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第140回

認知症の周辺症状「BPSD」について。環境を大きく変化させないことで、認知症の症状の進行が緩やかになります。

最終更新日時 2020/06/23
#親の介護
こんにちは。デイサービスで看護師として勤務しています、友井川愛です。今回は認知症の周辺症状について考えてみたいと思います。

こんにちは。デイサービスで看護師として勤務しています、友井川愛です。

今回は認知症の周辺症状「BPSD」について考えてみたいと思います。

中核症状を発症する原因が脳への直接的なダメージであるのに対して、BPSDは2次的に発生する症状です。

中核症状の周りでさまざまな症状があるイメージになります。

このBPSDには、「行動症状」と「心理症状」の大きく2つの種類があります。それぞれについて見ていきましょう。

行動症状

認知症の方の行動に「なんでそんなことをするの?」と驚かれる方も多いと思います。

例えば、認知症の方が食べ物でないものを口にしているのを見たらびっくりするでしょう。ですが、こうした行動には理由があるということを理解しなければなりません。

ストレスや環境の変化によって、行動症状の発症を引き起こすことがあります。

行動症状は、以下のような症状が発生することが特徴です。

徘徊や多動行動

介護者にとって、負担になりやすいと言われている徘徊や多動行動。

じっとすることができず、ソワソワしてあちこち動き回ったり、夕方になると「家に帰らなきゃ」と言って外出し、道に迷って帰れなくなるケースなどがあります。

暴力や暴言

温厚な方が急に怒りっぽくなり、暴言がみられることがあります。

また、脳血管型の方のなかには言語障害が発生し、会話によるコミュニケーションが取りづらくなる場合があります。

自分の気持ちを上手く伝えられず、暴力を振るってしまうこともあります。

暴力や暴言については、対応が難しいと言えます。

不潔行為

自分の排泄物を手で触ってしまったり、トイレ以外で用を足してしまう行動については、ふざけていたり、介護者を困らそうとして行っているのではありません。

ただ、排泄時の不快感や失敗をどうにか自分で処理しようとして触ってしまったり、見当識障害でトイレの場所がわからなくなることなどが原因です。

介護拒否

認知症の方のなかには突然、介助しようとする介護者を嫌がったり、手を払いのけたり介助を拒否することがあります。

こうした行動の原因として考えられるのは、記憶障害によって、介護者が知らない人に思えるということです。

恐怖心から、介助を拒否してしまいます。

行動症状に関しては、不安感や焦燥感、環境の変化に伴うストレスから起こるということを覚えておいてください。

高齢夫婦と建物

心理症状

次に、心理症状について説明します。

抑うつ症状

抑うつ症状が起こる原因は、今まで1人でできていたことができなくなり、「自分が認知症なのではないか」と病識を持ち、気持ちが落ち込み、やる気がなくなってしまうことが考えられます。

抑うつ症状が起こると、表情が乏しくなり、慢性的な頭痛、不眠を訴えるようになります。

不安・焦燥感

認知機能の低下から状況判断ができなくなり、不安やイライラが募り大きな声を出すようになります。

暴力や無視などの行動がみられるようになります。

幻覚

実際には見えない物が見える「幻視」、実際にはいない人の声が聞こえる「幻聴」などがあり、特にレビー小体型認知症の方に起こりやすい症状です。

よくあるのが、子どもや小動物が見えるといった幻視です。

妄想

心理症状の中でも一番多いとされる妄想にも、さまざまな症状があります。

自分の大切な物が盗まれたという「物盗られ妄想」、食事に毒が入っていると思い込む「被害妄想」、家族が浮気をしていると疑う「嫉妬妄想」などがあります。

この中でも、よく見かけるのが「物盗られ妄想」です。

「物盗られ妄想」には、記憶障害が関係してきます。

認知症の方が自分の財布を盗まれないように、タンスの引き出しにしまうことから始まります。

そして、しまった財布の場所を忘れてしまい、誰かに盗まれたと言い出します。

身近な介護者が疑われることもあります。

こうなると家族はつらい思いをすることになります。

この心理症状も、不安や焦燥感から起こっています。

そして、特にアルツハイマー型認知症の初期から中期に多く見られます。

高齢夫婦と虫眼鏡を持った男性

対応のポイント

行動症状

ソワソワされている場合には、やさしく「何かお探しですか?」「どこか行きたい場所がありますか?」などと声かけし、どうしても外出したいと言う場合は、同行し少し歩いてもらいましょう。

また、その際は水分も摂取できるようにしましょう。

トイレについては、場所が分かりやすいような目印をつくるなどの工夫をしてみましょう。

心理症状

幻覚、妄想は認知症の方にとっては真実です。

なので、こうした訴えがあった場合は否定も肯定もしないことがポイントとなります。

 

認知症の方にとっては妄想も真実なので、まずはよくお話を聞いてください。

このときに注意してほしいのは、妄想の話に焦点を当てるのではなく、感情に焦点を当てることです。

特に、被害妄想の場合は財布を盗まれたなどの害にあっているので、その気持ちに寄り添いましょう。

話の内容を掘り下げることはさらに妄想を進めてしまう場合がありますので、内容には触れず、困っているという気持ちに共感し言葉を選んでいきましょう。

そして、お話を最後まで傾聴してから話題を変えるなどの工夫もしてみてください。

認知症の方ができるかぎり、住み慣れた地域で暮らせることや、自宅で暮らせること、顔見知りの方が近くにいることが重要です。

環境の変化が少ないことが、認知症の症状の進行を緩やかにします。

どうか皆さまがこれからも認知症の方やご家族に対して、理解をし、あたたかい目で見守っていただけたらと切に願います。

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