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第106回

高齢者の栄養補助食品は保険適用される?保健機能食品や医薬品との違いを解説

最終更新日時 2025/09/30
#介護食
目 次

高齢者向け栄養補助食品とは?種類と特徴を知ろう

高齢になると食事量の減少や栄養の偏りが心配になることもあるでしょう。そんな時に頼りになるのが栄養補助食品です。まずは栄養補助食品の基本的な知識から、高齢者に適した商品の種類まで詳しくみていきましょう。

栄養補助食品とはどんなもの?

栄養補助食品とは、日常の食事では十分に摂取しにくい栄養素を手軽に補うことを目的とした食品です。高齢になると食事量が減ったり、噛む力や飲み込む力が弱くなったりするため、必要な栄養を十分に摂取することが難しくなります。

このような状況で活躍するのが栄養補助食品です。特に高齢者の場合、タンパク質やビタミン、ミネラルなどが不足しがちになります。栄養補助食品は、これらの不足した栄養素を効率的に補える点が大きな特徴といえます。

市販されている栄養補助食品は、法律上「食品」として分類されます。医薬品ではないため、病気の治療や症状の改善を目的とするものではありません。あくまで健康維持や栄養バランスの改善をサポートする役割を担っています。

高齢者向けの栄養補助食品は、飲み込みやすさや消化しやすさに配慮した設計になっているものが多く見られます。また、少量でも効率的に栄養を摂取できるよう、栄養密度が高められているのも特徴の一つです。

高齢者向け栄養補助食品の5つのタイプ

高齢者向けの栄養補助食品は、形状や摂取方法によっていくつかのタイプに分けられます。それぞれに異なる特徴があるため、利用者の状態や好みに応じて選択することが大切です。

粉末状タイプ
粉末状の栄養補助食品は、水や牛乳などの飲み物に溶かして摂取します。栄養素を高濃度で配合でき、持ち運びも便利です。ただし、溶かすのに手間がかかったり、粉っぽさを感じたりする場合があります。
錠剤やカプセル(サプリメント)タイプ
錠剤やカプセル状のサプリメントは、特定の栄養素を集中的に摂取したい場合に適しています。携帯性に優れ、味を気にせずに摂取できます。しかし、飲み込みが困難な高齢者には向かない場合があります。
ゼリータイプ
ゼリー状の栄養補助食品は、飲み込みやすく、噛む力が弱い高齢者でも安心して摂取できます。のど越しが良く、さまざまな味が用意されているため、継続しやすいのが魅力です。ただし嚥下機能が低下している高齢者にとっては誤嚥の危険性もあるため、嚥下機能に合ったものを選び、必要に応じて医師やST(言語聴覚士)に相談しましょう。
飲料タイプ
液体状の栄養補助食品は、最も摂取しやすい形状の一つといえるでしょう。栄養バランスが考慮され、食事の代わりとしても利用できる商品もあります。冷やして飲むとさらに飲みやすくなります。
お菓子タイプ
クッキーやビスケットなどのお菓子タイプは、間食として楽しみながら栄養を摂取できます。食事が進まない場合でも、お菓子感覚で栄養補給が可能です。ただし、糖分が多く含まれる場合があるため注意が必要です。

栄養補助食品・保健機能食品・医薬品の違いと選び方

栄養補助に関連する商品には、栄養補助食品、保健機能食品、医薬品といった異なるカテゴリーがあります。これらの違いを理解することで、適切な選択ができるようになります。

栄養補助食品の特徴
一般的な栄養補助食品は、健康増進法に基づく食品として扱われます。特定の効果や効能を表示することはできませんが、栄養成分の補給を目的として自由に販売されています。価格も比較的手頃で、さまざまな商品から選択できます。
保健機能食品の特徴
保健機能食品は、国が定めた基準をクリアした食品で、一定の保健の効果が期待できることが科学的に証明されています。その効果を商品に表示することが認められています。
医薬品との違い
医薬品は病気の治療や予防を目的とし、厚生労働省の承認を受けた有効成分が含まれています。医師の処方箋が必要な医療用医薬品と、薬局で購入できる一般用医薬品(OTC医薬品)があります。

高齢者の栄養補助食品で保険適用はある?

多くの方が気になるのが、栄養補助食品に保険が適用されるかどうかです。結論から言うと、市販の栄養補助食品は保険適用外ですが、医師が処方する栄養剤は保険が適用される場合があります。

市販の栄養補助食品と処方される経腸栄養剤の違い

市販の栄養補助食品と医療機関で処方される経腸栄養剤には、明確な違いがあります。この違いを理解することで、保険適用の有無についても把握できるでしょう。

市販されている栄養補助食品は、薬事法上「食品」に分類されます。ドラッグストアやインターネットで自由に購入でき、処方箋は必要ありません。これらの商品は健康維持や栄養バランスの改善を目的とし、医療保険や介護保険の適用対象外となります。

価格は全額自己負担となりますが、商品の種類が豊富で、味や形状を自分の好みに合わせて選択できる自由度があります。また、医師の診察を受けることなく、必要だと思った時にすぐに利用開始できる手軽さも特徴といえます。

一方、医療機関で処方される経腸栄養剤は「医薬品」として扱われます。これは医師が患者の栄養状態や病状を評価し、医学的に必要と判断した場合に処方されます。

経腸栄養剤は、栄養失調や摂食困難などの医学的な問題に対する治療の一環として位置づけられています。そのため、一定の条件を満たせば医療保険の適用を受けることができます。

処方される経腸栄養剤は、栄養成分の配合が医学的根拠に基づいて設計されており、品質管理も厳格に行われています。ただし、医師の処方箋が必要で、定期的な診察や検査を受ける必要があります。

病院で栄養剤が処方されるのはどんなとき?

