ほとんどの方が手や顔にクリームを塗った経験があると思います。しかし、足にクリームを塗ったことがある方はどのぐらいいるでしょうか。
今回は、健康長寿のキーとなる「足」のお手入れについてご紹介します。保湿を代表に、足はお手入れ次第状態が大きく変わります。ぜひ、最後までお読みいただき、日頃の生活や介護に取り入れてみてください。
足のお手入れが大切な理由
肌の乾燥が進むと、皮膚から粉がふいて、赤みがみられたり、かゆみなどの症状が現れます。
本来なら皮膚の表面には角層(皮膚表面の細胞層)があって、その皮膚の表面を「皮脂」や「天然保湿因子(アミノ酸や尿素など)」、「細胞間脂質」によって乾燥を防いでいます。しかし、これらは一般的に加齢とともに減少します。
加齢による身体的変化に加え、日常生活の習慣でも乾燥肌が助長されます。主な要因は次の通りです。
- 皮膚の洗いすぎや擦りすぎ
- 熱い湯に入浴
- 不規則な生活や心身のストレス
- 空気の乾燥や寒冷
- 衣類による摩擦
- 紫外線によるダメージ
皮膚のバリア機能が正常だと、肌の水分が保たれているため、アレルゲンなどの侵入や外部刺激から肌は守られています。しかし、皮膚のバリア機能が低下すると、刺激物質が容易に入り込みやすくなり、かゆみを伴うことがあります。
過度の乾燥や浸軟(湿潤によって皮膚がジメジメ柔らかくなった状態)した状態では、本来のバリア機能が発揮できず、皮膚の柔軟性も乏しくなり、ニオイのもとにもなります。
例えば、足の踵の角質が魚の鱗のようになって、ピキッと割れてしまうのも乾燥が影響しています。
足のお手入れの具体策
洗う
よく泡立てた洗浄料で、やさしく洗いましょう。ナイロン製の硬いボディタオル、軽石などの使用は皮膚を傷つけることがありますので使用は避けましょう。また、爪を立てないように気をつけてください。
できる限り、柔らかい専用グッズの利用をおすすめします。洗いすぎると皮膚の表面を守る皮脂を取り過ぎてしまうため、時間をかけすぎないよう注意してください。
また、洗顔料や石鹸などの洗浄料は弱酸性や自分の肌に合った低刺激性のものを使い、湯船やシャワーの温度は少しぬるめに設定しましょう。
補う
化粧水や保湿クリーム、保湿剤は自分の肌に合うものを選び、十分な量を正しく使いましょう。擦り込むよりもシワの中にそっと置くように、やさしく皮膚の目に沿って塗るのがポイントです。
特に、タコや角質がある方は最低1日1回、可能ならば2回ほど忘れずに塗りましょう。入浴後の乾燥を防ぐためにも、入浴後は10分以内に塗ることが理想的です。
守る
乾燥を防ぐことも大切です。一般的には、室内でしたら加湿器などを活用するといいでしょう。外出時は季節を問わず日焼け止めを塗布して、紫外線のダメージから皮膚を守るようにしてください。
足部に関しては、部屋の中では靴下を履いていただくことが外傷から守ることになります。そして、外出時はどんな靴をどのように履くかがとても重要です。
自分の足より比較的大きなサイズを履いている方が多いですが、大きすぎる靴は危険です。足も年々変化していますので、可能であれば靴屋で足のサイズに合わせてフィッティングしてもらうと良いでしょう。

洗い方などは習慣によって異なる
よくありがちなエピソードをご紹介します。
Aさん「○○さんは、足をちゃんと洗っているって言ってました」
Bさん「でもこの前足を見せてもらったらすごく汚れていたよ」
Aさん「え!?」
これは、看護の現場でのあるあるエピソードです。なぜそのようなことが起きるかというと、「洗い方」は一人ひとり長年培ってきた習慣で異なるからです。
誰かと洗い方を比べたり、洗い方をチェックされる機会はあまりありませんよね。そのため、自分の足の洗い方が適切なのかどうか気づきにくく、それぞれの「洗っている」という状態が異なります。その結果、洗っていると言っていたのに想像以上に汚れていることがあります。
ぜひ一度、足の洗い方を訪問看護師や介護士、お友達などと確認してみてください。
ケアがキレイに行き届いている人がいたら、「どのように洗っているか」を具体的に教えてもらったり、洗い方を見せてもらうと良いでしょう。
実は保湿も同様で、「クリーム塗ってるよ」と一言で終わってしまうと、クリームの量や塗ってる部位、塗り方によって効果が出にくくなっている可能性があります。
まとめ
たかが足だと言いたくなるかもしれませんが、自分の当たり前は他の方にとっては非常識とも言います。
特に、足のように目に触れないところのお手入れは、その傾向が強くなりがちです。
いつまでも歩ける足でいるためには「洗う・補う・守る」を意識して、皮膚トラブルから足を守ることが基本です。

セルフケアを始める前に、まずご自分のやり方を誰かに見てもらって適切に行えているか確認をしましょう。適切に洗って清潔を保ち、皮膚の状態を整えて、足を守る。こちらの足チェックとセットにして、ぜひ習慣化を目指してくださいね。