こんにちは。作家やメディア評論家としても活動中の奥村シンゴです。
私は30歳過ぎから、認知症の祖母と大腸がんや脳梗塞となった母を計8年間介護してきました。その経験をもとに、昨年12月9日に著書『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』(株式会社法研)を出版。各種メディアで紹介されています。
今回は著書でご紹介している内容に加筆したうえで、「ゴールデンウィークに高齢者施設を利用したい場合の方法」をお伝えします。
早めにゴールデンウィーク休暇を取っている方もいるかもしれませんが、連休中に「高齢者施設が満床で、在宅介護しないといけない」「介護者が病気や怪我をしてしまい、施設に家族を預ける必要が生じた」などのケースがあると思いますので、参考になれば幸いです。
普段利用している高齢者施設に直接事情を説明する
普段、デイサービスやショートステイなど高齢者施設の予約は、ケアマネジャーを通すケースが多いと思います。しかし、ゴールデンウィークのような長期休暇の場合、ケアマネジャーが携帯電話を持たない場合もあり、事業所やケアマネジャーに連絡がまったくつかないことがあります。
「プライベートと仕事を分けたい」「事業所の決まり」といった理由でケアマネジャーが携帯を所持しない、あるいは電話番号を教えないことがあります。確かに、普段からケアプランの作成や要介護の方とその家族における高齢者施設の調整、要介護認定、介護保険の給付管理など、お忙しくされていらっしゃるので、理解に苦しみません。
とはいえ、ご本人やご家族からすれば、地域包括支援センターもお休みで、高齢者施設へつなげてもらう手段がありません。介護の協力者がいればその方にお願いすれば済みますが、そうでなければ焦ってしまいますよね。
こういうときは、介護者が普段から利用している高齢者施設に直接事情を説明してみましょう。予約のキャンセルが発生していたり、緊急用に何床か余分に確保している高齢者施設も存在します。実際、私もゴールデンウィーク前に高熱になり祖母を介護できなかったときがあります。その際にお泊まりデイサービスへお願いしたところ、2日間だけ宿泊が可能になりました。
緊急ショートステイの利用を検討
高齢者施設が利用不可の場合、「緊急ショートステイ」を実施している市区町村もあります。緊急ショートステイは、要介護者と介護者の一時的な緊急支援策として多くの自治体で提供されています。利用要件は自治体により若干異なりますが、おおむね下記の3つを満たせば利用可能です。
- 主介護者のみしかいない
- 葬祭等、介護者にやむおえない事情がある
- 介護者の心身疲労で介護継続が困難
介護費用と食事・送迎などが別途発生しますので、くわしい費用についてはお住まいの各自治体へ確認してみてください。
レスパイト入院で介護疲れを予防しよう
「レスパイト入院」とは、病気や怪我、冠婚葬祭で介護者が介護できないときに、一時的に要介護者の入院を受け入れる仕組みのことです。預けている間、介護者はケアを「一時休止して体を休めることができ、介護疲れを極力予防する目的で全国各地の病院で導入しています。ただし、レスパイト入院を利用するには、以下の条件がありますので注意してください。
レスパイト入院の利用条件
- 要介護認定を受けている要介護者
- 入院期間は1ヵ月以内
- 退院後は、自宅もしくは介護施設などに戻らなければならない
- がん患者、胃ろう、気管切開、在宅酸素、吸引など医療的処置が多い要介護者
レスパイト入院の費用は、所得額で異なり、一般所得者などは2週間で2万5,000円~5万円前後。現役並みの所得者は、8万5,000円~15万円前後となっています。
レスパイト入院をお願いした経験のある私の知人は、18歳以上30代の若者ケアラーで脳血管障がいの母親と認知症の祖父を多重介護しています。本人曰く、下記のように言っていました。
「吸引や在宅酸素に加えて、徘徊したりと心身ともに限界なときがしばしばあって大型連休前に体調崩しちゃって。そのとき、誰とも連絡がつかず、ネットで偶然レスパイト入院を見つけて即電話したよ。そしたら受け入れてもらえた」
これはあくまで一例で、施設によって事前に面談や見学などが必要な場合があります。事前に確認しておきましょう。
常連の高齢者施設を1ヵ所確保しよう
不要不急に備え、最低1ヵ所は常連の高齢者施設を確保しましょう。祖母はお泊まりデイサービスの職員を気に入って、週2回お泊まり、週1回デイサービスと週3回ペースで約4年間利用している高齢者施設があります。
私と施設職員はすっかり顔馴染みになり、ゴールデンウィークや年末年始など大型連休直前で私が急病のとき、前日に電話しても祖母の宿泊は可能でした。なので、常連の高齢者施設を1ヵ所確保しておくのは、長期化する在宅介護ライフにとって大変重要です。
ゴールデンウィークに向けて、要介護者と介護者共に体調管理を万全にしておいても、体調を崩してしまうのが人間です。そんなときはこの記事を見返していただき、介護とレスパイトが両立できる助けになればと思います。