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第164回

高血圧でも運動療法で改善可能!専門家が教える正しい運動基準と注意点

最終更新日時 2023/10/05
#介護予防 #高齢者の健康
目 次

「高血圧」はよく耳にするワードではありますが、実際のところ何が良くないのか理解している人は少ないのではないでしょうか。

高血圧症は、特に高齢者がかかりやすい生活習慣病の1つであり、重篤な疾患につながる可能性があるため予防や改善が必要です。

今回は、そんな高血圧に効果があるとされている有酸素運動についてご紹介いたします。

そもそも高血圧症とは?

高血圧症とは「何度測定しても血圧が高い状態」を指します。何度も測定したうちの一回のみ高い値が出たというケースは、高血圧症には該当しません。

具体的な基準として、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上で高血圧と診断されます。

なお、高血圧状態が続くとさまざまな病気に罹患するリスクがあります。

例えば、高血圧の状態が続くと、血管に圧がかかり続けることで、次第に血管が厚くなって硬くなり、動脈硬化が引き起こされてしまいます。

そして動脈硬化は、次のような重篤な病気の原因になります。

  • 脳出血
  • 脳梗塞
  • 大動脈瘤
  • 腎硬化症
  • 心筋梗塞
  • 眼底出血

そのため、健康的な暮らしを送るためには高血圧の予防・改善が大切だと考えられています。

高血圧の予防・改善には、主に以下のような方法があるとされています。

  • 食事の減塩
  • 禁煙
  • 節酒
  • 肥満の改善

この中で、肥満の改善には運動療法(特に有酸素運動)が有効だとされています。

高血圧の人の運動基準

一般的にはできる限り毎日、ややきついくらいの運動を30分以上行うのが良いと言われています。

例えば、以下のような有酸素運動です。

  • ウォーキング
  • スロージョギング
  • ステップ運動
  • ランニング
  • エアロバイク

画像提供:PhotoAC

ただし、高血圧の人が運動する際には注意が必要です。

理学療法士が高血圧の方のリハビリを行うときには、メディカルチェックを実施後、年齢・性別・体重・基礎疾患・服薬状況・その他リスクをふまえ、医師の指示の下で運動強度や実施する運動の種類、時間を設定します。

さらに、このとき設定した運動基準は、その方が実際に運動したときのデータ(脈拍・血圧・自覚症状・モニター)をもとに、再度医師と相談して運動基準を再設定します。

このように、高血圧の方が運動する際には、どの程度の強度の運動が適切なのか個人の状態を丁寧に確認する必要があります。

自身で判断せず、まずは主治医に相談してみましょう。

一般的に考えられる運動基準

参考までに一番有名な運動基準として「アンダーソン・土肥の基準」をご紹介いたします。これは高血圧の人に限ったものではありませんが、運動療法におけるリスク管理基準を示しています。運動におけるリスク回避として覚えておいて損はないでしょう。

1.運動を行わないほうがよい場合

  1. 安静時脈拍数120/分以上
  2. 拡張期血圧120以上
  3. 収縮期血圧200以上
  4. 労作性狭心症(※1)がある人
  5. 急性心筋梗塞を起こしてから1ヵ月以内の人
  6. うっ血性心不全(※2)の所見が明らかな人
  7. 心房細動以外の著しい不整脈
  8. 運動前すでに動悸、息切れのあるもの

※1:階段や坂道を駆け上がると、息が上がり呼吸が苦しくなったり胸が痛くなったりする症状
※2:心臓の機能が衰えたことで、息切れ(呼吸困難)、激しいせき、胸の痛み、手足のむくみ(浮腫)、倦怠感、夜間の頻尿などを起こす症状

2.途中で運動を中止する場合

  1. 呼吸困難、めまい、吐き気、胸に息がつまるような鈍痛が現れた場合
  2. 脈拍が140/分を越えた場合
  3. 1分間10個以上の期外収縮(※3)が現れたり、脈が速くなったり遅くなったりした場合
  4. 収縮期血圧が40mmHg以上、拡張期血圧が20mmHg以上上昇した場合

※3:規則正しい脈に混じって、ときどき速い脈が入り込むこと

次の場合は運動を一時中止し、回復を待って再開する

  1. 脈拍数が運動時の30%を超えた場合、ただし、2分間の安静で10%以下に戻らない場合は、以後の運動は中止するか軽いものにきりかえる
  2. 脈拍数が120/分を越えた場合
  3. 1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合
  4. 軽い動悸、息切れを訴えた場合

高血圧の人が運動療法をする際に気を付けておきたいこと

運動基準のほかにも、高血圧の人が運動療法をする際に気をつけたいことがあります。

寒い環境で運動をしない

寒い場所では血管が収縮してしまい、血圧が上がりやすくなります。

そのため、体が温まらないうちに寒い場所で運動をしてしまうと血圧が高い状態での運動となり、危険を伴います。

寒い季節には、準備運動をしっかりとして、体を冷やさないように工夫しましょう。

息を止める運動をしない

息を止める運動は血圧が高くなりやすいです。運動するときは息を止めずに呼吸を大切にして運動をするようにしましょう。

強い強度の筋トレは避ける

重たいダンベルを持つなどの高負荷の運動は避けましょう。筋トレをする場合は、まず軽い負荷からスタートすることをおすすめします。

水分を摂取しながら運動する

運動して水分が体から失われると熱中症や脱水症のリスクが高まります。そのため水分を適度に摂取しながら実施しましょう。高血圧の人は塩分や糖分の摂りすぎもよくないため、麦茶やミネラルウォーターなどがおすすめです。

画像提供:photo AC

車椅子や体が不自由の方の運動

車椅子や体に障害がある場合も、器具を使用するなどの工夫で運動を行うことは不可能ではありません。

  • 長い距離を歩けない人→プール内で水中ウォーキング
  • 歩くことが困難→座った状態で漕ぐ自転車エルゴメーターを使用
  • 足が不自由→手で動かすハンドエルゴメーターを使用

このように、自身の状態に合った運動を心がけてください。

高血圧の人のリハビリの基本は同じですが、具体的な運動基準は個人の状態によって異なります。そのため、医師の指示を守りながら、適度な運動を続けることが大切なポイントです。

また、こうした運動はまだ高血圧症になっていなくても健康に良い効果が期待できます。ぜひ普段から運動を取り入れた規則正しい生活を送りましょう!

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雜賀 匡史
さいがケアファルマ 合同会社 ​​代表
2021/05/27

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