若年性認知症サポートセンタースワロー代表の小林です。
老人クラブを単なる趣味の集まりと考えている方も少なくないかと思いますが、実は地域における高齢者の仲間づくりや健康づくり、日常的なスポーツの機会創出など、生活や地域のつながりを豊かにする役割を担っています。
今回は老人クラブの活動内容から、どのような効果が期待できるかを解説します。
高齢者の地域活動にはさまざまな種類がある
老人クラブを簡単に説明すると、今までの趣味や社会経験を活かす、60歳以上の人の集いの場です。誰でも入会でき、自宅近くの集会場に集まり、利用者が楽しめるような地域活動をしています。
その規模は大きく、東京に全国老人クラブ連合会があり、各都道府県には指定都市老人クラブ連合会、市町村には老人クラブ連合会があります。私が住む新潟県燕市吉田にも燕市吉田老人クラブ連合会があり、同地区では23の単位クラブがあります。その中の一つに自宅から歩いて行ける集会所で旭寿クラブが活動をしています。
その活動内容には次のようなものがあります。
- スカットボール大会
- 健康教室
- 会館清掃
- 高齢者宅の見守りや声かけ活動
また、市内には燕市老人センター(よしだシニアセンター)があり、高齢者の方がさまざまな地域活動を行っています。
- 健康クラブ(着座体前屈、10m障害物歩行、男の料理教室、大正琴教室など、18の生きがい教室)
- 講師を招いて「金融を巡るトラブルの未然防止」などの教養講座
- 各種スポーツ
- 草むしりなどの社会奉仕活動
- 文化祭などの文化活動
- 社交ダンスなどのレクリエーション
さらに、吉田地区では満80歳の方を対象として、毎年「熟年成人式」が開催され、地元テレビ局のニュースとして放送されています。

老人クラブに参加することで期待できる効果
老人クラブで行っている地域活動は健康体操、レクリエーション、ボランテイア活動などがあり、楽しみながら健康維持効果を初めとして、さまざまな効果が期待できます。
- スポーツ
- スカットボールや健康教室で手足を動かすことにより、全身の血流が良くなり転倒予防などにつながります。
- 仲間づくり
- クラブには幅広い年齢層の方がいます。囲碁やカラオケ、大正琴などのレクリエーションがあり、新しい出会いを通じて仲間づくりができます。
- 生きがい教室で健康を維持
- 血圧や認知症予防の健康教室、講師を招く教養講座に参加することで、知識を身につけられるだけでなく、頭を働かせることで物忘れなどの予防にもつながります。
- 奉仕活動
- 高齢者の見守りや子どもたちを事件・事故から守る見守りサービス、福祉施設などでのレクリエーションで、自身の居場所を見つけたり、社会的な得ることができます。活動の中で新たな生きがいを生み出すことができます。
- 地域貢献
- 地域に伝わる伝統の継承や、若い人と一緒に地域の広報活動などを行うことで地域貢献ができます。
そのメリットを口にする老人クラブ参加者
誰でも年齢を重ねると、新しい出会いがなくなります。友人と話をすることも減り、自然と自宅にいる時間が増えます。その結果、心身機能が弱まる「プレフレイル」の状態になりやすくなります。
スポーツ、趣味、教養講座などのクラブ活動に参加することにより、こうしたフレイル予防にも効果が期待できます。
参加された方に話を聞くと、そのメリットを次々と口にしてくれました。
参加者たちの声
- 歩いて行ける範囲に老人クラブがあるので、外出する機会が増えて身だしなみに気を遣うようになった。
- 一人暮らしだったが、クラブの人に定期的に訪問してもらい、自身の話を聞いてもらえてよかった。
- 健康教室に通ってから体調も良くなり、新しい友人が増えた。
- 福祉施設で歌や踊りなどのボランティア活動を行って、入所者に喜んでもらえた。
- 若い人や子どもたちと郷土芸能を一緒に楽しむことができた。

人生100年時代と呼ばれる今、年齢を重ねながら社会貢献や新しい出会いを通じてQOL(生活の質)の維持や向上を目指すことが大切です。
老人クラブは、趣味や旅行だけではなく健康教室やボランティア活動、社会貢献を積極的に行っている地域の担い手です。
近年は若い層の参加も増えており、その活動内容も地域によって多岐にわたります。誰でも気軽に参加できるので、豊かな人生を送るためにも、ぜひ活用してみてください。