「家族に介護が必要になったけど、どんなサポートが良いだろう?」
「どこに何をお願いしたらいいのだろう?」
「もっと日常生活の希望を叶えてあげたい」
こんなことを感じたことはないでしょうか?
介護をする家族も要介護者のニーズに気づいていないことがあります。
本人にしっかりと話を聞くことも大切ですが、時期によっては必要なサポートが変わることもあります。要介護認定を受けている高齢者の多くが抱えるの生活ニーズ(悩み)を知っておくことは、今後もスムーズに介護をしていく役に立ちます。
今回は2022年7月にニッセイ基礎研究所から発表された調査を基に、各生活ニーズに対応するための方法を解説します。
各種ニーズに対応するサービス
ニッセイ基礎研究所の調査によると、高齢者の生活ニーズの上位5つは以下の通りです。

では、それぞれのニーズに対してどのように対応すればいいか考えてみましょう。
送迎、公共交通の充実
①タクシー
- メリット:都市部ではタクシー台数も多いため利用が便利
- デメリット:利用頻度が多い場合、金額負担が大きい。介護が必要な場合は家族の同行が必要になることも
②介護タクシー(介護保険サービス)
- メリット:送迎を行ってくれるスタッフが介護の専門家
- デメリット:介護保険のサービスのため、ケアマネージャーに要相談。介護タクシーの利用目的は「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」に限られるため自由度が低い
外出同行、付き添い
①訪問ヘルパーの利用(介護保険サービス)
- メリット:ヘルパーが1対1でサポートしてくれる
- デメリット:介護保険でのサービスになるため、日常生活上または社会生活上必要な場合に限られる。外出介助として適切なサービスに含まれるのは「通院・日用品の買い物・選挙の投票・役所への届出」など。ただし細かなルールがあり、利用目的が決まったときはケアマネージャーへの確認が必要
②外出付き添いボランティア
- メリット:比較的安くサービスを利用できる
- デメリット:ボランティアセンターは各市区町村の社会福祉協議会にあるが、外出付き添いボランティアが登録されているかどうか確認が必要
買い物、移動販売、薬の受け取り(家庭での対策)
①ヘルパーによる買い物代行
- メリット:生活必需品の買い物と薬の受け取りをヘルパーに依頼できる
- デメリット:買い物代行では、本人の生活必需品と薬の受け取りしかできないため、買い物の範囲を不満を抱きやすい
②ネットスーパー
- メリット:買い物の種類に制限がない
- デメリット:配達エリアの確認や登録料金、配送料金は要確認。本人がインターネットやパソコンを利用できないとサービス利用が難しい
見守り、安否確認、声かけ
①セキュリティ会社のサービス
- メリット:救急通報ですぐに対応してくれる
- デメリット:初期費用+月額3,000~5,000円の費用負担
②ネットワークカメラを利用
- メリット:比較的安くカメラを購入できる
- デメリット:家族が操作や管理をすることになり煩雑。本人がカメラでの監視に納得していることが重要
③配食サービスによる安否確認
- メリット:配食サービス事業者が安否確認のみを行ってくれる
- デメリット:サービスを行っている会社が少ない
配食
配食サービスには介護保険が適用されません。しかし、自治体によっては安く配食サービスが利用できる支援制度があります。味・栄養・価格・プラスアルファのサービスなどから検討してみましょう。

本人のニーズに合わせ介護保険外サービスもうまく組み合わせよう
本人のニーズを100%解決するサービスはないと思います。うまくサービスを活用するためには、何が一番重要で、どこまでなら譲歩できるかという線引きを家族で共有することが第一歩となります。
一般的に介護保険でサービスを選ぶ場合は、ケアプラン(介護サービス計画書)を事前に作成する必要がありますので、調整に少し時間がかかるというデメリットがあります。とはいえ、介護の専門家であるケアマネージャーが関わってくれることで介護への安心感が増すでしょう。
介護保険サービスが担う範囲はとても広いですが、その人によって必要なサービスが異なります。前述した介護保険外サービスを組み合わせて、本人のニーズをうまく満たしていきましょう。まずは、どんなサービスがあるのかを知っていくことから始めてみてはいかがでしょうか?