皆さん、こんにちは。認知症支援事業所 笑幸 代表の魚谷幸司です。
在宅で介護をされているご家族の中には、さまざまな理由で悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
相談にきた方には、「困ったときは1人で抱え込まないように」と助言しています。
ご家族の負担の度合いに関係なく、介護というものは決して1人でできるものではありません。
在宅介護をされてきたご家族にとって、施設入居にためらいがある方が多いと思いますが、検討することも選択肢の1つです。
世間の目が気になったり、家で介護をすることが美徳だと考える方も少なくありません。
そこで今回は、家族の施設⼊居を検討するときの気持ちの整理の仕⽅についてお話します。ぜひ参考にしてみてください。
施設への入居を検討するに至った理由を、落ち着いて考える
まず気持ちの整理については施設への入居を検討するに至った理由を、落ち着いて考えることが必要です。
そして、施設への入居を検討するに至った理由に後ろめたさを、感じる必要はありません。
相手に腹が立つようになってきたことが、理由であっても良いのです。
相手にいら立ちを覚えながら介護をしたところでうまくいくことはなく、それは相手にとっても良くありません。
また腹が立つようになってきたというのは、相手に向き合っていると捉えることもできます。
つまり「頑張ってやってきた」とこれまでのことを、振り返ってみることが大切です。
施設入居しても、心が離れてしまうわけではないことを理解する
では、そのうえで施設の入居に対してどう向き合えば良いのでしょうか。
まずは、入居することは悪いことでも、介護から逃げたわけでもありません。
物理的に距離が離れても、心が離れてしまうわけではありません。
これを理解したうえで、入居後もご本人と向き合うことが大切です。
ご本人が入居されて、解放された気分になったとしても、「心のつながり」は持っていたままでいて欲しいと思います。
定期的に面会へ行き声をかけることで、相手を安心させることが出来ます。
施設での生活に慣れてもらうために、入居後しばらくの面会を制限する施設もあるようですが、それは大きな間違いです。
施設の職員は所詮他人であり、「心のつながり」のある家族が入居者にとって一番安心できる存在です。
腹が立っていた相手も、離れたことで冷静にみることができます。
適度な距離を保ちながら、向き合うことも必要だと思います。

入居後の定期的な面会がもたらすメリット2つ
本人の不安が解消される
入居したばかりの頃は、なぜ自分が施設にいるのか理解できない中で生活する不安があります。
何の説明もなく、知らない場所に連れて行かれ、そこで生活をするよう言われたら、皆さんも不安になると思います。
自分が認知症であることや、介護を受けていることなどを理解していればなんとか新しい環境に慣れることができると思います。
しかし、その理解ができなければ知らない人に囲まれ、知らない場所で生活しているということになるのです。
そう考えると、理解ができない認知症の人の不安は当然だと思いませんか。
その不安を少しでも和らげるために、家族ができることこそ面会なのです。
理解はできなくても、施設にいる理由を伝えていくことが大切になります。
大変なことも多いのですが、定期的に施設へ足を運ぶことが必要です。
介護の質が上がる
施設の環境に慣れた頃、不安が落ち着いた後は暴言や暴力、不潔行為といった周辺症状に伴うトラブルが起きる場合があります。
ご家族による面会は入居している本人のためだけでなく、そこで働く職員のためでもあるのです。
施設という閉鎖的な場所においては、家族が定期的に施設を訪れ面会することで、介護の質が良くなるのです。
周辺症状が起きると職員はパニックを起こして対応が悪くなりがちなのですが、他人まして家族の目があるとそうもいきません。
周辺症状が起きている中で、工夫した対応が求められ、結果として本人が落ち着くことにつながります。
施設に目を向けながら、介護施設に任せられる介護は任せたうえで、本人とは「心」のつながりを持ち続けましょう。
安心かつトラブルの少ない生活を送るうえで必要なことだと思います。