皆さま、こんにちは。ケアプランセンターはぴるす代表の大内田省治です。
通常ケアプランは、ケアマネジャーに作成を依頼しますが、資格がなければつくれないというわけではありません。介護者であれば、自分で作成することもできるのです。
こうした自作のケアプランのことを「セルフケアプラン」と呼びます。今回は、そのセルフケアプランについてお話いたします。
ケアプラン作成に必要になるアセスメント
まずケアプランとは何なのか考えてみましょう。
例えば、自宅にヘルパーさんに来てもらいたいとか、デイサービスに通ってリハビリをしたいとかいった際に、介護保険制度では「ケアプラン」という書類を作成する決まりになっています。
なぜ、そのような決まりになっているかというと、介護保険制度は「自立支援」が大前提にあるからです。
ケアプランを作成する際には、利用者と家族が望む生活に対して、「最終的にはどのような状態になりたいのか?」ということを明確にする必要があります。これを「ニーズの把握」と呼びます。
それに対して、長期目標や短期目標を設定し、介護保険のサービスを導入していくことを明確に示したものが「ケアプラン」という書類です。
ケアプランを作成するときに必要になる書類は、いくつかの種類があります。
まずは「アセスメントシート」です。これは、利用者の生活歴や趣味などを含む基本情報と現在の身体状況を把握するための課題分析項目など、全23項目で構成されています。
これにより、前述のようなニーズの把握などを行い、どのような目標を設定するか明確化できるようになります。
アセスメントを行う際に必要になる書類が「介護認定審査会資料」です。
要介護・要支援認定を申請した際に、訪問調査と言って役所の方が自宅に伺って、利用者さんの身体状況などを調査します。その際の調査結果と主治医の先生が記載した主治医意見書を合わせたものです。
訪問調査の調査結果は、アセスメント時の身体状況と、訪問調査時の身体状態との比較をするときに必要になります。
また、主治医意見書は、主治医からの指示などが書かれているので、ケアプランを作成する際には必須になります。

ケアプランの作成とモニタリング
アセスメントを行ったら、今度はケアプランの原案の作成になります。前述のように、アセスメントを行うことで現在の身体状況を把握し、どのような生活を送りたいかを把握することで、そのことをケアプランに明記していきます。
ケアプランの原案作成が終わったら、担当者会議を実施します。これは、実際に介護保険のサービスを導入する際に、利用したいサービス事業所の代表に集まってもらって、サービスの具体的な内容や利用回数、利用時間などを決めていくものです。
話し合った結果を「担当者会議の要点」という書類にまとめていきます。担当者会議を踏まえてケアプランの修正などを行い、利用者・家族に承認の署名・捺印をもらったら、ケアプランの本案となります。
その際に「利用票・提供票」といって、実際のサービス利用時間や頻度、利用料金などが書かれた予定表も作成する必要があり、それについても署名・捺印をもらう必要があります。
ケアプランの本案ができあがったら、サービス事業所に交付し、それに付随した計画書をもらう必要があります。
ケアプランを作成した後は、目標の達成状況を把握するために「モニタリング」を行う必要があります。
もしそこで、身体状況に変化があったり、目標を達成できなかったりした場合についての課題を把握し、必要に応じてケアプランの内容変更を行います。もし変更が必要になった場合、再度アセスメントからやり直さなくてはなりません。そのため、モニタリングのことを「ミニアセスメント」と表現することもあります。モニタリングについては、月に一度行うことが義務づけられています。
そして、最後は給付管理です。給付管理とは、介護保険のサービスをどれだけ利用したかを把握し、各都道府県国民健康保険連合会(国保連)に利用料を請求することを指します。
介護保険のサービス利用料は、サービス事業所に対して、所得に応じて1割から3割の利用料を支払いますが、残りの7割から9割は、国保連に請求します。
その際に必要なのが「給付管理票」と「請求明細書」になります。給付管理票は、サービス事業所から送られてきた単位数(利用料金)を記したもので、請求明細書はケアプランの作成した手数料を請求するものになります。
介護保険制度では、ケアプランの作成料は、全額国保連に請求することになっているので、利用者負担はありません。これら一連の流れを、すべて「支援経過記録」に明記しておく必要があります。

困ったら地域のケアマネジャーを頼る
ケアプランを作成するとなると、これだけの書類が必要になってきます。しかも、介護保険制度では、サービスを利用する際の細かいルールなども定められているので、利用者・家族で作成すること(セルフケアプランの作成)も可能ではありますが、介護保険制度に対しての知識がかなり必要になってきます。
ですから、セルフケアプランの作成を行う方は非常に少なく、ほとんどはケアマネジャーに依頼することになります。
ケアマネジャーにケアプランの作成を依頼するときは、前述の書類に加えて、契約書・重要事項説明書に署名・捺印をもらう必要があります。
また「居宅サービス計画等作成依頼届出書」も必要になってきます。これは、ケアプランを作成する際に、どこのケアマネジャーが担当するのかという届け出を行うものです。これがないと、1割から3割負担でのサービスが利用できないことになっています。
ケアマネジャーは、ケアプランの作成業務だけが仕事ではありません。地域の介護サービス事業所の所在地から、それぞれの事業所がどのような特色を持ってケアを行っているかなど、そのすべてを把握しています。また、新たに開設した事業所を見学に行くなどの実地訪問も行っています。
ケアマネジャーは、利用者・家族にとってのよろず相談窓口みたいなものです。介護保険制度のことだけでなく、地域にある事業者の把握にも努めています。
さらには「振り込め詐欺」などから利用者さんを守るために、地域全体のことを把握しています。そして、3年に1回、介護保険の制度改正が行われるため、研修などに参加しなければなりません。
ケアプランの作成だけでなく、介護のことで困ったことがあれば、ぜひケアマネジャーを頼っていただきたいと思います。