

うがいの際には、可能な限り前かがみの姿勢になれるように介助したり、洗面器などを用意し口腔から出てくる水を受けられるようにする工夫も大切です。

また、効果的なブクブクうがいが困難な場合や、口腔内に入れた水をしっかりと出せない場合などは、スポンジブラシや口腔ケア用のティッシュなどを用いて拭き取るなどのケアを行うとよいでしょう。

・介助で口腔ケアを行う場合の工夫

口腔ケアを介助で行おうとすると、口を開けていただけないということもあります。

片麻痺のある方では、健側(麻痺のない側)から口腔ケアを行うと、刺激を強く感じすぎて、不快感を覚えることがあります。そのため、口腔ケアを行うときに体や口腔内を触れる順番に配慮することも大切になります。

口の周囲は、体の中でも特に敏感な部位になっています。いきなり口から触れないほうが良いでしょう。

比較的体の中でも感覚が鈍い肩などから触れて、その際しっかりと声掛けをすると、ご本人の了承を得られやすくなります。その後、口周囲に触れるのも一つの方法です。

口に触れる際には、麻痺側から触れるようにし、ブラッシングも麻痺側から行うと、比較的スムーズに開口していただきやすくなります。

また、片麻痺のある方の場合、指示された行動がとれないといった症状が伴っていることもあります。

そのような場合は、「口を開けてください」と声掛けすることにより、さらに口を開けていただくことが困難になります。

行っていただきたい行動を声かけするのではなく、歯ブラシを見てもらい、「これから歯磨きをしますね」などの声掛けを行うことで、口を開けていただきやすくなることもあります。

・入れ歯の管理について

麻痺がある側の入れ歯は特に食べ物の残渣(食べかす)が残りやすくなっており、汚れやすくなっています。口腔ケア時には入れ歯を必ずはずして、清掃を行うようにしましょう。

また、麻痺側は入れ歯が合わなくなりやすいため、入れ歯がしっかり適合しているかどうかの確認も行うようにしましょう。

入れ歯がしっかり洗浄され、夜間は入れ歯洗浄剤につけ、清潔に使用できているか確認しておきましょう。

今回は、片麻痺のある方の一般的な口腔ケアについてお伝えしました。

しかし、脳の損傷部位により麻痺の程度はさまざまです。歯ブラシの使い方がわからない、歯ブラシを認識できないなどの症状を伴っていることもあります。個々の症状に合わせた口腔ケアが大切です。

また、片麻痺のある方は、むし歯や歯周病が知らない間に進行していたり、入れ歯を支える筋肉が弱くなり、入れ歯が合わなくなったりすることもあります。

定期的に歯科を受診し、口腔内の状態や入れ歯のメンテナンスを受けることも大切です。

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