こんにちは。介護の教科書「メンタル」担当の介護者メンタルケア協会代表で、心理カウンセラーの橋中今日子です。
仕事と介護の両立についての相談を伺っていると、介護をしていることで生活が変わったこと、今までと同じように仕事ができなくなっていることを、職場に理解されていないことが多いです。
実は、理学療法士として病院で働きながら、祖母と母、弟の3人の介護をしていた私もそうでした。
そこで今回は、どのように職場に伝えれば、介護と仕事の両立を理解してもらえるかについてお話しします。
また、経営者や人事担当者をはじめ、周りの人が介護で困っているかもしれないと感じている方も参考にしてください。
相談や聞き取りをするのが楽になりますよ。
「わかってもらえなくて当たり前」からスタート
介護経験がない方に、通院の付き添いや担当者会議のため、休みをとらざるを得ない状況を理解してもらうことはとても難しいですよね。
事情を話したつもりなのに「助けてくれない」「わかってもらえない」と感じ、多くの人が周りとのコミュニケーションをとることを諦めてしまっているのが現状です。
でも、そのまま諦めてしまっては、理解してもらえるチャンスを逃してしまいます。
介護経験のない方は、介護に関する情報がなく、状況をまったくイメージできない状態なので、相手の立場に立って考えることがとても難しいのです。
例えば、行ったことがない国の生活を想像するのは難しいですよね。それと同じことだと言えます。
周りの方に理解を得られないのはつらいことですが、心の準備体操として「わかってもらえなくて当たり前」「わかってもらえなくても、傷つく必要はない」と、自分に言い聞かせておきましょう。
要介護者を大家族で支えることができたのは、大家族が主流だった過去の話です。
現在は、たった一人で介護に向き合わざるを得ない状況の方がほとんどです。
そして、介護に向き合う方はこれからどんどん増えていきます。
介護経験がない方に情報を伝えることは世の中のためになることなんだ、くらいのつもりでどんどん共有していきましょう!
情報共有をラクにする「相談準備シート」
これまで、私のもとには「職場で介護の現状をわかってもらえない」「何をどこまで話せば良いのかわからない」という相談が多く寄せられました。
物事を説明するには「伝わりやすい順番」というものがあります。
「こんなこと話しても良いのか?」「どう思われるだろう?」「わかってくれるだろうか?」と不安や疑問を抱えて、その都度考えながら話していると、状況説明ばかりが長くなってしまいます。
何をしてほしいのかが伝わらず、結局は情報の共有ができなくなるのです。
そこで、相談する方も、相談される方も、もっと楽に情報共有できる方法はないか?と考えて、状況を簡潔に伝えるための「相談準備シート」を作りました。
このシートは、①誰に相談するか、ということから始まる7つの項目があり、介護の状況説明の項目については丸をつけたり、数字を書き込んだりするだけになっています。
他の項目も穴埋め式、チェック式になっているので、文章を書くのが苦手だという人でも記入しやすくしました。
PDFファイルも準備しているので、こちらからダウンロードしてみてくださいね。
このシートを使うメリットは2つあります。
まず、シートに記入していくことで、自分自身の頭の整理ができることです。
今、どんな状況なのか、何をして欲しいために相談するのか、今後、どのタイミングで何を伝えれば良いかがはっきりします。
続いて、相手に伝わりやすい順番になっているので、短時間で端的に問題を伝えることができます。
職場の人と一緒にシートを見ることで、情報の共有もでき、「言った」「言わない」などのミスコミュニケーションも防げます。
今の状況と、改善・相談したいことをシートに書きこんでみましょう。
下書き用と清書用の2枚を印刷して使ってみてください。
言いたいことが決まっているつもりでも、書いてみるとさらに考えがまとまってくることがあるからです。
そして、いざ相談にのぞむときは、シートを見ながら話してみましょう。
このシートは、職員の介護離職を防ぎたい経営者や人事担当者の方にも応用できますので、どんどん活用してくださいね。