皆さん、こんにちは。(公社)大分県栄養士会の栄養ケア・ステーションを担当している、管理栄養士の濱田美紀です。
高齢になると、「若い頃のようにスムーズに排便できない」といった便秘の症状を訴える方が多いようです。今回はそんな方のために、「便秘予防に役立つレシピ」についてお話していこうと思います。
便秘が重症化すると腸閉塞や肺炎などを引き起こす
便秘の原因はさまざま考えられますが、主に以下の4点に注意が必要です。
- 食事の量や水分の摂取量が減る
- 日常生活で運動量が減る
- (運動量や食事量が減ることで)腸の動きが鈍くなる
- 薬の副作用
便秘の感じ方は、「毎回残便感がある」「腸が詰まった感じがある」など人によって違いますが、重症化すると便が腸の中で固まって「腸閉塞」や「直腸潰瘍(ちょくちょうかいよう)」「虚血性腸炎」などを引き起こします。
このような状況にならないためにも、便秘を予防する必要があります。予防方法としては、「適度な運動」や「排便の癖をつけるために決まった時間にお手洗いに行く」などがありますが、何より大切なのは「便の素になる食事を見直すこと」です。
食生活を見直す3つのポイント
- 毎日3食の食事を取り、腸を動かす。
- 食事量が少ないと便の材料不足になり、便秘の原因になります。特に朝食は、腸を刺激して排便を促す効果があるので重要です。
- 水分をたくさん取る
- 普段の食事(3食取っている場合)1リットルほどの水分が含まれます。しかし、それ以外でも毎食時にコップ1~2杯分、午前と午後、寝る前にコップ1杯分の水分を補給するようにしてください。
- 食物繊維を多めに摂るよう意識する
- 食物繊維は水分を吸収して、便の量を多く柔らかくします。それによって排便しやすくなるのです。
ほかにも適度な油を使った料理や、腸内環境を整える食品(オリゴ糖など)を食べることも意識しましょう。
ねばねばどんぶりとおからを使って食生活を健康に
次に、便秘予防のためのレシピと、毎日続けて食べられる料理のレシピを紹介します。
ねばねばどんぶり
つくり方は炊きあがったご飯に材料をすべて乗せて混ぜるだけ!納豆のたれを入れても味が薄いときは、麺つゆを少しかけると良いと思います。
すべての材料に腸を元気にする栄養素が入っているので、便秘予防に効果があります。ご飯を白米ではなく「雑穀米」にすることで、食物繊維やミネラルの摂取量が増えるのでお奨めです。
材料
- オクラ:お好きな量を準備(冷凍でカットされたものが便利)
- 納豆:1パック
- 長芋:3センチほどをすりおろす
- 卵:1個
- ご飯:1杯
- 納豆のたれ:1袋
味噌汁やプレーンヨーグルトにおからパウダーを追加
次に、毎日の食事に取り入れられる献立を紹介します。
- 味噌汁または普段よくつくる汁物+おからパウダー
- プレーンヨーグルト+お好きな果物+おからパウダー
おからはたんぱく質やビタミン、ミネラルなどの体に必要な成分に加えて、便秘に効果のある食物繊維やオリゴ糖も含みます。おからパウダーはスーパーなどで1袋200円前後で購入でき、生のおからより日持ちするので、使いやすい食品です。
継続的な食事改善で効果が発揮される
便秘予防は1回の食事を変えただけでは効果は出ません。毎日、腸に良い食品を摂ることを意識しながら食事をすると、徐々に変化が現れます。高齢になると日々の食事をつくるのが大変な方も多いと思います。なので、簡単に調理できて続けられる料理をつくりましょう。