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第88回

【画期的】認知症の方への“触る”ケア。大声をあげたり、叩いたりする人が、穏やかな笑顔を見せてくれるかも!?

最終更新日時 2019/03/12
#介護予防
「触れるケア(タクティールケア)」は、スウェーデンの未熟児医療にかかわる看護師によりつくられました。認知症の方は記憶障害により常に不安があるため、少しのストレスでも限界を超えてしまいます。そのような方に「触れるケア」を施すと、呼吸がゆっくりになり、リラックスするので副交感神経が優位になり血行もよくなるということです。こうしたケアで、ストレスが軽減させながら生活していけば、BPSDは起こりにくいと考えてよいでしょう。
みなさんこんにちは。デイサービスで看護師として勤務している、認知症LOVEレンジャーの友井川 愛です。 今回は、「触れるケア」についてお話します。

「触れる」ことで体も心も癒せる

みなさんは子どもの頃、怪我をしたり、体に痛いところがあったりするとき、誰かに痛いところを手で触ってもらうと、不思議と痛みが和らいだ経験はありませんか?

この不思議な現象は、「ゲートコントロール理論」と言われています。

この理論を提唱しているのは、カナダの心理学者とイギリスの解剖学者。

末梢神経から脊髄神経へ痛みが伝達するとき、脊髄に痛みをコントロールするゲートが痛みの情報を脳へ伝えるべきか調節しているという説です。

そのため、ゲートが開いているときに痛みを感じ、閉じているときには痛みを感じにくくなっています。

そのうえ、このゲートは気分や感情に影響を受けており、気分が良かったり、安心していたりするときはゲートが閉じられるのです。

また、触れられることよって身体の痛みが和らげられるだけではなく、気持ちの面でも癒されます。

人は、触れたり触れられることで幸せホルモンの「オキシトシン」が分泌されるため安らぎを感じ、心の安定にもつながるのです。

「触れるケア」とは?

「触れるケア(タクティールケア)」は、スウェーデンの未熟児医療にかかわる看護師によりつくられました。

未熟児の子どもたちにケアをしていくなかで、手で触れるマッサージが早期回復につながることや、親子の絆を深めることがわかり、触れることが重要だと気づいたことがきっかけでした。

その後、1990年代に認知症ケアでも取り入れられ、実践されてきました。

現在、スウェーデンでは認知症デイケアグループホーム、ナーシングホームにおいて認知症の症状緩和やコミュニケーションツールとして日常的に使われています。

この「触れるケア」はハンドセラピーで、マッサージではありません。

ハンドセラピーとは、触れることの効果を生かして体を優しく包み込むようにゆっくり軽くなでるのが特徴です。

「触れるケア」が認知症の方に良い変化をもたらした!

実際に「触れるケア」を受けた認知症の方は、BPSD (認知症の行動・心理症状)に変化がみられました。

その結果、良い睡眠がとれるようになったり行動が落ち着いたりするなどの効果が期待できると判明したのです。

なぜ、BPSDが緩和されるのか?

BPSDは、不安や不快、ストレスを感じることで症状が現われると言われています。

私たちも生活するなかで誰しもがストレスを感じますが、そのストレスを自分でコントロールすることが可能です。

しかし、認知症の方は記憶障害により常に不安があるため、少しのストレスでも限界を超えてしまいます。

そのような方に「触れるケア」を施すと、呼吸がゆっくりになり、リラックスするので副交感神経が優位になり血行もよくなるということです。

こうしたケアで、ストレスが軽減させながら生活していけば、BPSDは起こりにくいと考えてよいでしょう。

実を言うと…自然に介護者はやっています

実は、認知症の方のケアを行う介護者の方のなかには、誰からも教わらなくても触れるケアを自然に行っている場合がよくあるのです。

私も実際、ケアを行ううちに自然と身についたものではないかと思っています。

まだ、私が介護士として経験も知識も浅かった頃ですが、認知症の方でBPSDの症状がかなり見られる方がいました。

正直、その頃の私はその方にどう接したら良いかわからず悩んでおり、その方の担当の日は朝から気が重かったのを覚えています。

私が声をかけただけでも大声で反応され、おむつを替えようとすると嫌がられて、暴れたり叩かれたり、つねられたりしました。

おかげで、いつも私の体は傷だらけ。その方の大声が耳から離れず、夜も眠れない状態でした。

それでも、どうにかその方に気持ち良くなってもらえるケアをしたくて、先輩介護士のケアのやり方を学ぼうと、先輩についてまわりました。

すると、私のときと違い、まったく大声を出すこともなく静かにされていたのです。

私は驚き、自分との違いを知りたくて、ケアの様子に目を凝らしました。

先輩は、ケアをするなかで常に優しく声かけをしながら、時折その方の身体をさすっていたのです。

そして、ケアが終わるとその方の手をとり優しくなでていました。

すると、認知症の方の表情は穏やかで微笑んでいたのです。

そのとき先輩が教えてくださった言葉は、「なぜかは私もよくわからないけど、こうして優しく触れたり手を握ったりすると穏やかになってくれるのよ」「気持ちよくなってほしいって思いが伝わるのかな?」でした。

先輩も、なぜ認知症の方が落ち着いてくれるのかはわかっていなかったようですが、触れることの効果はわかっていたのですね。

それからというもの、まずは先輩の真似をすることから始め、触れるケアと声かけの方法を変えることで、少しずつ認知症の方が穏やかになってくださったのです。

特別なことをしなくても大丈夫

認知症の方は視野が狭くなっていることが多いので、まずは正面からゆっくり近づいてから優しく声をかけて、触れる場所を伝えましょう。

そして、ゆっくりと優しく部位をなでるようにしてみてください。

また、触れる前に自分の手が冷えている方は温めておくと良いですね。

誰だって冷たい手で触れられると嫌ですよね?ちなみに私は、割といつでも手が温かいので認知症の方によく喜ばれます(笑)

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