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第50回

同居家族がいると生活援助は利用できない?調理・掃除サービス利用の注意点とは

最終更新日時 2020/12/03
#親の介護 #介護保険サービス
こんにちは。ケアマネジャーの小川風子です。今回は生活援助のうち、「掃除と調理のサービス」についてお話していきます。

こんにちは。ケアマネジャーの小川風子です。

介護保険サービスはとてもややこしく、利用に際しさまざまな決まりごとがあります。その中でも一番難しいのが「訪問介護」。ヘルパーさんが家に来て、支援や介護をしてくれるサービスです。昔からあるサービスなので、介護保険サービスと聞くと「訪問介護」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。しかしメジャーでありながら、実際に利用するのは簡単ではありません。

今回はその中で気をつけなければいけない「生活援助」から「掃除と調理のサービス」についてお話していきます。

生活援助はケアプランに記してあることしかできない

お話の前に理解していただきたいのが、「なぜ訪問介護の生活援助は決まりごとが多いのか」という点についてです。生活援助とは掃除や調理を含む「家事全般」を手伝ってもらうサービスのこと。ヘルパーさんの仕事内容は洗濯や買いもの、布団干しやシーツ交換まで多岐に渡ります。

しかし介護保険で家に訪問する訪問介護のヘルパーさんは、家政婦ではありません。国や自治体の税金で、9~7割賄われている保険サービスです。いくら家事をしてくれるからといって、何でもかんでもヘルパーさんに頼んでしまうと、際限がなくなります。それに財源をつぎ込むときりがありませんし、介護保険の趣旨と変わってきてしまうのです。

生活援助は家政婦ではない

そのために、訪問介護の生活援助の内容に関しては、主に下記の3つに限られています。

訪問介護の大前提

  • 本人が絶対にできないことで、かつ同居している家族(がいた場合)でもできない
  • 利用者本人の分だけ行う
  • 生活していくうえで、必要最低限なことのみ

また、ヘルパーさんが訪問して何をするかに関しては、ケアマネジャーが本人や家族の状況を細かくアセスメントをして、ケアプランに記します。つまり、ケアプランに載っていないことを「せっかく訪問してもらったし、時間が余ってるならしてほしい」と頼むことはできないわけです。

まずはこの大前提を頭に入れておいてください。

調理サービスは健康な同居人がいる場合はプランに組み込みにくい

訪問介護の生活援助で食事関係と聞くと調理を想像されると思いますが、サービス内容は多岐に渡ります。調理全般を行うケースももちろんありますが、「固い野菜を切っておく」などの下ごしらえのみをする場合や、「つくり置き」までする場合など、本人の状態に合わせてプランを作成します。

ここで大切なのが、「普段の食事のレベルを逸脱しない」「本人の分だけ」「同居家族がいれば、その家族ができないこと」という3つの前提。例えば、「おせち料理をつくる」「手づくりのお菓子やパンを焼く」といった要望は通りません。あくまでも、普通の食事しかつくられないわけです。

この前提があるので、調理サービスは健康な同居家族がいると、プランに組み込むのはなかなか難しいです。家族が自身の食事をつくるときに、「じゃあ、ついでに利用者の分もつくれますよね」となるわけです。家族が仕事などで留守の場合は、その不在時の調理は可能な場合がありますが、「配食サービスなどを利用すべき」という意見もあります。

クレームや栄養管理が必要なときは配食サービスもお薦め

食事は生きていくうえでとても大切なことで、介護保険でも柔軟に対応してくべきだとは思います。しかし、味付けや調理方法などで利用者からクレームがつきやすいのも事実。そうならないために、逐一本人にこだわりを聞いたり味見をしてもらったりするので、なかなか大変なサービスではあります。

また、腎臓病や糖尿病などで食事管理が必要な場合、特段な調理として身体介護を算定することもできますが、医師や管理栄養士の介入も必要なのでなかなか簡単ではありません。 それなら専門の食事の配食サービスを利用する方が、みんなが楽で安心かなと思います。

普段使用していない場所は掃除サービスの対象外

訪問介護を利用したいという方の中で一番希望が多いのは「掃除のサービス」です。掃除してほしい場所で多いのが浴室とトイレ。どうしても高齢になると、しゃがんだり水を使った掃除がつらくなりますので、希望される方もわりといらっしゃいます。しかし調理と同様に、「本人の使うところだけ」「同居家族がいない場合」という前提があります。

元気な家族が同居しているなら浴室もトイレも家族が掃除できるので、介護保険のサービスは使えません。ほかにも、いくつか掃除のサービスを使えない状況があるので、下記に記しておきます。

  • 利用者が行けない場所(例:足の悪い利用者が2階に上がれず、使っていない場合)
  • 外部(デイサービスなど)のみで入浴していて使っていない浴室
  • 調理をしていない台所

つまり、掃除をしなくても生活ができるところには掃除サービスが使えないのです。掃除も利用者の方のこだわりや「ここまでしてほしい」の希望の差が大きいので、もめることはよくあります。もともとがきれい好きで潔癖症の人だと、通常の掃除ではまったく満足できないこともあります。

生活に支障がなければ掃除はできない

家族が家事を行えない場合はケアプランを人数分作成

調理と掃除を含む生活援助サービスは、健康な同居家族がいればケアプランに組み込むことが難しいことをお話しました。では、同居家族も家事を行えない場合はどうなるのでしょうか。最近は、高齢者世帯で夫婦ともに要介護または要支援認定を受け、介護サービスを受けているケースもたくさんあります。

ご夫婦で暮らしていて、例えば妻が家事ができなくなったので調理や掃除をお願いする場合で考えてみましょう。妻の調理や掃除を夫ができない状況であれば、夫は自身のこともできないことがほとんどです。そうなると2人にサービスが必要なので、2人ともヘルパーさんを利用してもらうべくケアプランを作成します。

とはいえ、介護保険は「利用者本人のための」サービスしか利用できない決まり。そのため妻の提供時間には調理と配膳をして、夫の提供時間で下膳と洗いものをするといったケアプランで内容や場所を決めます。

「訪問介護を利用する=何でもやってもらえる」というわけではない

訪問介護を利用すれば、ヘルパーさんに何でもしてもらえると思っている方が多いのです。しかし、お話したように、訪問介護の生活援助はとてもルールが厳しく、厳密なプランのもと行われています。

決まりごとは多いですが、生活援助は在宅生活を支えるうえでとても大切なサービスです。ケアマネジャーと相談しながら上手に利用してくださいね。

サービス利用はケアマネジャーに相談を

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