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第288回

94歳の祖母の介護が突然スタート。介護の負のサイクルを変えた工夫

最終更新日時 2022/01/25
#親の介護
REASON代表で、理学療法士の中川恵子です。超高齢化時代を迎えた今、90歳を超えた要介護者を在宅で介護する人も多いのではないでしょうか。今回は、管理栄養士・運動指導者として32年間、生活習慣病の改善や介護予防の運動指導を行い、自身も90歳以上の祖母を在宅で介護してきた高木理恵さんにお話を伺いました。

REASON代表で、理学療法士の中川恵子です。

超高齢化時代、90歳を超えた要介護者の介護をしているけれどこれからどうしたら良いか悩んでいる方も多いと思います。

今回は株式会社AccoFit代表取締役・高木理恵さんに、同居していた祖母が自宅で転倒後、寝たきり状態になってしまってから自立できるまでに回復した経験をお話いただきました。

高木さんは、管理栄養士・運動指導者として32年間生活習慣病の改善や介護予防の運動指導を行い、日野市、立川市などの行政や社会福祉協議会からの依頼で高齢者と携わる運動指導の仕事を行ってきました。

祖母が寝たきりになるまで

祖母が88歳のときに自宅で転倒し、要介護認定を受ける

私(高木さん)の祖母は大正生まれで、88歳のときに自宅で転倒し、骨折はしなかったものの要介護度1に認定されました。

当時はまだ元気なもので、近所に買い物に行って、自分の好きなおかずを購入したり、ときには一緒に食卓を囲み、ひ孫と遊んだり洗濯物を畳んでくれたりしていました。

しかし、90歳になった頃に体調を崩してから活動量がだんだん減り、フレイル(虚弱)が原因で、要介護度3になりました。

トイレは自分でできていましたが、この頃から食事は母と私でつくるようになり、独居になる日中は、身体介護のヘルパーを利用しはじめました。

体力をつけてもらいたいし、お風呂にも入ってほしかったので、祖母にデイサービスの利用を勧めましたが、通ったのは3回だけ。以降は「仮病」を使うようになり、そのまま行かなくなってしまいました。

突然、寝たきり状態になった祖母の介護が開始

94歳のとき、自宅の絨毯に引っかかって転倒。救急車で病院へ搬送されましたが「腰椎の圧迫骨折なので手術はできません」「安静療法で1週間くらいしか入院はできません」と、医師から説明がありました。

当時、私は親戚が立ち上げるデイサービスで運動指導者・管理栄養士として勤務するため、初任者研修を受けていました。

その際に「高齢者は環境が変わると認知症になりやすい」と教わっており、小さく丸まって悲しそうな顔をしていた祖母を連れて帰ると決断しました。

「最後は自宅で看取ろう」と以前から家族で決めていたこともあり、迷うことなく決断できました。

2013年、私はシングルマザーとして中3の息子と小6の娘の子育てと仕事をしなければならない状況で、寝たきりになった94歳の祖母の介護がスタートしました。

自宅での看取りを覚悟して在宅介護がスタート

何をどう改善したらいいかわからない中での模索

祖母の腰椎圧迫骨折をきっかけに、外来通院から訪問診療に切り替えました。一番困ったことは、何をどうしたら祖母の状態が良くなるのかわからなかったことです。

自宅介護が始まって1ヵ月を過ぎた頃、訪問医から「このままでは体が固まって、動けなくなります」と言われ、ケアマネに相談しました。そこで月に2回、理学療法士が来てくれるようになりました。

しかし、運動指導者としての経験から「月に2回の刺激で良くなるわけがない」と確信していたので、3回ほどでリハビリを中止しました。

そこで、私はこれまで見てきたリハビリの方法に加えて、独自に祖母の運動を介助することにしました。

2ヵ月が経った頃、医師から座ってもいいと許可が出ました。祖母は「痛い」と言っていましたが、ベッドに座らせて、ドーナツ状にした布団で体を支えながら食事を摂ったり、膝を伸ばしたりする運動を始めました。

4ヵ月目には、ベッドの脇に用意してあったポータブルトイレで、祖母が一人でトイレをしていました。母も私もとてもびっくりしました。いつの間にか自分でトイレができるまでに回復していたのです。

その後は、部屋の中で杖を使って歩いたり、お仏壇に線香をあげることが役割となり、日中はテレビを見て過ごしていました。

風邪をひいたりして運動をやめると、グッと体力が落ちることが何度かありましたが、その都度運動の指導を再開することで体力は戻りました。

無理に運動をすることをやめて、覚悟を決めて見守る

しかし祖母は97歳になると、だんだんテレビを見ることもなくなり、話すことも少なくなってきました。私は、その姿を見て「なんのために運動をするのか?」「楽しみもなく、ただ毎日を過ごさせるのは私のエゴかもしれない」など深く考えはじめました。

初任者研修の際に看護師から「人間、最後は身体を枯らしていくのが、本人の負担がなく自然に終われるのよ」と聞いていたので、私は覚悟を決めました。

最後はおちょこ1杯のおかゆを食べることがやっとで、亡くなる前日に祖母の様子が何となく違うことを感じ、母と子どもたちで、祖母を囲んでお茶を飲む場をつくりました。

子どもたちには「そろそろ最後かもしれないから、後悔しないように話しておきなさい」と話していましたが、本当にこれが最後のお別れとなりました。

介護の負のサイクルを変えたい

私が住む地域には、介護認定とまではいかないけれど、腰や膝が痛いなど調子が悪いという方がたくさんいて、私はそういった方に向けた運動指導を行っていました。

祖母の介護経験から、何歳になっても体に適切な刺激を与えることで体の機能は回復することを学んだ私は、「大丈夫だよ、あきらめないで」ということを多くの人に知ってもらいたいと考えるようになりました。

入院やリハビリに通うほどではなく、介護サービスもまだ利用しないという方向けに「自分で毎日できる運動で改善できるコンテンツ」を開発しました。

介護の負のサイクルを変えるために

何をどうしたら状態を改善できるのかわからない方が陥りやすい「介護の負のサイクル」は変えられます。私は、これからもそんな悩みを抱える方々のために役立つことをしていきたいと思います。

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松井 洸
恵寿総合病院
2017/12/18

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