「一般的な食事と介護食の違いがよくわからない」「介護食を提供しても食べてくれない」といった悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。
介護食について悩む理由は明確で、介護者の多くは高齢でないこともあり、介護食を食べる側の気持ちがわかりません。だからといって、わからないままでは介護される側の不満は高まる一方です。
そこでおすすめしたいのが、介護食に関する資格の取得です。今回は資格の種類や取得するメリットなどを解説します。
介護食に関する資格を取得するメリット
資格を取得するメリットは「介護食に関する知識」「高齢者の心身に関する知識」が身に着けられる点です。
高齢者は噛んだり飲み込んだりする力が弱くなってきますが、その力は人それぞれ異なります。一人ひとりにあった形態の食事を提供しないと、食べる楽しみを奪ってしまい、高齢者の心身を弱らせることにつながりかねません。介護食に関する資格を取得すれば、高齢者それぞれに適した食事をつくることができ、より良い介護食を提供できます。
また、介護関係の仕事に就いていれば、職場内での信頼も高まります。栄養士や管理栄養士なら、介護食の詳しい知識を活用して、より良い食事を提供できるでしょう。介護職員なら、利用者の食事の様子をみて、改善点を提案できるようになります。
介護食に関する資格5選
介護食に関する資格はすべて民間の資格で、それぞれ受験資格が異なります。その特徴などを詳しく解説しましょう。
(1)介護食士
- 段階:3~1級
- 受験資格:3級/誰でも可能、2級/3級保持者、1級/2級取得後実務経験2年以上
- 取得までの期間:4~6ヵ月程度
介護食に関する資格の中でも、介護食士はメジャーです。介護食士は3級から1級まであり、2級までなら介護職に就いていない一般の方でも受験が可能です。
3級から取得する必要があるため、1級まで取得するにはある程度の時間が必要になります。また、どの級も学科と実習への参加は必須です。
講習を受けた後、試験を受けて合格すれば取得できます。労力は必要ですが、技術が身に着く実習と、最新の情報が手に入る学科を受講できるのは、大きなメリットです。
(2)介護食アドバイザー
- 段階:なし
- 受験資格:誰でも可能
- 取得までの期間:3ヵ月程度
高齢者に関する基礎知識はもちろん、ソフト食のつくり方や盛り付け方、口腔ケアなどを学ぶことで、介護食に関する確かな情報を身に着けられます。こちらは段階が分かれていないため、より高度な知識を求めるのであれば、介護食士を受験すると良いでしょう。
(3)介護食コーディネーター
- 段階:なし
- 受験資格:誰でも可能
- 取得までの期間:3ヵ月程度
介護食コーディネーターは、主に高齢者向けの食事のレパートリーを増やしたい方におすすめの資格です。課題を提出し、試験に合格すれば介護食コーディネーターの資格が取得できます。ただし、ソフト食など嚥下(えんげ)食には対応していないため、嚥下食について詳しく学びたい方は、介護食アドバイザーなどを受講しましょう。
(4)介護食マイスター
- 段階:なし
- 受験資格:誰でも可能
- 取得までの期間:2ヵ月~
介護食の基本的な知識を身に着けたい方は、介護食マイスターがおすすめです。家族の介護が必要になった方や、これから介護職に就きたい方にも最適です。在宅で受験できる気軽さも魅力です。
(5)介護食コンサルタント
- 段階:なし
- 受験資格:誰でも可能
- 取得までの期間:1ヵ月程度
短期間で介護食に関する知識を身に着けたい方におすすめの資格です。ほかの資格が最短でも2ヵ月以上必要なのに対し、介護食コンサルタントなら1ヵ月程度で取得できます。突然介護をする必要が出てきた場合や、介護職に就いた後に知識を深めたい方に向いています。

用途によって異なる資格の活用法
家庭での介護に役立てるなら「介護食マイスター」や「介護食コンサルタント」など、基本的な知識を簡単に身に着けられる資格が良いでしょう。
介護をする中で、もっと介護食のレパートリーを増やしたいと感じたら「介護食コーディネーター」を受講するのもおすすめです。介護者の咀嚼嚥下機能が低下してきたと感じたら「介護食アドバイザー」や「介護食士」を取得し、より深い内容を身に着けてみてはいかがでしょうか。
また介護施設で働きたい場合、介護に関する資格を保持していると就職時に役立ちます。介護食に関する資格であれば、介護食士や介護食アドバイザーがおすすめです。これらは介護食の資格の中でも認知度が高いので、採用者にアピールしやすいからです。介護食士は段階があるので、就職後により知識を深めたい場合も役立ちます。
介護食に関する資格を取得することで、家族や利用者に対してより良い介護ができるようになります。「介護食は難しい」「高齢者の気持ちがわからない」などと感じている方は、ぜひ資格を取得してみてはいかがでしょうか。将来的に介護施設で働きたくなった場合も、資格を保持していれば有利になるでしょう。
