年齢を重ねると立ち上がることが難しくなったり、歩き初めに足が出にくくなることがあります。そのため、バランスを崩して転倒しそうになったという話をよく耳にします。
今回は、足腰に不安がある方でも一人で簡単にできる転倒予防トレーニングとレクリエーションを5つご紹介いたします。
転倒の原因と指先の関係
高齢者の中には、足腰が弱くなると転倒を恐れるあまりに外出の機会が少なくなる方がいます。この状態が、長く続くとプレフレイルという状態に陥り、体力が低下し精神的にも落ち込みやすくなります。
転倒の原因は大きく分けて2つあります。
- ①筋力低下
- デスクワークや車の移動が多いために、歩く機会が少なくなることで起こります
- ②視力・巧緻性・バランス能力の低下
- 加齢とともに自然と低下する身体機能です
巧緻性とは、「手先や指先を上手に使うこと」を意味しており、脳と深い関連があるとされています。
脳には運動を指令する「運動野」と、感覚を感じ取る「感覚野」があり、特に5本の手の指と手のひらは密接につながっています。そのため、指先を動かすことにより、脳内の血流が高まって巧緻性が改善されたという報告もあります。
横浜国立大大学院工学研究院の島准教授と県立広島大学の島谷康司教授らの研究グループは、「ライトタッチ現象※」というものを活用した転倒予防を研究しています。
※指先が物やカーテンなどに触れていると姿勢が安定して転倒しにくくなるという
研究チームは、指先に小型のコンピューターを付けることにより、姿勢とバランス能力を改善するシステムを世界で初めて開発。転倒予防や歩行改善に期待されています。

転倒予防トレーニング&レクリエーション5選
転倒予防には、巧緻性やバランス、正しい姿勢が必要となります。次に、巧緻性やバランス能力、正しい姿勢の維持に必要なためのトレーニングや、どこでも簡単にできるレクリエーションをご紹介いたします。
転倒予防トレーニング
- デュアルトレーニング
- 年齢を重ねると、歩きながら人をよける、バランスを取るなどの二つの動作を一緒に行う「デュアルタスク」機能が低下し、転倒の危険性が高くなります。そこで、音楽を聴き、足踏みをしながら数を数えるなどといった複数のトレーニングを一緒に行うと、デュアルタスク機能の低下予防になります。
- 足の指先トレーニング
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足の指がしっかりと伸びていると体重が乗り、正しい姿勢が維持できるようになり、歩行時の体重移動がスムーズになります。そこで、足の指先のトレーニングが効果的だとされています。
【方法】
- 素足になり右足首を10回グルグルと大きく回します
- 足首を掴み、足の指先全体をもって上にストレッチして5秒維持します
- 同じく足の指全体を下に向けてストレッチして5秒維持します
- 足の指先全体を大きく広げて5秒維持します
- 親指を上にあげ、ほかの指は下に下げます
- 左右を交代して同じことを行います
転倒予防レクリエーション
- 1.いつまでも歩きたい体操
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用意するもの:ラジカセ、椅子
【方法】
- 椅子に腰かけて、足ぶみを10回します
- 右足を横に10回開きます
- 左足を横に10回開きます
- 右膝を前に出して、つま先を上に向け5秒維持します
- 左膝を前に出して、つま先を上に向けて5秒維持します
1~5までの運動を音楽のリズムに合わせて繰り返しましょう。
- 2.足ボーリング
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用意するもの:古新聞、ベットボトル10本
【方法】
- 古新聞でボールをつくる
- ペットボトルに番号を書きボウリングピンをつくる
- ベットボトルで作成したピン10本をセットする
- 椅子に腰かけ、古新聞でつくったボールで倒したピンを記録する
お孫さんなどと一緒に、ご家族でやるのも盛り上がるのでおすすめです。
- 3.ウエルネスダーツ
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用意するもの:ダーツボード
これはシンプルにダーツを楽しむレクです。「狙う→投げる→拾う」といった一連の動作が巧緻性やバランス能力の維持・改善に効果が期待できます。転倒予防にも役立つということで、最近注目されているレクリエーションです。

まとめ
年齢を重ねると足腰に力が入らず、思うように体が動きにくくなるため、転倒の可能性も高くなります。
転倒することは誰にでも起こり得ますが、体を動かすスポーツやレクリエーションで、バランス能力や巧緻動作の維持が期待できます。ぜひスポーツやレクリエーションに参加して、健康維持を図りましょう!