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第19回

サルコペニアは寝たきりの原因に?早期発見の3つの目安と予防法

最終更新日時 2021/01/25
#介護予防
こんにちは、リハビリテーション科医の新田実です。今回は最近耳にする機会が増えてきた「サルコペニア」についてです。

こんにちは、リハビリテーション科医の新田実です。

今回は最近耳にする機会が増えてきた「サルコペニア」を取り上げたいと思います。

筋肉量・筋力・身体機能が低下する「サルコペニア」

サルコペニアの定義は「進行性、全身性の骨格筋量および、骨格における筋力の低下を特徴とする症候群」のこと。簡単に説明すると「筋肉量の低下や筋力の低下・身体機能の低下した状態」と言い換えられます。つまり、サルコペニアにおいては「筋肉量」「筋力」「身体機能」の低下がポイントです。

重要なのは、サルコペニアが「転倒」や「寝たきり」、「嚥下(えんげ)障がい」や「誤嚥性肺炎」などの重篤な疾患をもたらす原因となりうる点です。したがって、高齢者においてはサルコペニアを早めに発見・予防することがとても重要と言えます。

重篤な疾患をもたらす「サルコペニア」

発症しているかを確認する3つの目安

次に、サルコペニアの診断基準に採用されている検査法を中心に、サルコペニアの可能性を疑う目安についてご紹介します。

ふくらはぎの周径を測定し筋肉量を測る

筋肉量は主に下腿(ふくらはぎ)の周径を基に計測できます。ふくらはぎの筋肉量は、全身の筋肉量とある程度比例することがわかっており、それを測ることによって全身の筋肉量を推定できるからです。サルコペニアを疑うふくらはぎの周径の目安は、男性で34cm未満、女性で33cm未満とされています。

メジャーが家にない方は、「指輪っかテスト」という方法でふくらはぎの周径を測ることが可能です。指輪っかテストとは、ふくらはぎの一番太い部分を「両手の親指と人差し指でつくった輪」で囲い、ふくらはぎを囲った際にすき間ができるかどうかをみる検査法です。

両手の親指と人差し指でつくった輪でふくらはぎを囲った際にすき間ができた場合は、筋肉量が低下しているのでサルコペニアの可能性が高いです。逆にふくらはぎの太さが両手の親指と人差し指でつくった輪より大きい場合(指輪っかでふくらはぎを囲えない場合)は、サルコペニアの可能性は低いと考えることができます。

握力を測定して筋力の確認を

筋力は握力測定で測ります。握力は全身の筋力とある程度比例することがわかっています。そのため、握力測定によって全身の筋力を推定できるのです。

サルコペニアを疑う握力の目安は男性で28kg未満、女性で18kg未満とされています。家に握力計がある方はなかなかいないと思いますが、最近はデイサービスやデイケアなどで握力計を置いているところも増えてきました。定期的に測定してサルコペニアのスクリーニングを行うと良いと思います。

また、さらに簡易的な握力の推定方法として、「ペットボトルの蓋があけられるか」というチェック方法もあります。ペットボトルの蓋を開けるのに必要な握力はおよそ15㎏とされています。ペットボトルの蓋が開けられない場合は、男女の握力の基準未満と考えられますので、サルコペニアの可能性が高いと判断できます。

歩行速度と椅子から立ち上がる速度を測って身体機能をチェック

身体機能を測定する方法としては歩行速度を測る方法と、椅子から5回立ち上がるのにかかる時間を測る方法(5回椅子立ち上がりテスト)があります。歩行速度や椅子から立ち上がる能力を測定することによって全体的な身体機能を推定するわけです。

サルコペニアを疑う基準としては、歩行速度の場合は1.0m/秒未満椅子の場合は12秒以上とされています。歩行速度1.0m/秒の目安としては横断歩道を青信号の間に渡れるかどうかが1つの判断基準です。

横断歩道の青信号の時間は、横断歩道の長さ1mにつき1秒で計算されています(正確には交通量によって多少の+αの時間があります)。横断歩道を青信号の間に渡り切れなければ、歩行速度が1.0m/秒以下と推定できますので、サルコペニアの可能性が高いと考えることができるわけです。

2つの測定方法で身体機能を測ろう

運動療法と栄養療法で予防しよう

続いては、サルコペニアに対する治療法についてご紹介します。サルコペニアに対する治療法の中心となるのは「運動療法」「栄養療法」です。個人でも実践しやすい方法となっていますので、ぜひ参考にしてください。

レジスタンス運動と有酸素運動でトレーニング

運動療法とは主に、「レジスタンス運動(抵抗運動)」「有酸素運動」のことを指します。

レジスタンス運動(抵抗運動)とはいわゆる筋力トレーニングなどのこと。筋肉に負荷をかけて筋肉量・筋力アップを目指します。

また、有酸素運動とはウォーキングやサイクリングや水泳など、軽度~中等度の負荷を継続させてかける運動のことを指します。レジスタンス運動と同様に有酸素運動にも筋肉量・筋力を向上させる効果があり、有酸素運動によって身体機能の維持や向上をすることが可能です。

普段運動の習慣がない方がレジスタンス運動や有酸素運動を継続的に行うことは難しいと思いますので、まずは近所の散歩など簡単な運動から開始するのが良いでしょう。最近では、運動療法に特化したデイサービスやデイケアなども増えています。そういった介護サービスを利用するのも有用です。

良質なたんぱく質を取って筋肉をつけよう

栄養療法とはその名の通り、栄養をしっかり取って筋肉量・筋力の向上や身体機能の向上を目指す治療法です。サルコペニアに対する治療において最も重要なのは「タンパク質」。体に筋肉をつけるためには、良質で十分なたんぱく質を摂取する必要があります。

サルコペニアを予防するという観点では、高齢者(65歳以上)の場合は1日に体重1kgあたり1g以上のタンパク質の摂取が望ましいとされています。これは体重60kgの方の場合、1日60g以上のタンパク質を取ることが目標です。

また、タンパク質を取る時間帯にも注意が必要で、筋肉量や筋力アップを目指したい場合は、朝食時に多くタンパク質を摂取することが推奨されています。肉や魚などのタンパク質を多く含む食品は夕食時のメイン食材として食べることが多いと思いますが、サルコペニア予防の観点からは朝食時により多くのタンパク質を摂取することが推奨されます。納豆や豆腐、卵など朝食でも食べやすい食品で効率よくタンパク質を摂取しましょう。

早期発見・予防でサルコペニアを防ごう

以上、サルコペニアに関する検査法や診断の目安、主な治療法をご紹介しました。高齢の方は加齢自体がサルコペニアのリスク因子となりますので、早めに発見し、早めに予防することが重要です。ぜひ今日ご紹介した内容を参考にしていただければと思います。

加齢がサルコペニアのリスク因子に

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大関 純平
訪問看護リハビリテーション ヨリドコ 理学療法士
2023/05/08

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