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第143回

【放置厳禁】拘縮とは?寝たきりの高齢者に多い原因と3つの予防・改善リハビリ方法を解説

最終更新日時 2023/05/18
#親の介護 #介護予防 #高齢者の健康
目 次

寝たきりの方を介護するときに気をつけたいのが拘縮(こうしゅく)です。

拘縮とは、関節の可動域が制限され、正常な動作ができなくなる状態を指します。寝たきりの方や、長期間同じ姿勢を続けることが多い方に良く見られます。

拘縮が生じると、日常生活で必要な動きや介助ができなくなったり、ケガや皮膚トラブルが起きやすくなったりするため、生活の質が低下するリスクが高まります。

予防のためにはリハビリが有効だとされていますが、注意点をおさえながら行わないと、逆効果になったり、思わぬケガにつながったりする可能性もあります。

今回は、拘縮予防のリハビリで注意するポイントを中心に、拘縮そのもののリスクについて理学療法士の視点からまとめました。

寝たきりの方に起きやすい拘縮とは?

拘縮が起こる原因には、以下のようなものがあります。

運動不足
筋肉を十分に使わないと筋力が低下し、筋肉が硬くなってしまい、拘縮が起こりやすくなります。
血行不良
筋肉や関節に十分な栄養や酸素が行き渡らないと、筋肉が硬くなってしまい、拘縮が起こりやすくなります。
病気や怪我
病気や怪我で筋肉や関節が損傷したり、麻痺が生じたり、痛みを伴う炎症が起こったりすると、拘縮が起こりやすくなります。

拘縮は、放置しているとますます悪化していきます。一般的に、寝たきりが原因になって起きる拘縮は筋性拘縮と考えられています。

筋性拘縮は、筋肉の伸び縮みする機能が低下して硬くなってしまうことで、放置していると、さらに硬さが増してしまい、関節そのものの動きも制限される恐れがあります。

拘縮が生じると、日常生活で必要な動作ができなくなり、生活や介護をするうえでの制限が増えます。また、拘縮を引き起こす原因である血行不良や運動不足は、さまざまな病気や怪我にもつながるため、日頃の予防を意識すると良いでしょう。

放置するとどうなる?拘縮の危険性とは

拘縮が生じると筋肉や関節が硬くなり、体の柔軟性が失われてしまいます。この状態が続くと、さまざまな日常生活の介助に支障をきたすことが考えられます。

拘縮を放置すると、徐々に進行し、慢性的な痛みや褥瘡(じょくそう)※、骨折などを引き起こす可能性があります。そのため、介助が困難になることもあるのです。

※いわゆる“床ずれ”のこと。体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ったりすることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまう

例えば、拘縮が進行して膝を伸ばす動作が制限された場合を考えてみましょう。動かせない範囲が生じることで、膝関節周囲の組織が硬くなり、神経や血管を圧迫することで痛みが生じる可能性があります。

さらに、ベッド上で寝ている状態では、太ももやふくらはぎがベッドに接触しなくなってしまいます。その状態で何も対策しなければ、踵やお尻のみで下半身の重みを支えることになってしまい、褥瘡を発生するリスクにつながります。

当然ながら、膝関節の動きが悪くなると、着替えの介助をするのも大変です。このように、拘縮は、さまざまな身体的な悪影響を及ぼしてしまうのです。

拘縮を予防するには、リハビリや日常生活での運動を取り入れることが重要です。
画像提供:Adobe Stock

実践する方必見!拘縮予防のリハビリで注意するべきポイントとは?

