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第199回

個別機能訓練加算の2つの問題点。報酬改定による加算統合で解決…!?

最終更新日時 2021/01/20
有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。「通所介護・地域密着型通所介護における個別機能訓練加算の見直し」について、お話します。

有限会社リハビリの風でデイサービスを管理している阿部洋輔です。

現在、2021年度の介護報酬改定の検討が大詰めとなっています。今回はその中から、「通所介護・地域密着型通所介護における個別機能訓練加算の見直し」についてお話しします。

身体・生活機能の維持や向上を目的とした「個別機能訓練加算」

「個別機能訓練加算」を大まかに説明すると、機能訓練指導員を配置して利用者に対して個別機能訓練計画書を作成し、その計画に基づいて機能訓練を実施することによって取得できる加算のことです。通所介護と地域密着型通所介護には「個別機能訓練加算Ⅰ」と「個別機能訓練加算Ⅱ」があり、それぞれ以下の通りに説明されています。

  • 個別機能訓練加算Ⅰ…利用者の居宅を訪問したうえで利用者の居宅での生活状況を把握し、主に身体機能の維持または向上が目的の訓練を行う
  • 個別機能訓練加算Ⅱ…利用者の居宅を訪問したうえで利用者の居宅での生活状況を把握し、主に生活機能の維持または向上が目的の訓練を行う

個別機能訓練で機能の低下を防ぐ

個別機能訓練加算における2つの問題点

これまでの個別機能訓練加算について、介護報酬改定の話の中では2つの問題点について言及されていました。1つ目は「小規模な事業所ほど、人員配置要件を満たすことが難しく、算定率が低い」ということ、2つ目は「加算の目的に応じた機能訓練項目を設定することが難しい場合がある」ということです。これらの問題が起こっている事業所を調査した結果、以下のことがわかりました。

問題点1:小規模事業所ほど、人員配置要件を満たすことが難しく、算定率が低い

  • 規模の小さい事業所ほど算定率は低い傾向にある
  • 機能訓練指導員を常勤又または専従で配置することが難しい
  • 「身体機能と生活機能の訓練内容を両方行うには別の複数のスタッフが必要」というシステムが、機能訓練指導員の配置しにくさを助長している

問題点2:それぞれの加算の目的に応じた機能訓練項目を設定することが難しい場合もある

  • 個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを算定している利用者の機能訓練内容にほとんど差がなかった
  • 個別機能訓練加算Ⅱを算定している場合でも、生活機能に関する訓練はほとんど実施されていなかった

これらの問題点を踏まえたうえで、2021年度の個別機能訓練加算のルールが変更されます。

利用者の心身の状況に応じた項目の組み合わせが可能に

今回のポイント(2021年1月5日時点)は、現行の個別機能訓練加算Ⅰ・個別機能訓練加算Ⅱが統合されたということです。今までは個別機能訓練加算Ⅰは身体機能の維持または向上が目的であり、個別機能訓練加算Ⅱは生活機能の維持または向上が目的でした。

しかし、前述したように、それぞれの加算の目的に応じた機能訓練項目を設定することが難しい場合があり、またⅠ・Ⅱの訓練内容にあまり差がなかったという調査結果が出ていました。

そのため、利用者の心身状況に応じて項目設定を行えるよう、身体機能の向上・生活機能の向上のいずれかを目的として設定するのではなく、両者を柔軟に組み合わせて設定できようになったのです。

以下、個々の項目について触れていきます。

人員配置要員の変更

小規模事業所でも必要な人員を確保できるよう、専従1名以上(配置時間帯の定めなし)となります。

機能訓練項目の柔軟化

利用者の心身の状況に応じて項目設定を行うことができるよう、身体機能の向上と生活機能の向上のいずれかを目的として設定するのではなく、両者を柔軟に組み合わせて設定できるようになります。

加算の統合により柔軟な設定が可能に

訓練対象者・訓練実施者の直接実施

「個別」機能訓練であることを踏まえて、5人程度以下の小さい集団または個別で、機能訓練指導員が実施することになります。

今まで個別機能訓練加算Ⅰに関しては、機能訓練指導員は計画を立てることに関与し、そのプログラムを行うのがほかの介護職員などでも算定ができました。今回の改定ではその部分が整理された形となります。

人員配置の手厚い事業所への加算

今まで個別機能訓練加算Ⅰ・Ⅱを両方取得し、機能訓練指導員を手厚く配置していた事業所に対しての対策です。運営基準上配置を求めている機能訓練指導員に加えて、専従で1名以上配置することが算定要件となりそうです。

小規模事業所と大規模事業所の算定率が逆転する!?

今後は、2021年度の介護報酬改定によって加算が統合されることで、個別機能訓練加算のルールがシンプルになるようです。利用者様目線で見れば、より個別的な機能訓練が標準になるのは間違いありません。事業所目線で考えると、以下の2つが予想されます。

  1. 小規模事業所…機能訓練指導員の人員要件緩和により算定率が高くなる
  2. 大規模事業所…機能訓練指導員の直接的な訓練が必要となるため算定率が低くなる

しかし現状(2021年1月5日時点)では加算の単位数が決定していないので、事業所の報酬に対してどれくらいのインパクトがあるかという話はできません。これから発表される加算による単位数などを鑑みて、デイサービスの運営スタイルを再考していきましょう。

小規模事業所の加算率が上がる

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