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第74回

介護者を悩ませる在宅介護か施設入居の選択。決断する前に今すぐやるべきこと

最終更新日時 2022/05/26
#親の介護 #老人ホームへの入居
両親に介護の必要が生じたとき、家族は在宅介護か施設入居かの選択を迫られることになります。仕事を辞めて在宅介護を決断する人もいます。しかし、介護の問題は家族だけで解決するのは困難です。踏まえて、この問題と向き合うポイントを解説します。

介護者を悩ませる問題の一つが「在宅か施設か」の選択です。

元気だった両親が突然の病で介護が必要になり、苦しい決断を迫られるケースが増えています。

コロナ禍に入り「施設入居を選んだら、会えなくなってしまうかもしれない…」と悩み、その後も「この選択で本当に良かったのか」と心を痛めているご家族は少なくありません。

【事例】コロナ禍中に父親が脳梗塞で倒れた!

関西出身の会社員のAさん(男性・50代)は関東へ単身赴任中です。実家で二人暮らしをする両親を、妻の協力を得ながら見守ってきました。

ところが、昨年の春、父親が脳梗塞で倒れました。主治医からは、回復しても車椅子生活を余儀なくされるため、退院後の生活場所を検討するよう言われています。

父親を在宅で介護するには、実家を全面的にリフォームしなければなりません。母親も膝や腰を痛めています。妻は仕事をしながら全面的に協力してくれていますが、受験を控えた娘もいるため、これ以上負担をかけたくありません。

Aさんの単身赴任はあと数年続く予定です。Aさんは「自分が仕事を辞めれば、父親を家に連れて帰ってあげられるのに…」と考えるようになりました。

在宅介護は家族の介護力だけでは支えきれない

在宅介護か施設入居かと悩んだとき、「もっと自分が頑張ればなんとかなるのでは?」と思い悩む方がいらっしゃいます。

しかし、在宅介護は家族の力だけでは支えきれません。往診、訪問看護や介護などのサービスのほか、家事や生活支援の民間サービス、地域の見守り隊といったボランティア事業など、さまざまな制度やサービスの支援が必要です。

介護保険サービスを提供する事業所の数やマンパワーは、地域によって異なり、往診医を探すのに苦労する地域もあります。

さらに、コロナ禍で介護事業所の倒産や、慢性的な人手不足が加速して、十分なサービスを受けられない地域も増えました。

そのため、在宅介護をする家族への負担は想像以上に大きく、仕事を辞めて実家に帰ったとしても、在宅介護ができるという保証はないのです。

在宅介護か施設入居、あるいは同居するべきかという決断をする前に、周りにどんな介護環境があるか、情報収集と整理をすることが大切です。例えば、次のようなことを調べてみてください。

  • 往診してくれる医師がいるか
  • デイサービスやショートステイなどの施設サービスを提供している事業所は近くにあるか
  • 宅食や見守りサービスなど、有料・無料の介護や医療保険外サービス(インフォーマルサービス)はあるか
まずは地域の医療・カイゴサービスの状況を調べる

今やるべきことに一つずつ向き合う

Aさんはひとまず、実家近くで提供されているサービスを調べるために、地域包括支援センターに赴き、介護事業所や介護保険サービスのリーフレットを入手することから始めました。

そして、母親と今後の父親のことを相談するために実家に戻ったところ、母親が玄関での靴の脱ぎ履きにも苦労していることに気づきました。

母親も弱っていることを目の当たりにしたAさんは、自分が退職して実家に戻っても、両親を支えきれずに共倒れになるだろうと実感したのです。

その後、Aさんは母親の意向を確認したうえで、父親がリハビリ設備の整った老人保健施設へ入居できるよう手続きを進めました。

続いて、足腰が弱っている母親の一人暮らしを支えるために、母親の介護保険の申請と実家の玄関周りを部分改修しました。母親は要支援1と認定され、リハビリや運動に特化しているデイサービスへ週1回通うことになりました。

Aさんは「入院している父親のことばかり考えていましたが、まずは母親の生活支援が必要だと気づきました」と話します。

今やるべきことと一つずつ向き合うことで、仕事を辞めて、介護のために実家に帰るといった極端な考えから、現実的にできること、できないことを少しずつ整理できるようになったそうです。

Aさんは「コロナ禍で不安は尽きないけれど、現時点では母親も妻も自分も、誰も犠牲にすることのない、良い選択ができたと思います」と振り返ります。

在宅介護か施設入居を選択することは、手段の一つでしかありません。特に見通しの立たない状況下では、冷静に判断できず「自分が仕事を辞めればいい」と、自分を犠牲にした選択をしてしまいがちです。

介護は長期化しやすいものです。自分を犠牲にする考えが浮かんだときは、「親が本当に安心して過ごせる環境は何か」と、介護保険施設や有料老人ホームなど、在宅以外で介護する手段があることに意識を向けてみましょう。

親が本当に安心して過ごせる環境を考えよう

橋中からの直接のお返事、対応はできませんが、みんなの介護の記事や当協会が配信している無料メルマガで解決策についてお伝えしていきます。

皆さんが介護で経験されていること、対策を取られていることを介護者メンタルケア協会の問い合わせフォームでぜひ教えてください。こちらの「介護の教科書」の記事でお答えできればと考えています。

日々の介護の悩みについては、拙書『がんばらない介護』で解説をしています。ぜひ、手にとって参考にしてほしいです。

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