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第27回

認知症の親の徘徊で、トラブルが発生!「もうここでは暮らせない」となる前に、ご近所さんやヘルパーに協力してもらおう

最終更新日時 2020/01/07
#親の介護
こんにちは。ケアマネの小川風子です。高齢者が増え、それと比例して認知症の方も増えているということは周知の事実であり、日本の大きな社会問題のひとつでもあります。近隣の住民によく理解されず、その地域で暮らすことが難しくなる認知症の方は、実は少なくありません。どうしてそうなってしまうのか、そしてそうならないためにはどうすれば良いのか。少し考える機会を持っていただけたらと思います。

こんにちは。ケアマネの小川風子です。

高齢者が増え、それと比例して認知症の方も増えているということは周知の事実であり、日本の大きな社会問題のひとつでもあります。

認知症という言葉を聞いたことがない人は、ほとんどいないと思います。

しかし、認知症だとどういった症状が現れるのか、どういった対応をするのがふさわしいのかを理解されている方は、残念ながら非常に少ないのではないでしょうか。

近隣の住民によく理解されず、その地域で暮らすことが難しくなる認知症の方は、実は少なくありません。

どうしてそうなってしまうのか、そしてそうならないためにはどうすれば良いのか。

少し考える機会を持っていただけたらと思います。

認知症が原因で、近隣住民とトラブルになった事例

私は今年度主任ケアマネ研修を受講して、そこでたくさんのケアマネの事例を聞きました。

そのなかでも、やはりご近所トラブルに悩むケアマネはとても多かったです。

私の担当した利用者さんでも、認知症が原因で近隣住民とトラブルになり、なかなか理解が得られず苦労したケースがあります。

具体的に、そのような利用者さんを、二人ご紹介しましょう。

徘徊によるトラブルが発生していた利用者さん

一人は、徘徊などが原因でご近所トラブルが発生していた利用者さんです。

この利用者さんは、はじめの頃は近所をうろうろとただ歩いているだけでした。

この頃はまだ、ご近所の方は、認知症だとわからなかったかと思います。

その後、認知症がどんどんエスカレートし、やがてゴミの分別ができなくなりました。

注意したご近所さんに対しての被害妄想もさく裂します。

「あの人にこんなこと言われた、あんなこと言われた」と、実際とは違う話を別のご近所さんに吹聴します。

もうこの段階でトラブルが発生すると決まっていますよね。

これは認知症でいうところの、被害妄想、作話という典型的な症状なのですが、ご近所さんは利用者さんが認知症だとは思っていませんので、もちろん非常に怒ります。

そうこうしているうちに、利用者さんは、ゴミの分別ができないだけでなく、ゴミ出しの場所がわからなくなり、近所の家の玄関前に適当に置いてしまうようになります。

さらには、昼夜問わずにご近所さんのインターホンを鳴らし、「息子は来ていないか」と問いただす行為が始まりました。

ここまでくれば、さすがに認知症であることは近所中に知られるところとなります。

ゴミをためこんで苦情を言われていた利用者さん

もう一人は、認知症が原因でゴミ出しができなくなり、家の中にどんどんゴミをためこんでしまい、結果ゴミ屋敷となってしまった利用者さんです。

かなり密集した長屋に住まれていたので、利用者さん宅で増えた虫やねずみがご近所さんの家にも行くようになってしまいました。

もちろん悪臭もかなりなもの。

苦情を言われれば謝りますが、利用者さんはどうすることもできません。

近所の人に迷惑をかけ嫌われているという思いから、どんどん閉じこもりがちになり、結果として認知症が進行してしまいました。

ゴミ屋敷・杖を突いて立つ高齢女性・頭を抱えた高齢女性

まず、事情を民生委員に説明しよう

この二つのケースに関しては、利用者さんの認知症が進行し、ご近所トラブルがいろいろ出てきた段階で、離れて暮らす家族さんにこう言いました。

利用者さんが認知症であることをご近所の方に説明されたらどうですか?」と。

実は、これには賛否両論あります。

認知症だと知られた場合、詐欺や犯罪のターゲットにされる危険性がないとは言えません。

ただ、少なくとも民生委員さん(地域住民向けの支援を行う非常勤の地方公務員)には事情を話しておくべきだと思います。

民生委員さんは、支援を必要とする住民の相談に乗ったり、必要な行政の支援を紹介したりする役割を担っているからです。

私が担当した利用者さんたちの場合、前者の方は家族さんが折を見てご近所を回り、あいさつと説明をされていました。

かなりご迷惑をかけたとは思うのですが、少しずつ近所の方も理解を示してくれるようになりました。

遠くまで徘徊していたら連れて帰ってきてくれたり、協力してくれたりする方も現れたのです。

後者の利用者さんは、家族さんが近所の方に事情を話すことを望まれませんでした。

その代わりヘルパーを導入し、家の中の片付けや掃除、ゴミ出しをしてもらうことになりました。

少しずつではありますが、環境は良くなっています。

そして何より、ヘルパーが家に頻繁に来る様子を見て、ご近所さんにも事情がわかっていただけたように思います。

ガッツポーズする若い男性・高齢女性の手を引いて歩く女性ヘルパー

行政サービスの活用・近所の方に状況説明することが重要

ゴミ出し問題で悩む認知症の方は、実際少なくありません。

分別がわからない、出す日を忘れる、そもそもゴミをまとめられないなど。

そう言った場合、行政によってはゴミ回収のサービスがありますし、ヘルパーの手を借りることも可能です。

あとは、できればやはり近所の方には、認知症で生活に支障が出ていることを伝えた方が良いと思います。

意外と若い人の方が認知症に対しての理解や協力があったりしますし、高齢の方でも、「実は身内に認知症の方がいたので」と、事情を察してくださる方がいたりします。

もし認知症が原因で近隣住民に嫌われてしまったら、きちんと理解してもらえるように状況説明をすること、自分でできることに関しては手を打つこと、そのうえで少しでも協力してもらえるようにお願いすることが不可欠だと思います。

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