医療機関で経腸栄養剤が処方される場面には、いくつかの典型的なケースがあります。これらの状況では、栄養補給が治療の重要な要素として位置づけられます。

摂食・嚥下障害がある場合
脳卒中や認知症などにより、食べ物を上手に噛んだり飲み込んだりできなくなった高齢者に処方されることがあります。通常の食事では十分な栄養摂取が困難で、栄養失調のリスクが高い状態です。
このような場合、液体状の経腸栄養剤を使用することで、安全かつ効率的に栄養補給を行うことが可能になります。胃ろうなどの経管栄養を行っている患者にも使用されています。
重篤な疾患による食欲不振
がんなどの重い病気により、食欲が著しく低下し、通常の食事摂取が困難になった場合も処方対象となります。化学療法や放射線療法の副作用で食事が摂れない患者にも使用されます。
術後の栄養管理
手術後の回復期において、消化機能が十分に回復していない時期に処方されることもあります。段階的に通常の食事に戻すまでの橋渡し的な役割を果たします。
慢性的な栄養不良状態
高齢者では、慢性的な食事摂取不足により栄養不良状態に陥ることがあります。血液検査で栄養状態の悪化が確認され、医学的な介入が必要と判断された場合に処方されるでしょう。

保険適用を受けるための条件と手続き

経腸栄養剤の保険適用を受けるためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。また、適切な手続きを踏むことで、医療費の負担を軽減することができます。

医療保険が適用されるためには、まず医師による診断が必要です。単なる栄養不足ではなく、医学的に治療が必要な状態であることが証明される必要があります。

具体的には、血液検査による栄養指標の低下、体重減少率、食事摂取量の評価などが行われます。これらの結果を総合的に判断し、医師が経腸栄養剤の使用を医学的に必要と認めた場合に保険適用となります。

保険適用を受けるための手続きは、通常の医療機関受診の場合と同様、以下のような流れになります。

  1. かかりつけ医や専門医を受診し、栄養状態について詳しい診察を受けます。
  2. 必要に応じて血液検査や栄養評価が行われ、経腸栄養剤の処方が決定されます。
  3. 処方箋をもとに薬が処方され、支払い時に保険証を提示することで保険適用価格での購入が可能になります。
  4. 定期的な診察や検査による経過観察も行われます。栄養状態の改善を確認し、継続的な処方の必要性を評価していきます。

高齢者の栄養補助食品の効果的な活用法と注意点

栄養補助食品を安全かつ効果的に活用するためには、正しい選び方と使用方法を知ることが重要です。高齢者特有の身体的変化を考慮した活用法と、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

高齢者の状態別おすすめ栄養補助食品の選び方

高齢者といっても、その身体状況や健康状態は個人によって大きく異なります。それぞれの状態に応じた適切な栄養補助食品を選ぶことで、より効果的な栄養補給が期待できるでしょう。

これらのような場合は、自己判断ではなく、必ずかかりつけ医や管理栄養士に相談してから選択することが重要です。

栄養補助食品の効果的な活用法

栄養補助食品の効果を最大限に引き出すためには、適切なタイミングと方法で摂取することが重要です。また、通常の食事と組み合わせることで、よりバランスの取れた栄養摂取が可能になります。

摂取タイミングの工夫
栄養補助食品は、食事の代替品ではなく、あくまで補助的な役割として位置づけることが大切です。食事と食事の間の間食として摂取したり、食事量が少なかった時の補完として利用しましょう。
通常の食事との組み合わせ
できる限り通常の食事と組み合わせることが理想的です。食事で摂取しにくい栄養素を栄養補助食品で補うという考え方が基本です。
継続的な摂取のコツ
栄養補助食品の効果を実感するためには、継続的な摂取が重要です。毎日決まった時間に摂取する習慣をつけることで、忘れずに続けることができるでしょう。

また、複数の味や種類を用意しておくことで、飽きずに続けやすくなります。家族や介護者のサポートを得ながら、楽しく継続できる環境を整えることも大切です。

安全に利用するための注意点

栄養補助食品を安全に利用するためには、いくつかの重要な注意点があります。これらのポイントを守ることで、トラブルを避けながら効果的な栄養補給を行うことができます。

薬との相互作用に注意
常用している薬がある場合は、栄養補助食品との相互作用に注意が必要です。特に、血液をサラサラにする薬を服用している場合は、ビタミンKを含む商品との組み合わせに注意しましょう。
過剰摂取のリスク
脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)などは、過剰摂取により健康に悪影響を与える可能性があります。商品に記載されている摂取目安量を守り、複数の商品を同時に使用する場合は、同じ栄養素の重複に注意しましょう。
アレルギーや食品不耐症への配慮
栄養補助食品には、卵、乳、小麦、大豆などのアレルギー表示対象となる原材料が含まれている場合があります。アレルギーのある方は、必ず原材料表示を確認してから摂取することが重要です。
品質と安全性の確認
保存方法については、商品の指示に従い、適切な環境で保管することが大切です。事前に賞味期限を確認し、開封後は早めに使い切りましょう。

高齢者の栄養補助食品利用においては、家族や介護者のサポートが欠かせません。定期的に体調の変化を観察し、何か気になることがあれば速やかに医療機関に相談することで、安全で効果的な栄養補給を続けることができるでしょう。

まとめ

高齢者の栄養補助食品について、保険適用の可能性から効果的な活用法まで詳しくみてきました。市販の商品は保険適用外ですが、医師が処方する経腸栄養剤は条件を満たせば保険が使えます。

大切なのは、それぞれの身体状況に合わせて適切な商品を選び、安全に継続することです。迷った時は専門家に相談し、本人にあった最適な栄養サポートを見つけていきましょう。

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