拘縮予防にはリハビリが有効ですが、注意点を知らずに行うと、思わぬ怪我につながることがあります。以下に注意点をまとめました。

拘縮を予防するための運動

拘縮を予防するためには、定期的な運動やストレッチが欠かせません。運動やストレッチを行うことで、力や柔軟性が増すため、関節の可動域が広がります。また、血行や体の機能改善も期待できるため、健康維持にもつながります。

ストレッチや筋力トレーニング、マッサージなどを行うことで、筋性拘縮の予防のみでなく改善できる場合もあります。

ただし、拘縮の状態によって、適切なリハビリ方法は異なります。そのため、拘縮が起こった場合には、医師や理学療法士の指導のもと、正しいリハビリを行うことが重要です。

拘縮予防のリハビリに取り組んでいる方は、リハビリ方法についてはある程度理解していることが多いと思います。

しかし、リハビリを実践する際には、以下の点に注意してください。

正しい体勢で行うこと

運動やストレッチを行う際には、正しい体勢で行うことが重要です。特に、寝たきりや車椅子生活の方は、体勢が固定されがちなため、姿勢や関節の位置に注意が必要です。正しい体勢で運動やストレッチを行うことで、筋肉や関節に正しい刺激が与えられ、拘縮予防につながるのです。

正しい体勢でリハビリを行わない場合、関節を痛めてしまう可能性があります。例えば、肘関節は曲げ伸ばしのみが行える関節です。もしも、曲げ伸ばし以外の方向へ無理に動かしてしまった場合、靭帯などを痛める可能性があるでしょう。

なお、過度な負荷をかけて関節を動かした場合、かえって筋肉が硬くなってしまうことがあります。「クイック・ストレッチング」と呼ばれるような急激なストレッチは、伸ばそうとしている部分の筋肉に力が入ってしまうため、適切ではありません。

過度な負荷を避けること

筋肉や関節を無理に伸ばしたり、負荷をかけすぎると、逆に拘縮を引き起こしてしまうことがあります。そのため、適切な負荷をかけ、徐々に負荷を増やしていくようにしてください。また、痛みや違和感がある場合には、無理は禁物です。

継続的に行うこと

拘縮予防のリハビリは、継続的に行うことが重要です。一般的には「1日に1~2度、1度に3~5回、全可動域にわたる関節可動域運動を週に3回、または毎日行うことが必要である」とされています。

リハビリを始めても、短期間でやめてしまうと拘縮が悪化する可能性があります。継続的にリハビリを行うことで、筋肉や関節を健康な状態に保つことができるのです。

拘縮予防・改善のリハビリ以外に取り入れられること

拘縮予防のためには、専門的なリハビリのみでなく、日常生活でも意識して筋肉や関節を動かすことが大切になります。

日常生活で取り入れやすい拘縮予防のポイントをいくつか紹介します。

生活動作をする
寝たきりの方は、体を起こしたり、車いすに乗ったりする生活動作を取り入れると関節や筋肉を動かすことにつながります。
マッサージ
筋肉をマッサージすることで、大きな負担を与えずに血流をよくしたり、筋肉をわずかに伸ばしたりできるでしょう。
温める
筋肉や関節を温めると、血流が促進され、拘縮予防につながります。湯船に入る、温かいタオルで身体を包むなどの方法があります。
画像提供:Adobe Stock

以上のように、日常生活でも簡単に取り入れることができる拘縮予防の方法があります。

しかし、拘縮が進行してしまった場合には、専門家の指導を受けながら、適切なリハビリを行うことが重要です。拘縮予防は、早期発見・早期対応が大切です。自己判断せずに、症状がある場合には、医師や理学療法士などに相談しましょう。

まとめ

勢いをつけた急激なストレッチや、関節の動きを無視した運動を行うと、拘縮予防どころか悪化を招いてしまう可能性が高いです。

正しく拘縮予防のリハビリをするためには、姿勢や負荷、運動の頻度などのポイントをしっかりとおさえましょう。

拘縮を放置していると、徐々に症状は悪化してしまいます。寝たきりの方のリハビリは簡単ではありません。難しいと感じる場合は、リハビリ専門のスタッフや主治医のアドバイスを受けて、適切な方法を心がけましょう。

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