有限会社リハビリの風の阿部洋輔です。
在宅でのリハビリに関わっていると「利用者のやる気がない」や「すぐにリハビリを諦めてしまう」といった話をよく耳にします。
今回はリハビリを諦めてしまう原因を探り、家族はどう支援すべきかについてお話します。
主体的なリハビリでないと継続できない
リハビリテーションとは簡単にまとめると、その人がその人らしく生活することを意味します。
リハビリを諦めてしまうケースで多いのが、体力を維持向上させるために筋力トレーニングや歩行練習などを行なう「医学的リハビリテーション」です。
ここでおさえておきたいのが、リハビリは決して利用者にとって楽なものではないということです。
そのため、利用者自身「体力を維持向上させたい」「歩行がスムーズに行えるようにしたい」「銀座まで買い物に行けるようになりたい」といった目標を持って、主体的にリハビリに取り組むことが大切になります。
実際、利用者自身に目標がないまま、何となくリハビリを継続することは非常に難しいことです。

リハビリを諦めやすいときの対処法
事例1:家族の希望や目標が高すぎる
在宅リハビリでは「利用者が考える目標より、家族の考える目標が著しく高いケース」がよく見られます。
病気になる前の元気な利用者の姿を知っているからこそ、目標が高くなってしまうのは理解できます。
しかし、そのために、より過酷なトレーニングやリハビリを課してしまうこともあります。
その結果、利用者自身のリハビリに対する意欲が低下してしまい、リハビリをやめてしまうリスクが高まります。
【対処法】
利用者とご家族で目的が乖離してしまうと、リハビリをするたびに本人の意欲が低下してしまう可能性もあります。
利用者がリハビリに意欲的でないからといって、ご家族がひたすら叱咤激励するのは得策でありません。まず、利用者自身の目標を確認してみると良いでしょう。
事例2:リハビリの目的が定まっていない
漫然としたリハビリを継続するのは困難です。リハビリは大変ですし、そもそもやる理由や目的が見当たらなければ、諦めてしまうのは当然と言えるかもしれません。
【対処法】
リハビリをするのが嫌だという場合は、どういった活動や社会参加であれば無理なくできそうか考えてみることも一つの方法です。
リハビリといっても、ただ「筋トレをする」「歩行練習する」というだけではなく、社会参加としてどこかに出かけたり、役割をもったりすることで楽しみが増えます。
リハビリを始める前に、目的を利用者と確認しよう
一日の介入時間が比較的長い入院中のリハビリと比較すると、在宅でのリハビリは介入量・介入時間ともに短くなります。そのため、利用者自身の意欲がより鍵を握ります。
利用者自身が、このように生活したいという目標を掲げられることが大切ですが、ご家族だからこそわかる利用者の好みや情報を専門職に伝えることもポイントです。
そうして専門職と連携をとりながら、利用者が主体的に取り組みやすいように変えていく方法も考えられます。
「ご本人の生活の目的」をしっかりと理解して、リハビリに集中できる環境をつくっていきましょう。
