目 次
近年、70代の方の8割以上がスマートフォンを所有するなど、シニア世代のデジタル化が進んでいます。
大変便利な反面、スマートフォンやパソコンの中にある「見えない契約」や、空き家になるご自宅の「公共料金」をそのままにしてしまうと、ご家族が苦労されたり、無駄な出費が続いてしまったりするケースが少なくありません。
今回は、ご入居前に必ず確認しておきたい契約の整理と手続きについて、具体的なステップを分かりやすく解説いたします。
自宅はどうなる?状況別・公共料金の手続き
ご入居に伴う公共料金の手続きは、ご自宅が「空き家になるか」、それとも「ご家族が住み続けるか」によって対応が大きく異なります。
■ ご自宅が「空き家」になる場合(売却・賃貸含む)
誰も住まなくなる場合は、無駄な出費を抑え、漏水や漏電などの思わぬ事故を防ぐため、原則としてすべてのサービスについて利用停止や解約の手続きを行います。- 電気(解約・利用停止)
- 退去日には必ずブレーカーを落とします。ご家族が定期的に清掃等で通う場合は、アンペア数を最小限に下げて契約を残す方法も有効です。
- ガス(解約・閉栓)
- メーターが屋外にあり作業員が立ち入れる場合は、原則として閉栓時の立ち会いは不要です。
- 水道(解約・利用休止)
- 長期間使わない水道を放置すると、冬場の凍結による破裂やパッキン劣化による漏水トラブルの原因となるため、必ず止める手続きを行います。
- NHK(解約)
- 施設にテレビを持ち込まない場合や、施設側がまとめて契約している場合は、現在の契約を解約できます。
■ ご自宅に「ご家族が住み続ける」場合
ご本人様が各種公共料金の契約者であった場合、残されるご家族が困らないよう、契約関係の引き継ぎが必要です。電気、ガス、水道などの契約名義をご家族へ変更するとともに、引き落とし口座やクレジットカードもご家族のものへ変更手続きを行いましょう。
なお、これらの手続きは引越しの1〜2週間前を目安に各事業者へ連絡を開始するとスムーズです。
お手元に直近の「検針票」や「領収書」をご用意いただくと、手続きが滞りなく進みます。
毎月引き落とされていませんか?見えない「デジタル資産」の整理
国民生活センターなどにも、ご家族が本人のサブスクリプション(月額課金)に気づけずトラブルになる相談が多数寄せられています。スマートフォン等で完結しているサービスはご本人以外が気づきにくく、利用していないのに毎月引き落としが続いてしまうケースが多発しているため注意が必要です。
優先的に確認・解約すべきものを、4つのカテゴリにまとめました。
- 通販サイトの定期便・宅配サービス
- 健康食品や飲料の定期購入、生協や宅食などの食材宅配サービスは、施設では受け取れない(または不要になる)ことが多いため、優先的な確認が必要です。
- デジタルコンテンツ・サブスクリプション
- 動画や音楽の配信サービス、ニュースの電子版、有料のゲームや健康管理アプリなど、施設入居後に利用しないものは解約の対象となります。
- 通信インフラ・クラウドサービス
- 自宅の光回線や、不要になるタブレット用の別回線(ポケットWi-Fiなど)は見直しが必要です。クラウドストレージを解約する際は、写真などのデータが消えないよう事前のバックアップが必須です。
- 金融資産・決済サービス
- ネット銀行やネット証券は通帳がないため、ご本人以外は存在に気づけません。管理しやすい口座に資金を移すか、IDやパスワードを必ずご家族に共有してください。不要なクレジットカードの解約や、電子マネーの使い切り・払い戻しも行いましょう。
郵便受けに溜めない!「アナログな契約・地域サービス」の整理
デジタル資産だけでなく、地域コミュニティや日々の生活に密着した「アナログな契約」の整理も非常に重要です。
解約を忘れて郵便受けに配達物が溜まってしまうと、 空き家であることが周囲に知られ、放火や空き巣などの防犯上のリスクが高まります。- 毎日の配達物・定期購読
- 新聞、牛乳・乳酸菌飲料の宅配、地域の配食サービスなどは、退去日までに確実に停止連絡を入れましょう。ダスキンなどのレンタル用品も返却が必要です。
- 地域コミュニティ・自治体関連
- 町内会費の退会手続きや、自治体のゴミ戸別収集サービス、老人クラブの退会連絡などは、お世話になったご挨拶も兼ねて早めに行います。民生委員などの見守りサービスもキャンセルの連絡が必要です。
- インフラ・住まいの維持管理
- 自宅を空き家にする場合、固定電話は基本料金がかかり続けるため「休止」または「解約」の手続きを行います。ホームセキュリティも、継続するか機器を取り外すかの判断が必要です。
- 医療・介護サービス
- かかりつけ医や訪問歯科などは、これまでの受診を終了する旨を伝え、必要に応じて紹介状(診療情報提供書)を発行してもらいます。デイサービスや福祉用具のレンタル等も解約・返却の手続きが必要です。
失敗しないための確認方法と引き継ぎのコツ
「自分が何を契約しているか忘れてしまった」という方でも、以下の方法で隠れた契約を洗い出すことができます。
- 明細を確認する
- 過去半年〜1年分のクレジットカードや銀行口座の引き落とし履歴を確認するのが、最も確実な方法です。「APPLE COM」や「AMAZON PR」といったアルファベットの少額決済は、サブスクリプションである可能性が高いので要注意です。
- メールを検索する
- メールの受信トレイで「領収書」「更新」「決済」「パスワード」といったキーワードを検索すると、契約中のサービスが見つかりやすくなります。
- パスワード一覧の作成
- 今後も残しておくサービスについては、アカウント名、ID、パスワードを紙のエンディングノートなどに書き出し、信頼できるご家族に保管場所を伝えておきましょう。
また、ご自宅宛ての郵便物が確実に施設へ届くよう、郵便局での「e転居」など転居・転送サービスの手続きも併せて済ませておくこともおすすめです。
一つひとつの整理が、ご入居後の安心で快適な生活につながります。ご家族で協力しながら、少しずつ準備を進めてみてください。
関連記事