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第14回

暫定ケアプラン制度の流れとは?利用のメリット・デメリットを専門家が徹底解説!

最終更新日時 2019/03/05
#介護保険サービス
急な病気やケガで要介護状態に陥り、すぐに介護保険サービスを利用したいときでも、「要介護認定」の結果が出るまでは介護保険サービスを受けられないと思っていませんか?実は、介護保険の申請日からすぐに介護サービスを利用できる「暫定ケアプラン」という制度があるのです。今回は、この「暫定ケアプラン」制度を紹介します。

みなさんこんにちは。関西でケアマネージャーをしている小川風子です。

急な病気やケガで要介護状態に陥り、すぐに介護保険サービスを利用したいときでも、「要介護認定」の結果が出るまでは介護保険サービスを受けられないと思っていませんか?

実は、介護保険の申請日からすぐに介護サービスを利用できる「暫定ケアプラン」という制度があるのです。

今回は、この「暫定ケアプラン」制度を紹介します。

暫定ケアプラン制度とは?

そもそも、介護保険を利用するためには、「要支援1~要介護5」のいずれかに認定されなければなりません。

この要介護認定を受けるために役所へ申請することを「介護保険要介護(要支援)認定調査申請」、役所にしてもらう調査のことを「認定調査」といいます。

その結果が後日届き、要支援1~要介護5と判断されると、その結果に応じた介護保険サービスの利用が可能になります。

ですが、認定調査の申請から調査が始まるまでには何日もかかりますし、混みあっているときは1ヵ月近く待たされることもあるのです。

さらに、認定調査を受けてから結果が届くまでも時間がかかり、一般的に申請から30日ほどとされています。

しかし、申請日から結果が届くまでのこの期間、介護保険サービスを利用せず生活することが難しい場合、ケアマネージャーが「どれくらいの結果が要介護度として出るかを予想して」暫定でケアプランを作成することで、申請日からサービスを利用することが可能です。

このケアプランを「暫定ケアプラン」といいます。

※ケアプラン…介護サービスをうけるための利用計画書。介護保険サービスを受ける際は、必ずこの計画書を作成する必要があり、これに従ってサービスを受けられる。通常、ケアマネージャーがこれを作成する。

サービスの継続利用者が暫定ケアプランを申請することが多い

実は暫定ケアプランは、介護保険サービスの申請が初めての方だけが利用するものではありません。

むしろ、以前から介護保険サービスを継続して利用者している人に対して、暫定ケアプランが作成されることが多いです。

それでは、具体的にどういった時に暫定ケアプランが作成されるのかを解説しますね。

暫定プランが必要になる事例

要介護認定には必ず有効期間があるので、時期が来れば更新申請をしてまた認定調査を受け、新しい結果が出る、という流れを繰り返しています。

更新したときに要介護度の結果がそれまでより軽く出てしまうと、場合によっては自己負担額が大きくなり、生活が成り立たなくなることがあります。

なぜなら「介護度が軽くなる=状態が良くなっている」とは限らないからです。

被介護者の状態は変わっていないのに、残念ながらうまく認定に反映されない場合もあります。

そんなときでも、当然ながらその被介護者が必要としているサービスの内容は以前と変わりませんよね。

そこで対応策として、要介護度を変更するために「区分変更申請」を行い、再び認定調査に来てもらうことがあります。

ただ、再認定の結果が出るまでの間に、これまで継続していたサービスにいきなり介護保険が適用できなくなると困るため、暫定ケアプランを作成する必要があるのです。

暫定ケアプランのために多額の出費が必要となったケース

この暫定ケアプラン制度ですが、デメリットもあり、この制度を利用したことで多額の出費をすることになったケースもあるのです。

Aさんの事例をもとに説明しましょう。

暫定ケアプランで多額の出費が必要になったケース

Aさんは、2月の末までは要介護3の結果が出ていました。要介護3の区分支給限度額は26,931単位(269,310円)でした。

たくさんの介護サービスを利用しながら、この限度額の枠いっぱいを使って生活していたのですが、今年(2019年)3月1日からの介護保険の更新結果が「要介護1」と認定されてしまいました。

Aさんの状態ではこれ以上サービスを減らすことは難しく、3月1日付けで役所に区分変更申請を出しました。

「もう一度調査をしてきちんと調べてもらえば、要介護3が出るだろう」Aさんもケアマネもそう判断して、3月1日から結果が出るまでの暫定ケアプランも、今まで通りのサービスを続けることにしました。

そして認定調査が3月15日に行われ、4月1日にその結果が届いたとき、結果は要介護3ではなく要介護2と出てしまいました。

これでは要介護3で暫定ケアプランを組んでいたのに、結果は要介護2だったということになりますね。

そうなると、要介護2の区分支給限度額は19,616単位(196,160円)なので、もし3月いっぱいで要介護3の区分支給限度額26,931単位(269,310円)のギリギリまで使っていたとしたら、その差の7,315単位(73,150円)は実費になってしまうのです。

ということは、7万以上が実費負担になるので、かなりの額を払わなくてはいけません。

こういったケースもあるので、暫定ケアプランを作成するときは予想する介護度よりも軽く想定し、もしもの場合に備えることが重要です。

まとめ

暫定ケアプランは便利な仕組みですが、想定していた認定結果とずれていた場合は、多額の出費が必要となる危険性もあると頭に入れておくのが良いと思います。

その他にも、もし申請日から暫定ケアプランを利用していて、認定調査の前にお亡くなりになってしまった場合も介護保険は適用されません

私が経験したケースは、要介護から要支援になった方が2ヵ所のデイサービスを使っていて、要支援になってもデイサービスはそのまま継続したいと希望していました。

要支援の場合には、デイサービスを1ヵ所しか使えないので、区分変更申請をして暫定でデイを2ヵ所使い続け、再結果がまさかの要支援だったことがあります。

この場合は、ひとつのデイサービスしか保険が効きませんので、もうひとつのデイサービスは実費で支払ってもらいました。

あまり慎重になりすぎることもないですが、暫定ケアプランは「一種の賭けかもしれない」と考えましょう。

経験のあるケアマネの話を信用して、あまり無茶なサービスは希望されないようにした方が良いと思います。

以上、暫定ケアプランのお話でした。

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