「ご本人におむつをつけることを拒否されてしまった…」
「おむつは無理に使用を勧めるのは避けた方がいいのだろうか？」
「どんなときにおむつを使ってあげればいいのだろう？」
在宅介護をしている中で、そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
安易におむつの使用を勧めることは、本人の排泄動作の自立を妨げるだけでなく、本人の尊厳を損ねてしまう場合があります。
今回は、次のポイントについて解説いたします。
- おむつを拒否してしまう理由
- どんな時におむつを使うべきか
- おむつの利用を拒否されたときの対処法
おむつを拒否してしまう理由や心理
少し想像してみてください。今、皆さんが「おむつを履いてください」と言われて、「はい」と素直におむつを履くことができるでしょうか？
できれば履きたくないというのが正直なところで、おそらく敬遠される方が多いのではないかと思います。
そもそも排泄行為は個人の尊厳に関わるプライベートな行為です。おむつを勧められることで、排泄も自由にできなくなったと、バカにされた思いになり、怒ってしまうこともあるでしょう。
そのため排泄行為に関する介助は、自尊心を傷つけることがないようにするよう細心の注意が必要になります。
本人が不快な思いや恥ずかしい思いをすることなく排泄できる環境整備が大切です。
おむつをしなくてもいいケース・おむつをしたほうがいいケース
では、どんな場面でおむつを使用すればいいかを整理していきます。
ご家族にも心理的負担がかかる排泄の介助ですが、安易におむつを勧めていないか確認しましょう。
- レベル１：トイレまで移動できる
- なるべくトイレを使用できるような介助を心がけましょう。
- レベル２：自分で移動はできないが、座位を保てる
- おすすめはポータブルトイレの使用です。シンプルなものであれば5,000円ほどで購入可能で、２～３万円の多機能なものもあります。
- レベル３：座位が保てない
- ベッド上で便器や尿器を使用しましょう。寝たきりの方のための差し込み便器などもあります。
- レベル４：レベル１～３の方法で排泄が困難な場合
- この段階になったら、おむつの使用を考慮に入れると良いでしょう。
おむつの種類
おむつのタイプは以下の通りです。
- パンツタイプ（リハビリパンツ）
- 歩行が可能な方には動きやすいパンツタイプ
- テープタイプ（テープおむつ）
- ベッド上で過ごす時間の多い方でも交換がしやすいテープタイプ
- パッドタイプ（尿とりパッド）
- おむつと一緒に利用するパッド。交換のとき、外側のおむつを換える必要がなくなる
便意や尿意がわからない状態だったり、移動や腰部を上げることが難しい場合はおむつを使用しましょう。
おむつを拒否されたときの対処法
ご家族が要介護者におむつの利用を拒否されるという話はよく聞きます。
しかし、それに対してご家族がただ感情的に怒っても本人の尊厳を傷つけるだけになってしまいます。
おむつを拒否されたとしても、冷静でいることが大切です。
まず、本人の状態を判断しておむつの利用が適切なのかを確認しましょう。
おむつの利用は排泄介助の最後手段です。それ以前の段階では、移動が可能であれば、トイレに行く声かけをするといった段階的なサポートをしていきましょう。
また、ご家族の介護負担が大きすぎると感じたら介護の専門家を頼りましょう。
365日24時間をご家族だけで介護するのは非常に困難です。状況に応じて訪問ヘルパーやデイサービスを利用して家族の介護負担を軽減しても良いかもしれません。
介護を担うご家族が疲弊しきってしまうのは介護される本人も辛いはずです。
おむつの使用に悩んだなら、そもそも何のためにおむつの使用を検討したのか、本人の状態をしっかり確認する機会にしてみてはいかがでしょうか？
本人も望まないおむつを履かなくても済むように、そしてご家族も大きな負担を感じることなくご本人のサポートができるように、この記事を参考にしていただけたらと思います。
理想の介護をすべて実践するのは大変ですが、今の状態より少しでも良い状況に変えていきましょう。
