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第161回

脳梗塞の再発を予防する生活習慣とは? 禁煙とウォーキングの効果に注目!

最終更新日時 2023/09/14
#介護予防 #高齢者の健康
目 次

脳梗塞や脳出血は、再発しやすい病気です。

国内のデータでは一度目の発症から10年以内に51%もの患者さんが再発するとされています。

一方、再発しやすい人と再発しにくい人がいるのも事実です。

今回は、再発予防に役立つ生活習慣についてエビデンスをもとに紹介します。

脳梗塞の再発リスク

2021年に行われた中国の研究では、世界中で発表された2009年から2019年の10年間のデータをもとに、脳卒中の再発率について文献調査が行われました。

それによると、脳卒中を発症される方は多くの方が50歳以上だとされています。

50歳以上の方で、一度目の発症からの再発率は、次のようになっています。

  • 3ヵ月:7.7%
  • 6ヵ月:9.5%
  • 1年:11.2%
  • 2年:16.1%
  • 3年:19.3%
  • 5年:18.1%

さらに、日本人のみのデータでは、もう少し再発率が高いことが報告されています。

2005年に行われた日本の研究では、脳卒中の再発率について、1年で12.8%5年で35.5%10年で51.3%だったと報告されています。

日本人のデータだけで見た場合およそ2人に1人が、世界のデータで見た場合は2.5人に1人が、10年以内に再発していることになります。

そして、発症からの経過が長くなるにつれ累積再発率は上がっていきます。

これらの確率が高いと感じるか低いと感じるかは人によると思いますが、一般的には、再発予防のためにできることはしておいたほうが良いでしょう。

再発予防のためにできることとは?

2019年や2021年の研究において、脳卒中再発の危険因子として「高血圧」や「糖尿病」が挙げられています。

なお、血圧については、『脳卒中治療ガイドライン2021』(日本脳卒中学会)において、75歳未満の方は収縮期130mmHg、拡張期80mmHg未満に、75歳以上の方は収縮期140mmHg、拡張期90mmHg未満にすることが推奨されています。

脳卒中は再発する病気ですが、以下のことで再発リスクを抑えることができると考えられています。

  • 血圧を抑える
  • 糖尿病にならないようにする(改善させる)

そこで日頃からできる取り組みは以下のようなことになります。

  • 禁煙
  • 水分補給
  • 禁酒(節酒)
  • 塩分・脂質を控える
  • 入浴はぬるま湯にする
  • ウォーキングなどの身体活動

このように生活習慣を改善することで、再発予防に対して有効と考えられています。

再発予防に重要なこと

禁煙

タバコをやめることは脳卒中の再発予防に役立ちます。

2022年、イギリスの研究にて、禁煙により脳卒中発症のリスクが下がることが報告されました。

禁煙によって体重増加(=肥満)が起こることがあるため、禁煙によってむしろ脳卒中などのリスクは上がるのではないかと考える方もいると思います。

しかし、2021年の中国の研究によると、禁煙後に体重増加をした人も体重増加しなかった人も、喫煙をしている人よりは脳卒中の発症リスクが低いことが明らかにされました。

このことから、禁煙後に体重増加(=肥満)が起こってしまったとしても、喫煙しているよりは禁煙したほうが良いと言えるでしょう。

近年は禁煙外来も増えてきていますので、禁煙するのが難しい方は、医師へ相談されてみてはいかがでしょうか。

ウォーキング

ウォーキングも脳卒中の再発予防に役立ちます。

2015年、アイルランドの研究グループはウォーキングが血圧を下げるうえで有効であることを報告しました。

研究によると、世界中のデータを集めて解析した結果、ウォーキングによって収縮期血圧(上の血圧)も拡張期血圧(下の血圧)も低下させることが明らかになりました。

高血圧は脳卒中の再発因子ですので、血圧を下げることは脳卒中の再発予防につながると考えられます。

とはいえ、歩けばなんでも良いというわけではありません。

ウォーキングによって血圧が下がったことを報告している研究では、ほとんどの研究で下記の条件が守られています。

  • 1日30分以上歩く
  • 週3~5回以上歩く
  • 60%HRmax以上の強度で歩く

なお、60%HRmaxというのは運動の強度を表す指標です。例えば、70歳で安静時心拍数が65拍/分の方の場合、ウォーキングをしているときの心拍数は“116拍/分”が60%HRmaxです。

あるいは、80歳で安静時心拍数が70拍/分の方の場合、ウォーキングをしているときの心拍数は“112拍/分”が60%HRmaxとなります。

一人ひとり60%HRmaxの心拍数は異なりますので、医師や理学療法士といった専門家に確認することをおすすめします。

また、心拍数を上げるためには、歩く速さを上げる必要があります。

つまり、楽なペースで歩くのではなく、ある程度の速さで、軽く息が上がるくらいの辛さで歩く必要があるのです。

以上のことから、脳卒中の再発予防を目的にウォーキングを行う場合、月曜日~金曜日までの平日は毎日30分以上、息が上がるくらいのウォーキングを習慣化させることが大切です。

ウォーキングが週1回だけだったり、1回10分程度しか歩かなかったりと、楽な強度でのウォーキングしかしない場合、血圧を下げる効果が弱まってしまうでしょう。

再発予防で期待されている「地中海料理」

再発予防のために「塩分や糖分を減らしましょう」とよく言われます。

しかし、2014年には減塩(塩分を減らすこと)、2022年には糖分の低摂取(糖分をとらないようにすること)について、それぞれ血圧を下げるなどの健康状態改善に関連があるとは言えない、というデータが報告されました。

したがって、現時点では再発予防のために減塩したり、糖分を摂らないようにすることはあまり有効とは言えません。

そのなかで、脳卒中再発防止のための食事として、地中海料理が注目されています。つまり「野菜や果物をたくさん食べる料理」のことです。

2022年イギリスの研究によって、地中海料理が血圧の低下や脳卒中発症リスクの低減に有効であることが報告されました。

特別な食材は必要なく、日本のスーパーマーケットに売られている食材でつくることができます。

また、地中海料理のレシピもインターネットで調べるとたくさんありますので、ぜひご覧になってみてください。

家族による「生活習慣を改善させるためのかかわり」は有効?

ご自身で生活習慣を改善させることは難しく、誰かに管理してほしいと思う方もいるかもしれません。

ただ、医療者や家族による「生活習慣を改善させるための介入」の効果は限定的だとされています。

服薬遵守や血圧低下には有効性が報告されているものの、禁煙や禁酒、食事・栄養、ウォーキングなどの身体活動の改善に対しては否定的な報告が多いからです。

このことから、医療者や家族による支援に頼るのではなく、ご自身で主体的に再発予防に取り組むことが大事だと言えます。

脳梗塞や脳卒中を経験した人は、できる限り上記のように生活習慣の改善に努めることが大切です。

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